5月10日（日）J1 第11節 Ｇ大阪 vs 柏（15:00KICK OFF/大阪）
スカパー！生中継 Ch308 14:55〜（解説：山本昌邦、実況：西岡明彦）
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　かつて4年間にわたって柏レイソルを率いた西野朗監督も、ガンバ大阪の監督に就任して今年で8年目。以前、同監督自身が選手時代に在籍した柏の前身、日立製作所サッカー部への愛着も込めて話した「僕には黄色い血が流れている」という言葉になぞらえるなら、「青い血」もそろそろ流れ始めているだろうか。Jリーグで指揮した試合数も、柏の109試合に対し、G大阪が今節で236試合目（注：今季の10節はACL出場のため7月1日に開催）。その間にはJリーグ、ACL、天皇杯等のタイトルも手にし、昨年はアジア最優秀監督にも選ばれた。また、07年3月3日の大宮戦では監督史上初のJ1通算150勝を達成。その数字も、現時点で187勝にまで伸ばし記録を更新中と、クラブ監督として数々の高い評価を得てきたのは、殆どがG大阪でのものだ。

　と、煽るつもりはないが、柏戦となるとどうしても注目してしまうのが西野監督だ。最も、監督自身はそれほど気にしていないのか、気にしていないように装っているのか。最近はさほど特別な感情を持っていないようにも見受けられる。ただ言葉で語らないまでも、西野監督以来、柏戦での勝率がG大阪の7勝1分4敗と圧倒していることに、氏のプライドが伺える。思えば、記憶に新しい今年の元日、天皇杯決勝で延長戦の末に柏を1-0で柏をねじ伏せた際のガッツポーズもそれを証明するもの。もちろん、相手がどこであれ「勝ちたい」気持ちは同じだろうが『特別な一戦』であることも嘘ではないだろう。

　前置きが長くなったが、明日の注目ポイントに話を移そう。
　現在、G大阪は5勝1分3敗の4位。対する柏は1勝6分3敗の16位。やや苦しみながらも好調に勝点を積み上げるG大阪に対し、柏は未だ白星は一つと苦しい戦いが続いている。そんな中で迎える両者の対決、となればどうしてもG大阪の勝利を予測する人が多いのかも知れないが、G大阪には今季の戦いに、ある１つの傾向が見て取れる。それは、ACL直後の一戦には２試合続けて敗れているということ。FCソウルとのアウェイ戦から中4日で迎えたアウェイでの京都戦は1-2で敗戦。更にスリウィジャヤとのアウェイ戦から同じく中4日で迎えたアウェイでの神戸戦も1-3と黒星を喫している。これについては、西野監督も「疲労は否めない」としながらも「まだ序盤戦だし、この時点ではまだそれを理由にしてはいけない。今年はそういう部分で変化をさせたいと思っているし、それぞれの戦いをいい方向に出せるようチャレンジしたいと思っている」とコメント。選手層が厚くなった今季だからこそ両大会の『両立』、つまりは、勝利を強調した。幸いにも今節は、京都戦、神戸戦とは違い『ホーム』での試合となるだけに、今季負けなし（3勝1分）の万博競技場で、サポーターの声援を力に嫌なジンクスを払拭したいところだ。

　注目は前節、大分戦でクラブ記録を更新する8試合連続ゴールを挙げたFWレアンドロ。ACLベスト16への『1位通過』を決めた6日の山東魯能戦でもゴールを挙げ、ACL得点ランク首位を独走中と、好調は数字が表す通りだ。しかも２トップを築くFWチョジェジンとの連携、前線からの守備という点でも日を増すごとに改善が見られ、それがチーム全体の好調にも直結している。今節でも『組織プレー』に徹する中でのゴールを期待したい。

　対する柏は、先にも書いた通り現時点での白星は8節の大分戦の１つのみ。決して悪い内容の試合ばかりではないが、勝ち切れない試合が続いている。とはいえ、今季柏の監督に就任した高橋真一郎氏にとっても、過去にユース監督を務めたG大阪との対戦は、特別な一戦。MF寺田紳一ら、かつての教え子もいる相手に西野監督同様、「負けられない」との思いは強いはず。また元旦の『天皇杯』のリベンジに燃える選手も多いことだろう。その柏の注目はやはりFWフランサ。5節の広島戦で負傷し、左内転筋の肉離れ、全治約4週間と診断され離脱していたが、前節・浦和戦で5試合ぶりのベンチ入り。出場時間は１分に留まり、チームも敗れたが、彼の早期復帰はチームにとって好材料だろう。今節でも出場となれば間違いなく攻撃バリエーションは広がりをみせるはず。『魔術師』との異名をとる彼だけに、華麗なパスの数々で、またその決定力で勝利に飢える柏を救ってくれるに違いない。

以上

2009.05.09 Reported by 高村美砂