4月29日（水）J1 第8節 柏 vs 大分（16:00KICK OFF/日立台）
スカパー！生中継 Ch181 15:50〜（解説：名波浩、実況：中村義昭、リポーター：川上直子）
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いまだリーグ戦未勝利の柏と４連敗中の大分、不本意ながらも17位と18位という形での対戦となった。互いに確固たるスタイルを持ち、昨季は天皇杯準優勝とヤマザキナビスコカップ優勝を成し遂げたチームである。負傷者続出や、わずかな勝負のあやが、両者のこの低迷を招いたのだろうか。

柏にとって前節の清水戦は、今季最高の出来とも言える内容だった。これまでは攻撃への意識が強すぎたあまり、前がかりになったその裏を突かれて失点を重ねたが、前節はその課題を修正するとともに、チーム全体がリスクマネージメントの意識を保ちつつ中盤を支配。高い位置からのプレスもハマり、柏らしさがふんだんに見られた試合となった。柏が“らしさ”を取り戻したのは杉山浩太の復帰に因るところが大きい。故障上がりながらも清水戦ではフル出場を果たし、中盤の底で見事な舵取りを披露。こういった点を踏まえ、大分戦では前節の布陣をそのまま踏襲することになるだろう。

その中で柏が今節勝利を挙げるために最も必要なものは「メンタル面」ではないだろうか。未勝利のプレッシャーが生む「マイボールを大事に」という意識がアタッキングサードでの積極性を奪い取り、勝負どころではボールタッチを委縮させてしまう。李忠成は「今までは変なプレッシャーを感じていた」と、それまでのネガティブな心境を吐露するも、「今はもう吹っ切れた。サポーターが期待してくれている。勝てば個人的にも何かが変わる」と意気を高めている。李は１トップを担うとあって、ボールが入った瞬間を大分の３バックに狙われるが、クサビのパスからポストプレーで味方をうまく使いながらも、ストライカーとして貪欲なまでの姿勢を発揮できれば、彼自身が望む「勝利につながるゴール」も可能性は増すはずだ。

一方の大分は、前線にウェズレイ、森島康仁というタイプの異なる２つのターゲットがあり、高い位置でポイントを作ることのできるチームである。前節のF東京戦でもエジミウソンが退場するまでは、ロングフィードを森島に当て、そこからフィニッシュまでいく展開もあり、これは柏戦でも鍵を握ると思われる。ロングフィードやサイドからのクロスに対しては柏のセンターバックも弾き返すだろうが、そのセカンドボールを拾うことができれば、自ずと勝機は見えてくるだろう。事実、大分と柏との直接対決は現在大分の３連勝中、２トップへのフィードで柏DFラインを後退させ、中盤に生じたわずかなスペースを突いた金崎夢生が柏守備網を打ち抜いているのである。柏側からすれば、大分は負傷のホベルトに続いてエジミウソンが今節は出場停止と、要となるブラジル人ボランチを２枚欠いての試合となるため、ラインを下げずにコンパクトな陣形のまま中盤のせめぎ合いで優位に立ちたい。

浮上のキッカケを掴みたい両者。技術・戦術・メンタルの他、こういった低迷期を脱する時というのは、えてして意外なヒーローが生まれたりするものだが…。

以上

2009.04.28 Reported by 鈴木潤