4月29日（水）J2 第11節 鳥栖 vs 栃木（19:00KICK OFF/鳥栖）
スカパー！生中継 Ch174 18:50〜（解説：サカクラゲン、実況：南鉄平、リポーター：ヨンヘ）
☆GWはファミリーJoinデイズ｜勝敗予想ゲーム
----------
人間とは実に勝手な生き物で、その日の気分で行動や対応が変わってしまうものである。褒められれば悪い気はしないし、叱られたら凹む。勝てば連勝街道の入口と思い込み、連勝すれば優勝（J1昇格）を夢見ている。逆に敗戦は不安を呼び、連敗は早急な手立てを求めだがるもの。
しかし、それだからこそ応援に熱が入り、勝利に歓喜し、敗戦に苦汁がにじむ。だから、私たちはこれでよい。そんな状況でミッドウィーク開催となる第11節鳥栖対栃木の一戦が29日に行われる。

互いのチームとも、今節への準備期間は非常に少なかった。よって、強いて挙げると前節から中3日の鳥栖にアドバンテージがあると言えるかもしれないが、それだけが勝利への要件ではない。試合間隔が少ないからこそ、前節での結果をいかにして今節へのモチベーションに変えているかも見ておきたい。

鳥栖は、雨中の戦いで岐阜に１−０と勝利で収めて勝点３を得た。蹴っては止まってしまうボールを追い、水しぶきをあげながら90分間を戦った。鳥栖も岐阜も“シンプル”な戦いを選択し、手数をかけずにボールをゴールに運んだ。同じ“シンプル”なサッカーを求めたが、結果の違いは“シンプルさ”の質にあった。
ボールのタッチ数が増えれば、あの状況ではミスを起こす確率は高くなる。少ないタッチ数とバイタルエリアからの積極的なゴールの意識がDF柳沢将之のゴールを生んだと言えるだろう。
「シンプルに上げものは上げる。蹴るところは蹴る」（柳沢将之/鳥栖）意識が、48分に決勝点を挙げた。シュート総数16本（岐阜は４本）が、全てを物語る。この勝利は、チームにとっても選手にとっても、悪い気はしない。
MF高橋義希も、「（第９節熊本戦で）攻撃面で問題が出たので、今日は自分達の課題を解消するという意味で戦いました」と成果をあげた。この勝利は、鳥栖に勢いをもたらすことだろう。

対する栃木は、甲府相手に最大２点差をつけて優位に試合を進めながらも、終了間際に追いつかれて引き分けた。『堅守』を売り物にしている栃木が３失点を喫したことと、２点の優位さを守れなかったことは、選手たちの自信喪失となっているかもしれない。だからといって、栃木の苦戦を予想できるほど、サッカーは甘くない。
第９節を終了した時点で１得点と極度の得点量不足だった攻撃陣が、甲府戦で３得点を挙げて上昇気運を見せてきた。『堅守』を誇った守備陣も３失点を“発奮材料”に変えてくるだろう。今節までの準備期間が少ないだけに、より『堅守』の意識を高く持ち、得点への思いを募らせたに違いない。

“歓喜”を勢いに変えることができるのか、“屈辱”を発奮材料に変えるのか。鳥栖対栃木の一戦は、自分たちのサッカーにかける思いこそが結果を左右する試合となりそうだ。

もう一つ、皆さんの目で確かめて欲しいことがある。
前節から鳥栖はシステムを変更して戦い出している。４−３−３とも４−５−１とも見ることができるシステムである。サイドDFを専門とした谷田悠介をアンカー的な位置に配置し、MF高橋義希をやや右サイドの高めにおいて中盤を厚く“起点”を多く作ることができるシステムである。攻撃的とも言えるが、これまでよりも“前線からのプレスをかけやすくなった”とも言える。この“前線からのプレス”こそが鳥栖らしさでもあり、連勝するための“約束事”となるかもしれない。栃木の堅守にどれだけ通用するのか、今後のリーグ戦を見据えるためにも大事な一戦となる。

力で相手の守備を崩すのも、駆け引きで相手の綻びを突くのも攻撃の常套手段。
入ったボールをはじき返すのも、ボールを入れさせないようにするのも守備での約束事。
ボールを保持すれば“攻撃”であり、奪われれば“守備”である。
この当たり前の繰り返しの中に、選手の思いが詰まっている。
一つ一つのプレーの中に、その思いを感じて欲しい。
サッカーは、一挙一蹴に一念がこもっているドラマである。

以上

2009.04.28 Reported by サカクラゲン