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【J1:第7節 広島 vs 川崎F】レポート:激しく、熱く、美しい。紆余曲折のドラマに熱狂した広島ビッグアーチの激闘。(09.04.26)

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4月26日(日) 2009 J1リーグ戦 第7節
広島 1 - 1 川崎F (13:04/広島ビ/13,896人)
得点者:34' ヴィトールジュニオール(川崎F)、58' 高萩洋次郎(広島)
スカパー!再放送 Ch185 4/27(月)10:30〜(解説:前川和也、実況:寺西裕一、リポーター:掛本智子)
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 ゴールに向かって走っていた高柳一誠が、ベンチに×印を出した。前半18分をすぎた頃だ。
 今季、強いフィジカルと高い技術をベースに存在感を発揮していた高柳は、この試合でも躍動感に満ちたプレーを表現していた。その若きアタッカーの動きに引っ張られるように、広島はキックオフからゲームを支配。右サイドのスピードスター・ミキッチの突破をアクセントに、広島は次々とチャンスを迎えていた。
 そんな時、以前から傷めていた右足太もも裏の痛みが再発。歩くのが精一杯の状況となり、自ら「プレー不能」を告げねばならなかった高柳の無念は、いかばかりか。19分、高萩洋次郎に後を託してピッチを去る若者の肩を、広島・ペトロヴィッチ監督は抱いた。

 この試合で川崎Fは、横山知伸を1ボランチ気味に置き、谷口博之を前に出して中村憲剛と並べていた。高柳がその布陣のギャップをつき、激しく動くことで中盤の制圧に成功した広島だったが、突然の出場となった高萩のウォーミングアップが不足し、チーム全体の運動量が激減。中盤の支配権を川崎Fに渡してしまった。

 34分、ヴィトール・ジュニオールが広島GK中林洋次とDF森脇良太のコンビネーションミスをつく。試合を支配した川崎Fの圧力が広島のミスを誘発した、必然のゴールだった。
 先制された広島を、さらに悲劇が襲う。44分、DF伊藤宏樹と接触して倒れたミキッチのプレーを、吉田寿光主審は「シミュレーション」と判断。この日2枚目の警告により、ミキッチは退場してしまった。
 川崎F相手に1点のリードを許し、さらに数的不利な状況に陥る。ネガティブな状況は、揃った。しかし、広島は、諦めなかった。

 「水戸戦を思い出せ!」
 そんな言葉が、ハーフタイムのロッカールームを支配した。
 昨年のJ2第4節・水戸戦。2人の退場者を出し、2度にわたって先行されたにも関わらず、広島は後半ロスタイム、同点に追いついた。
 あと45分、やればできる。水戸戦では、もっと苦しかったんだ。
 そんな想いが、選手たちを奮い立たせた。

 ペトロヴィッチ監督は森脇を右サイドに置き、槙野智章を同サイドに配置して、交互にオーバーラップを仕掛けるよう指示した。森崎和幸が入った最終ラインは川崎Fの前線と数的同数。リスク上等、1対1で勝てばいい。断固たる決意を持って、広島は後半に挑んだ。
 その広島の決意を打ち砕くべく、鄭大世が決定的なシュートを放つも、2点目が奪えない。数的優位を活かして押し込むのだが、個の突破が中心でコンビネーションに乏しく、広島のブロックを崩せない。

 57分、伊藤宏樹が佐藤寿人のプレスを受け、苦し紛れに出したパスを高萩が狙った。井川祐輔に強烈な圧力をかけてボールを奪うと、そのままシュート。前半は動きが重くゲームから消えていた高萩が、数的不利な状況下で同点ゴールを奪った。

 このゴールによって、ペースは一気に広島へ。
 柏木陽介のドリブル突破、青山敏弘の大きな展開、高萩の悠然としたパスさばき。
 一人多い川崎Fを運動量で上回り、球際の闘いで先手をとった広島が、川崎Fの圧力を受け止めてカウンターを繰り出す。数的不利を感じさせない紫の戦士たちの激しい上下動と次々に繰り出すアイディアに、広島ビッグアーチは熱狂した。

 84分、美しいパスワークで左サイドで起点をつくり、森崎和が右足を振り抜く。強烈な弾道を、GK川島永嗣も見送るしかない。
 ゴールか。いや、ポスト。内側に跳ね返り、ボールは前にこぼれた。
 85分、佐藤寿人から高萩へとつなぎ、スルーパス。飛び込んだのは、最終ラインから一気に上がってきた中島浩司だ。
 完全にフリー。
 しかし、ここまで奮闘してきたリベロの体力は、尽きていた。1対1の状況で放ったシュートは、川島の牙城を崩せない。

 その後も決定機を量産し、後半は12本のシュートを浴びせかけた広島だったが、勝ち越し点は奪えず。一方、川崎Fの後半のシュートはわずか4本だったが、最後の最後で広島を跳ね返した。共に、勝点1を拾ったとも、勝点2を失ったとも言える壮絶な闘いは終わった。

 後半、相手の強力攻撃陣に臆することもなく、リスクを背負って攻撃を続けた広島の選手たちの意気。
 その迫力のある攻撃に対して身体を張り、ギリギリのところで得点を許さなかった川崎F守備陣の矜持。
 両チームのサポーターには、勝ちきれなかった悔しさや、ミスに対する憤りもあるだろう。
 しかし今はただ、素晴らしくエンタテイメント性に富んだ試合を演じた両チームの選手たちに、拍手を贈りたい。
 ミスもあった。だがそれも含めて、サッカーとは面白い。サッカーとは美しい。
 そんな気持ちで胸が一杯になった、ビッグアーチの熱闘だった。

以上

2009.04.27 Reported by 中野和也
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