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【J2:第8節 東京V vs 鳥栖】レポート:開始9秒後に起こった前代未聞の退場劇。10人で戦った東京Vがやるべきことを徹底させ、鳥栖に快勝(09.04.16)

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4月15日(水) 2009 J2リーグ戦 第8節
東京V 2 - 0 鳥栖 (19:03/味スタ/3,043人)
得点者:12' 柴崎晃誠(東京V)、74' 林陵平(東京V)
スカパー!再放送 Ch183 4/16(木)15:00〜(解説:川本治、実況:野村明弘、リポーター:大竹奈美)
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東京Vサポーターは、ようやく笑顔で家路についたのではないだろうか。今季初の2得点、3試合ぶりの完封で連敗をストップした。そして何より、選手たちの勝利への意欲が伝わってきた。難敵・鳥栖に対して内容と結果が伴った快勝。久しぶりに「勝った」と実感できる試合だったに違いない。

とはいえ、「まさか…」(MF柴崎晃誠)の幕開けだった。
試合開始を告げる主審のホイッスルが鳴り響いたわずか9秒後、MF菅原智に対してレッドカードが掲げられたのだ。
「普通にパス出しただけ」と、FW大黒将志がキックオフのボールを中盤に戻したところを、鳥栖FW池田圭に狙われ、抜け出された。「腰を引っ張られたと思う」という池田を止めにいった菅原の行為に対し、一発退場処分が下された(試合開始9秒での退場は、プロリーグの世界最速記録だそう)。東京Vはほぼ90分、1試合まるごとを10人で戦わなければいけないというビハインドを負うこととなったが、これが逆にプラスに働いた。

1人少なくなったことでやるべきことがハッキリした上、数的不利を補うためにそれぞれが運動量を増やしたことが最大の勝因となったが、「10人でこれだけやれるんだから、11人でももっと動けるはず」(大黒)、「毎試合、最低限でもこれぐらい動かなきゃ勝てない、と気付かないとダメ」(土肥洋一)、「11人でこういう戦いができないと意味がない」(MF富澤清太郎)。このハードワークこそが、これまでの東京Vに最も欠けていた部分のようだ。
選手たちには、勝利の喜びと同じぐらい、「10人だったから勝てた」ということへの危機感も強い。
「この試合を『勝ってよかった』で一喜一憂して終わりにするのか、『なぜ勝てたか』に気付くのかで大きな差がでる」と土肥は表情を引き締める。この勝利の本当の価値は、次節の甲府戦で現れるのかもしれない。

だが、やはり東京Vにとって「この勝ちはデカい!」(大黒)。前節・湘南戦の敗戦を受け、入れ替えて柴崎、林陵平を先発起用した高木琢也監督の采配が見事に的中した。
1人減ったため、結果としては4−4−1となったが本来ならば大黒と組んだ2トップで「ターゲットとなってボールをキープし、簡単に叩いて勝負するよう言われていました」という林は、大黒を1列下げて1トップになっても、与えられた仕事を90分間貫徹した。
チームを救ったとも言うべき前半12分の柴崎の先制ゴールも、まさにその形からだった。大黒が入れたボールを林が相手DFに競り勝ち、頭で落としたところを「最初から狙っていた」柴崎が見事に突き刺した。ダメ押しとなった自身のゴールは後半29分。ドリブルで突破した柴崎からの絶好のクロスを林がゴール前で頭で合わせ勝負を決定付けた。
初先発でプロ入り初ゴール、初アシストと、FWとして最高の結果を残した林だが、鳥栖ゴール前の高い位置で相手DFに執拗にプレスをかける労を惜しまず、「押されても長いボールで簡単にはじき返せない状況を作ってくれていました」(高木監督)守備面でも大きな役割を果たした。日頃から林は、「チームの中での役割を果たしてこそ、自分の良さも生きる」と話していただけに、「チームに貢献できたことが何よりもうれしいんです」と、満面の笑みを浮かべた。
なかなか流れに乗り切れなかったチームにとって、ニューヒーローの誕生は何よりも大きな収穫だろう。良いムードを、必ず次につなげたい。

一方、5試合ぶりに黒星を喫した鳥栖は「完敗。それだけ」と、試合後の会見で岸野靖之監督が放った一言が全てだった。
皮肉なことに、結果的にあの退場劇で痛恨のダメージを受けたのは、むしろファウルされた鳥栖の方だった。得意のアグレッシブなボール回しも、「自分たちで『回す』というより、『回させられてる』感じ」(GK室拓哉)と、10人になった東京Vが完全に引いてしまったことで全く活きずに終わった。
だが、何度か流れを引き寄せかかった場面でも、パスミス、クロスの精度など自分たちのミスでチャンスを逃すことが少なくなかったのも事実だ。また、今後の戦いでは、鳥栖に対して相手が思い切り引いて守ってくることも十分予想できるだろう。そのあたりの課題克服が、鳥栖のJ1昇格のためのテーマとなるのではないだろうか。
「またやり直します」と、DF飯尾和也は次節へ向け気持ちを切り替えていた。

「東京Vの下部組織で育って、ずっと東京Vのトップでゴールを決めてサポーターの前に走っていって一緒に喜ぶのが夢でした」。ラッキーボーイとなった林は、ゴールを決めると一目散にゴール裏のサポーターの元へ走った。「とにかく、試合に出たら戦えることを見せたかった。それを見れば、サポーターも増えてくれると思う。たくさんの人に観に来てほしいですから」との思いは、この試合を観た東京Vサポーターには伝わったに違いない。
選手たちもこの勝利で何かを掴んだはずだ。次節からの戦いを楽しみにしたい。

以上


2009.04.16 Reported by 上岡真里江
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