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【J2:第11節 甲府 vs 湘南】レポート:甲府vs湘南のJ2・4−3−3最強決定戦は11対9+2本へ。そして、甲府が自信を持って喜ぶことが出来る勝利を手にした(09.04.30)

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4月29日(水) 2009 J2リーグ戦 第11節
甲府 1 - 0 湘南 (14:04/小瀬/11,546人)
得点者:82' 松橋優(甲府)
スカパー!再放送 Ch182 4/30(木)17:30〜(解説:外池大亮、実況3:前田真宏、リポーター:横内洋樹)
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「負けたけど、あまり課題のないゲーム」、「感想と言っても、見ての通り。感想は述べられないですよね」
試合後の会見で湘南・反町康治監督の言葉を聞いて、28分(田原豊)と74分(アジエル)に退場者を出した相手に勝ったことに「勝点3」以外にどんな意味を見出せばいいのか迷った。退場者はともに湘南のキーマン。反町監督の会見後は、勝利が少し色あせたような気分になった。しかし、ミックスゾーンで選手の話を聞いて勝利の色は徐々に戻ってきた。

センターサークル付近で藤田健、秋本倫孝がアジエルに続けざまに抜かれ、そのままドリブルで独走されたシーンを見て、「アジエル、怖い」と素直に思った。これが、開始2分の出来事。湘南担当の記者は「今のアジエルはキレキレ。J2のレベルでは止められない」と言う。確かに、止められそうもないし、闘莉王(浦和)でも抜かれるだろう。アジエルが絡む湘南のポゼッションも怖かった。甲府はそれに何度も後手を踏まされた。センターバックの山本英臣は「一発で飛び込まないでほしい」と思っていた。飛び込んで抜かれれば、アジエルはスピードに乗ったままドリブルが出来るが、飛び込まなければ斜めに抜かれないのでドリブルのスピードは落ち、カバーする選手がボールを奪える可能性が高くなるからだ。

主導権を湘南が掴んだまま序盤のゲームが進んでいく中で、注目したマッチアップは「甲府アンカー・秋本」対「湘南FW・田原」と「甲府FW・マラニョン」対「湘南DF・臼井」。前者は秋本が粘っこく田原に絡み続けた。後者は、臼井がマラニョンに対して焦れて飛び込まずに湘南の右サイドを守っていた。1対1においては完璧だった。そして、28分にこのマッチアップの1つが消滅する。左サイドでボールをキープする田原に対して、秋本が厳しく絡んで2人は足を絡ませたまま倒れ込む。そのままなら湘南のFKになった場面だが、田原が秋本の足を蹴るように見えた行為を犯して一発レッドカード。湘南は4−4−1にシステムを変更するが、思った以上に前に出ることが出来なくなっていた。田原が退場する前は、甲府も徐々にチャンスを掴みかけていたが、ここまで湘南が変わったことが意外だった。それだけ、田原は重要な選手ということだろう。

後半、秋本はターゲットをアジエルに変えた。彼の白いユニフォームが緑色になりそうなほど芝生に擦り付けるマークをやり続けた。温厚そうに見えるアジエルもだいぶんカッカしていたようで、57分にイエローカードを出されてしまう。試合の展開は、攻撃の練習みたいに甲府がシュートを打ち続けた。しかし、10人の湘南には2本の白い味方がいた。湘南のGK・野澤洋輔が、「甲府にミドルシュートがあるという情報がなかったけれど、DFにはコースを限定してもらった。今日は(ゴール)ポストがだいぶん味方になってくれたけれど、ミドルシュートを止める自信はあった」と言うように、決定的なシュートをポストと連係して何本も防いだ。しかし、この時点で甲府は湘南のディフェンスラインを下げさせて、ミドルシュートを打つという狙い通りの展開に持っていっていた。計算外だったのは、甲府のシュートはポストやバーに愛されて止まないということ。小瀬のゴールポストは円柱ではなく、内側を大きくえぐった方がいい。それが無理なら、おはらいでもするか買い換えるしかない。

「これで勝てないと今年も湘南に勝てない」なんて、頭の中のゴーストが囁き始めたころ、湘南のキーマン・アジエルがシミュレーションを取られて2枚のイエローカードをもらう。1人少なくなっただけで別人のようになっていた湘南のプレーを見ていると、引き分けに向けて時間が進むのを期待しながら、一方でカウンターを狙っているように感じたが、アジエルもいなくなってしまうと、湘南の狙いのシーソーは前者にガクンと傾いた。しかし、湘南には絶対に退場にならないチームメイトがいた。77分のダニエルのミドルシュートが野澤の手に当たった後、ポストに当たる。この試合で4回目か5回目のファインセーブ。野澤もすごいが、よくこれだけポストに当たるもんだ。それでも甲府は、9人と2本の湘南に対してサイド攻撃とミドルシュートで攻め続けた。そして、37分に手に入れたCKが途中出場の松橋優のゴールに繋がる。美尾敦が蹴ったボールをマラニョンが頭で落とし、松橋がゴールポストから一番遠いゴールの真ん中に蹴りこんだ。ゴールポストは硬く強いけれど、動けないからだ。

記者席で勝利を味わいながらも、何かが心に引っ掛かっていた。ぬるいビールを飲んだような勝利の味。湘南担当の記者や美人レポーターと仲がいいからなのか、広報がいつも優しくしてくれるからなのか。心のどこかに下心でもあるのか…。やはり、「アジエルと田原が最後までいたら、どうなっていたのか」ということが引っかかっていた。その思いをミックスゾーンでキャプテンの山本に言うと「『たら』、『れば』はないし、『11対11だったら、どうなっていたか』という質問にはコメントはしたくない。(2人の退場は)必然的に起きた。カードに値するプレーをしたから。それがサッカーの常」と自信を持って言い切った。その自信が嬉しかった。マラニョンに最後まで突破を許さなかった臼井は、「アジエルと田原がいなくなって、彼らにどれだけ頼ったサッカーをしていたかを思い知らされた。起点がないと攻め上がれなかった」と言った。湘南にも大きな課題はある。反町監督はフランクに何でも話しているようでも、アキレス腱の場所と切り方なんて言う訳がない。弱みを「ポロリ」なんてことはないのだ。そう、サッカーは不完全な世界。そこに完璧を求めていたから余計なものが心に引っ掛かった。不完全な世界に必要なものは「愛」だけ。自信を持って喜ぼう。「首位の湘南に勝ったど〜」

以上


2009.04.30 Reported by 松尾潤
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