4月29日（水）J2 第11節 甲府 vs 湘南（14:00KICK OFF/小瀬）
スカパー！生中継 Ch184 13:50〜（解説：外池大亮、実況3：前田真宏、リポーター：横内洋樹）
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「でも、ポロリはないですよ」
湘南の練習を広報と並んで見ながら、「反町康治監督は五輪代表監督の頃もフランクに話をしてくれた」という話をしていたら広報が言った。平塚駅の隣はあのホテルがある大磯駅だが、水泳大会の話ではない。フランクに話をしても重要なことをポロリと言ったりすることはないという話。

練習後、反町監督と話をする時間を貰え、「甲府と湘南の4−3−3の違いは？」と聞くと、「それは言えないなぁ〜」なんて答える。でも、アンカーの話に持っていくと「（秋本より）林が入ってくれた方がウチはありがたい」とネタはくれる。そして、話が温まってくるとスターアライアンスのマイルのため方や使い方（反町監督はプロ契約でベルマーレと契約する以前は、全日空の社員選手としてJリーグに出場していた）の話になって、最後は横道に深く入ってしまう。

甲府と湘南は、お互いに布陣図では全く同じ4−3−3で、湘南もボランチのポジションをアンカーと呼ぶ。湘南は田村雄三がアンカーで不動のレギュラーだが、甲府は秋本倫孝と林健太郎の2枚が先発している。反町監督は甲府の対戦相手のスカウティングで甲府戦を2試合見ているから、殆どの情報は頭の中に入っているようで「林の方が…」というヒントをくれた。つまり、ボールを捌けるアンカーよりも、守備の強さがある秋本の方が湘南のチャンスが少ないと予想しているということ。甲府の選手に言わせれば、「（林）健太郎さんボールはそんな簡単に取れない」ということになるが、どちらの見立てが正しいかは29日の午後4時前には判る。田村は「去年の甲府は林選手がアンカーで、2〜3メートルの距離でパス交換することが多く、プレスは掛けやすかった。一人が（プレスを掛けに行って）駄目でも、2人目がイケたし、奪ったらチャンスだった。今年の甲府は金信泳と森田浩史が入ったし、両サイドが速いので去年とは違うと思う。去年は（甲府に）3勝したけど、今年はどこのチームに対しても（得意や苦手という）先入観はない。やってみないと判らない」と話す。

今節、甲府のアンカーには秋本が入る見込みだが、田村とプレースタイルを比べられることに興味は無いようで、「（3トップの中央に入る）田原（豊）とは同学年で、高校の時から戦ってきたから、（明日も）やり合いたい」と、フィジカルの強い田原とのガチンコを対決を楽しみにしている。ただ、CBではないのでその回数は少ないかもしれないが、ないことはないので秋本VS田原の戦いは注目点の一つになる。もちろん、一番のポイントは秋本がいかに湘南のチャンスを摘み取るかという点。中盤の坂本絋司、寺川能人の飛び出しも直接的な危険になるからだ。また、アジエルは3トップの右といっても結構下がってプレーするし、トップ下にも来る。見た目は気の好いブラジルの兄ちゃん風だが、アジエルはその印象に騙されると痛い目に遭う。俳優に例えると火野正平か。ともかく、同じ4−3−3でもそのコンセプトは違うのだ。甲府は湘南のラインを下げさせてサイドを起点に勝負を仕掛けて、好調の3トップ（マラニョン、金信泳、森田）がゴールを決めたい。このやり方は変わらない。

誰に聞いても「やってみないと判らない」という答えが返ってくる4−3−3対決。甲府の山本英臣は「アジエルをマークすることも大切だけれど、そこに出てくるパスの出所にプレッシャーを掛けることが重要。とにかく、メチャクチャ楽しみ」と言い、甲府の安間貴義監督は「なんだかんだ言っても勝負を決めるのはアジエル。（2列目からの飛び出しでは）ウチの紅白戦みたいになる。湘南には（去年）勝っていないから、順位とか勝点差とか関係なく単純に勝ちたい。ウチはゲームの入り方に尽きると思う。ミスは繰り返していないから」と、栃木戦のミスを繰り返すことなく、最終的に右肩上がりになる自信を持っている。

「1−0の差は相当の実力差だと思ったほうがいいと思うよ」と取材の最後に言った反町監督。終盤の15分に失点していない甲府にとって勝負となる言葉でもある。明日の午後2時が待ち遠しい。

以上

2009.04.28 Reported by 松尾潤