4月29日（水） 2009 J1リーグ戦 第8節
柏 2 - 1 大分　（16:04／柏／9,058人）
得点者：38' 森重真人（大分）、81' 北嶋秀朗（柏）、89' 大津祐樹（柏）
スカパー！再放送 Ch183 4/30（木）14:00〜（解説：遠藤雅大、実況：中村義昭、リポーター：川上直子）
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試合終了後、選手たちは互いに抱き合い、殊勲の大津祐樹はチームメイトから手荒い祝福を受けた。ようやく長いトンネルを抜け、「未勝利」というプレッシャーから解放された柏の選手たちは、ここまでチームを支えてくれたサポーターとともに、日立台恒例の『勝利のダンス』で今日の日を締めくくった。

前節の清水戦で今季最高の出来とも言える試合内容を見せた柏は、同じ布陣で大分戦に臨んだ。一方、大分は「より相手にハマるのではないか」というシャムスカ監督の柏対策の意図から、これまでとは異なる４−４−２のシステムを採用。初勝利のために前節の流れを引き継ぎたい柏と、最下位から抜け出すため４バックに変えた大分。前半まず優位に立ったのは大分だった。
柏は、大分が比較的低い位置から前線へフィードを当ててきたために、前節の清水戦のような中盤での取りどころを見出せなかった。攻撃面でも李忠成、菅沼実、ポポが大分DFラインの裏を狙って飛び出そうとするも、大分の４バックが３人に自由を与えず、その結果迫力と精度を欠いた。だが大分も、守備面では安定感を見せはしたものの、ブラジル人ダブルボランチを欠いたせいか、ボールを奪った後のつなぎでミスを連発。両者とも効果的な攻撃を展開できず、時間だけが過ぎていった。

流れの中での攻撃は停滞した両者。チャンスはともにセットプレーからだった。柏は18分にポポのFKが枠をとらえ、20分にもセットプレーのセカンドボールを古賀正紘がヘッドで合わせにいくが、これは大分GK西川周作が古賀より一瞬早くボールをキャッチ。大分は33分にウェズレイが直接狙ったFKが柏GK菅野孝憲の好セーブに阻まれたが、38分のFKでは、MF鈴木慎吾のボールに、ゴール前でフリーになったDF森重真人が頭で合わせてわずかにコースを変え、柏ゴールへと流し込み先制した。

同点に追いつきたい柏は、杉山浩太の体調不良、ポポの負傷によって、後半開始から大津祐樹と藏川洋平を投入。怪我の功名か、この交代が流れを一変させる。特に大津は独特のリズムを刻むドリブルと、体を当てられても絶対に倒れないボディバランスで左サイドを突破、縦へ抜け出してはクロスボールを上げ、あるいはカットインから中へ切り込みチャンスを演出。停滞していた攻撃のリズムを変化させた。
柏は71分にDF石川直樹に代えてFW北嶋秀朗を投入、より攻撃的にシフトチェンジする。81分、大津のパスを受けた藏川が左サイドからクロスを上げると、「あの形のヘッドは得意」と振り返るように、ゴール前に飛び込んできた北嶋のヘッドが完璧な形で決まり、同点ゴールを突きさした。

そして何といっても大津祐樹である。後半開始から出場し、ここまでも得意のドリブルで何度も大分DF陣を翻弄し、チームに流れを呼び込んだ19歳がチームを救う。ロスタイム４分という表示が出た直後、左コーナーキックにきれいに頭で合わせてネットを揺らした。背番号27は両手を上げて喜びを表現しながら、日立台の大歓声を独占した。柏が逆転で今季初勝利を挙げた。
試合後、菅野が「続けることが大事」と話したように、ここまでの出遅れを取り戻すためには、これから続いていく連戦を確実にものにしなければならない。まだまだ怪我人も多く、苦しい状況は変わりないが、弱冠19歳の大津が魅せたパフォーマンスと、北嶋、藏川というベテランが示してくれた気持ちの強さは、チームに活力を与えるに違いない。

以上


2009.04.30 Reported by 鈴木潤