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【J2:第11節 仙台 vs 水戸】レポート:ロングボールでゲームをコントロールした仙台が、成長著しい水戸をいなす形で勝点3ゲット。しかし水戸も修正能力を見せた。(09.04.29)

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4月29日(水) 2009 J2リーグ戦 第11節
仙台 2 - 1 水戸 (13:04/宮城ス/11,261人)
得点者:44' 関口訓充(仙台)、78' 一柳夢吾(仙台)、83' 高崎寛之(水戸)
スカパー!再放送 Ch184 4/30(木)20:30〜(解説:鈴木武一、実況:守屋周、リポーター:村林いづみ)
☆GWはファミリーJoinデイズ勝敗予想ゲーム
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 試合終盤のドタバタした時間帯に関しては多少自作自演といった感もあるのだが、ともかく勝てた今となっては、それも「次節以降への戒め」(手倉森誠監督)と肯定的にとらえることができる。
 最後の時間とその失点を除けば、仙台は水戸に対し、ほぼゲームプランを遂行しきっての勝利。ただ勝つだけでなく、撃ち合いとなった昨年の反省を踏まえ、ゲームをコントロールして勝利するという狙いを達成したといえる。

 この日宮城スタジアムにやってきた水戸は、ここまでの10試合の中で、昨年からの大きな成長を披露してきた。自陣ゴール前を固めて耐えるのではなく、前からのチェックとそれに連動する形での高いDFラインを基本線に、奪ってからは中盤でしっかりとポゼッションを高めて相手を崩していく。木山隆之監督が就任以来目指してきたサッカーが、2年目の今年花開いた格好だった。
 となるとこの対決も、成長著しい水戸の中盤対、元々高い技術を持つと評価されていた仙台の中盤という図式が想像された。だが、このありきたりな予想に迎合することなく、勝点3を得ることを追求する道を選んだ仙台が、結果的には前半から憎たらしいまでにゲームを支配することになったのだ。

 ここ数節の仙台は、ボランチの斉藤大介のミドルパス、あるいはサイドにつけた後の永井篤志によるフォローが、仙台の攻撃の起点であり胆であった。だが今節、起点はさらに後方にスライド。彼ら2人だけでなく、エリゼウを含めた最終ラインの選手たちから、中盤を一気に飛び越えるロングボールが次々と放たれる。

 狙いは明確、そして効果も明らかだった。プレスに行こうと意気込んでいた水戸の中盤は肩すかしを食らったばかりか、仙台の2トップ、平瀬智行と中島裕希がロングボールを上手く収め、後方から上がってくる選手に前を向いた状態でのボール保持をもたらすものだから、水戸の最終ラインは仙台の意図通りにずるずると下がっていく。こうして広がったスペースを使えるのは、必然的に仙台の側になるわけだ。

 この試合の口火を切ったのは、林卓人にフィスティングでの際どいセービングを強いた、4分の菊岡拓朗のミドル。しかしその後はほぼ一方的に、仙台がチャンスを作っていく。好調だった平瀬がフィニッシュに関してだけはこの日苦しみ、前半だけで3本の決定機を逃してしまうということがなければ、前半の途中で勝負は決まってしまっていただろう。それでも前半のロスタイム、水戸ゴール前から守備陣が出してしまった中途半端なクリアが、梁勇基へのプレゼントボールとなり、そこから素早くボールを受けた関口訓充が、ペナルティーエリアに入ったところでノートラップでの右足シュート。これが決まって仙台が先制する。
 さらに後半、水戸の3トップ布陣に一時は押し込まれる流れを作られるも、78分にはCKから途中投入の一柳夢吾がヘッドを決めて追加点。前半開始からここまでは、仙台がここ数年の悔しさによって得た「勝点へのこだわり」が素晴らしい形で具現化された時間だった。
 冒頭の通り、終盤の悪い時間帯での出来事を修正できれば、次節以降さらに連勝を伸ばすことも期待できるだろう。

 では、ここまで仙台のことばかり触れているが、一方の水戸はどうだったのか。
 敗れこそしたものの、筆者は水戸にも、この試合において新たな可能性を感じさせられた。
 確かに、想定外の戦い方で仙台に襲われた前半の45分間、そして集中を切らしての失点となった前半ロスタイムまではいただけない。
 しかし後半開始から、木山監督は単純ながら効果的な策を打ち、少なくともゲームの流れを五分に近づけることに成功。前半からの展開、そして仙台にリードを奪われたという状況を踏まえ、自ら中盤でのゲームメイクをいわば放棄、吉原宏太を投入しての3トップ布陣への変更が功を奏した。「中盤同士のポゼッションとか、前を向いた時のプレーの質を考えた時に、自分たち(の中盤)がちょっと分が悪いと考えた」とまではっきりと木山監督は語っていたが、現状を冷静かつ客観的に見つめられる目があるからこそ採れた策。実際に水戸が1点を返した後、仙台には明らかに慌てているそぶりが見え、危険だと分かっていながら自陣でファールを続けるなど危険な状態に落ち込んでいたことを思うと、あと一歩で前半の絶望的とも言える内容だった試合を引き分けに持ち込む、その直前まで水戸は達していた。

 確かに、ここで追いつけないことが今の水戸の力という、菊岡の言葉も一理ある。しかし、ひたすら相手の攻撃に耐え、それでも失点したらほぼ策無し…という雰囲気だった過去の水戸を思えば、自らの戦い方のチェンジによってゲームの流れにひとスパイスを与えられるまでに成長できたことは、素直に誇ってもよいのではと思う。

 もっとも、今日敗れたとはいえ、水戸はまだ仙台同様、上位を伺える位置にいる。
「研究されたらその上を行かないと」(菊岡)。これが近いうちになされれば、水戸は今年「実りの秋」を迎えることになる…かもしれない。

 まずは次回対決まで、一つ楽しみが増えた。

以上
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