5月10日(日)J2 第14節 福岡 vs 鳥栖(13:00KICK OFF/福岡)
スカパー!生中継 Ch182 12:50〜(解説:サカクラゲン、実況:後藤心平、リポーター:森田みき、プレーヤー解説:布部陽功)
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「どんなに素晴らしい勝ち方をしても、今季は笑えません」と第9節熊本戦を終えた岸野靖之監督は苦渋の表情を見せていた。剛直な岸野監督のことだから、多くの言葉で表現することはない。
しかし、長い付き合いの中で想像するに、2005年に鳥栖に来て以来初めてといっても良いほどの屈辱だったに違いない。そして、第12節水戸戦では、「鳥栖史上最悪の試合」と一刀両断に付した。メンバーの変更もシステムの変更も、思うような結果が出ず、相変わらず眉間のしわは消えていない。第13節の草津戦では4得点で優位に試合を進めたものの、後半に2失点を喫し眉間のしわは増えてしまったようだ。
しかし、回復の兆しを見せたことも事実である。第13節草津戦の前半に限って言えば、『鳥栖らしさ』が戻ってきたからである。『鳥栖らしさ』とは、全員が激しくボールを前線から追い、奪ったボールを大事につないでゴールに向かうことである。岸野監督が2005年に鳥栖に来て以来、そこは全くブレていない。(当時は岸野ヘッドコーチ)むしろその意識は強くなり、鳥栖の代名詞となった。当時のJ2に与えた影響は大きい。それゆえに、第9節と第12節の敗戦は、岸野監督にとっては許しがたい内容であったに違いない。
「落ちるとこまで落ちた。出せる膿は出した。あとは、開き直るだけ」とその後に語ってくれたことで、少々の不安は取り除けた。岸野監督はじめ選手もスタッフも、第13節草津戦の前半での戦い方で迷いは吹っ切れたようだ。草津戦で勝点3を得たからでも、今季の最多得点4点をあげたからでもない。チーム全員で、同じ意識を持って戦えたからである。それが目に見える形で出せたことで、邪念を振り払い、自信を取り戻すことができた。あとは、その思いを実践することである。いや、実戦といったほうが鳥栖のファンとサポーターには伝わるかもしれない。
その実戦機会に、最高の舞台が巡ってきた。第14節の福岡戦である。アウェーでの戦いになるが、戦いの舞台としては最高のシチュエーションである。
「あのスタジアムは最高や。サポーターの声も近くに聞こえるし、選手を後押ししてくれる。自然と気合が入るスタジアムや」と岸野監督はレベルファイブスタジアムでの戦いを歓迎する。スタジアムだけではなく、『九州ダービー』であることも、彼の闘志に火をつける。手応えを感じた草津戦から間もないことも好都合と見える。
「やることに迷いは無くなった。信じてやるだけや」とその眼は10日の福岡戦に向いている。
さらに鳥栖のファンとサポーターに朗報がある。新加入した山瀬幸宏の選手登録が完了したことである。MF高地系治の負傷で不安視された中盤だったが、彼の加入は新たな可能性を示している。その可能性を確かめるには、レベルファイブスタジアムに駆けつけるしかないだろう。
出場は定かではないが、システムは前節同様の4-4-2には間違いない。前所属先の横浜FMではサイドを主戦場としていただけに立ち直りのきっかけをつかんだ鳥栖でどのようなプレーを見せてくれるのか楽しみである。
前節勝利の立役者となった右MF武岡優斗は元気である。左MF島田裕介の存在は、今の鳥栖には欠かせない。あらたな興味は、鳥栖サポーターの嬉しい悩みとなるかもしれない。その答えは、10日(日)13時キックオフのレベルファイブスタジアムで確かめることができる。
現在の順位も過去の対戦戦績もダービーマッチには関係ない。ファンやサポーターが求めるものは、“勝利”そのものであり“健闘”ではない。贔屓チームの勝利だけのために大きな声援を送り、旗を振り、太鼓を鳴らし、全員で躍動する。その思いは、ピッチの選手たちには十分に伝わるだろう。
互いにリスペクトし、ダービーマッチを堪能しよう。
サッカーを愛し、贔屓チームを持つ者の特権だから…。
以上
2009.05.09 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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