5月10日(日)J2 第14節 横浜FC vs 栃木(16:00KICK OFF/三ツ沢)
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ゴールデンウイークはもう終わったが、日程的には4月26日から始まった5連戦の最後となる横浜FCと栃木SCの対戦。ともに、開幕から結果を出せない状況が続き、この連戦でも浮上のきっかけをつかめないままにいる。精神的にも、体力的にも苦しい中だけに、ここで得る勝点3の意味は大きい。その勝点3を巡る死闘が始まる。
横浜FCは、水戸戦で今季初勝利を挙げて臨んだこの連戦で、「攻撃の迫力」と「90分間の集中力」が課題として浮かび上がっている。チームが目指す「イニシアチブを取るサッカー」はある程度表現できているが、やや引き気味になった相手に攻撃を遅らされると決め手を欠いてしまい、立ち上がりやロスタイムといった、サッカーの定石で気をつけるべき時間に失点し、勝点を落としている。この間に特に感じられるのは、中2日の連戦が続く中での立て直しの難しさだ。メンタルスポーツの側面も強いサッカーにおいては、結果が出ないことで自信を欠いてしまい、それがプレーに悪影響を与える悪循環に陥ることは少なくない。さらに、連戦の中では精神的にも集中力を保ち続けるのは簡単ではない。
前節の東京V戦は、この集中力の維持の部分が、再びゲーム展開に直結する試合となった。特に、前半は、これまで横浜FCが守備で身上としていたコンパクトな2ラインの守備のバランスが崩れてしまった。2分、そして13分の失点は、いずれもDFライン、ボランチ、サイドハーフの間に大きなスペースを作ってしまい、可能性の高いパスを出させやすい状況を作ってしまっていた。「コンパクトな状態を作らなければ奪えない。奪ったボールをまず前につけて人が追い越すと。シンプルなことをやるしかない」(樋口靖洋監督)と檄が飛んだ後半、ようやく横浜FCらしいサッカーを展開できるようになるが、残された45分ではCKから押し込んだ1点を返すに留まった。
「非常に残念な45分を過ごしてしまった」と指揮官が試合後の記者会見で語ったように、前半にチームコンセプトの部分が欠けたプレーになってしまったことが最大の問題。東京V戦の後半できていたことを、90分間集中を続けることが求められる。栃木戦は何と言ってもホームゲーム。サポーターは90分間イニシアチブを取り、勝利の雄叫びを上げる瞬間を待ち望んでいる。今年初めてのホームでの勝利をサポーターに届けたい。そして自らの自信を取り戻し、好循環と上昇への切っ掛けとしたい。
栃木も、横浜FCと同じくここまで1勝に留まっている。ただし、チームとしての戦い方は固まっており、松田浩監督の指導がチームに浸透しつつあると言って良い。前節の札幌戦では、試合の立ち上がりからアウェイの戦い方を徹底。札幌が得意のポゼッションを生かした攻撃を見せ続けるが、ペナルティエリア内にはボールを入れさせない冷静で粘り強い守備を展開し、守備でリズムを作りボールを持たせてカウンターに繋げるという試合のベースを作り上げる。そして、後半、セットプレーとカウンターの場面で左サイドに大きく展開し、札幌守備陣との球際のプレーを制する泥臭いプレーから連続して2点をもぎ取る。しかし、その後足が止まってしまい、中盤でのチェックが甘くなると、精度の高いアーリークロスを入れられるようになり、20分間で3失点。札幌の攻撃陣の餌食となってしまった。ポゼッションする相手に対する戦い方をはっきり遂行できた一方、精度の高いプレーを90分間受け止め続けるだけの力をつける必要があることが認識される試合となった。
この横浜FCと栃木のゲームを占う意味でも、ここに大きなポイントがある。ポゼッションを主体とする横浜FCに対して、栃木は前節と同様の考え方で臨んでくることが考えられる。その上で、栃木が横浜FCのポゼッションのやり方に慣れるまでの時間に横浜FCが得点をもぎ取ることができるか、そして運動量が落ちる試合終盤に向けて集中力を切らさないでいられるか。このポイントを制したチームが勝利に近づく。どちらにしろ、両チームの現状を考えると1点を争うシビアなゲームになるだろう。
横浜FCには難波宏明、飯田健巳、栃木SCには松田正俊、阪倉裕二コーチと、それぞれ対戦相手にゆかりがある選手、コーチも多い。それぞれに、成長した姿を見せて、もちろん勝点3を奪うことが恩返しとなる。チーム自体は固まりつつある両チームが、上昇へのきっかけとなる勝利だけを求める熱戦が繰り広げられることは必至だ。
以上
2009.05.09 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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