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【J2:第8節 岐阜 vs 仙台】レポート:指揮官の狙いが交錯したこの一戦。結果にこだわった仙台が勝点3を掴む(09.04.16)

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4月15日(水) 2009 J2リーグ戦 第8節
岐阜 0 - 2 仙台 (19:03/長良川/1,870人)
得点者:6' 平瀬智行(仙台)、79' 梁勇基(仙台)
スカパー!再放送 Ch183 4/16(木)17:30〜(解説:森山泰行、実況:加藤義久、リポーター:高木恵子)
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試合前、両チームには様々な憶測が飛んだ。仙台は左サイドバックに誰を起用するか、欠場するMF関口訓充の代役は誰なのか。フォーメーションも【4-4-2】なのか、それともいじってくるのか。岐阜は前節欠場したFW片桐淳至を起用するのか、前節の水戸戦で怪我で離脱したMF高木和正と退場したDF秋田英義の代役は誰なのか。先発メンバーも大幅に入れ替えた水戸戦のままで行くのか。
ふたを開けてみると、仙台は左サイドバックに一柳夢吾を起用し、布陣も【4-4-2】ではなく、今季初となるスリーボランチを敷く【4-3-1-2】を採用。4バックの前に左から永井篤志、斉藤大介、富田晋伍を並べ、梁勇基をトップ下に起用した。
対する岐阜も水戸戦と同じ、朴俊慶と片山真人の2トップを起用し、怪我の高木の離脱を受けて、永芳卓磨をボランチに、前節退場した秋田に代わり、今季初先発となるルーキー野垣内俊を左サイドバックに置いた。

前半開始早々の6分、試合はミスから動く。左からのクロスに対し、野垣内が痛恨のクリアミス。こぼれたボールをFW平瀬智行が豪快に蹴りこみ、仙台が先制に成功する。
幸先よいスタートを切った仙台は、岐阜に対し、ロングボールを多用して、前線からのハイプレスを嫌い、リスクを回避する戦い方に出た。4バックの前に3ボランチを並べ、守備時は彼らが比較的ラインを固定して構え、ボールを奪ったらロングボールで2トップへボールを展開。彼らが高い位置でボールを収め、そこに梁が絡んで時間を作ることで、3ボランチが一気にビルドアップを仕掛け、攻撃に厚みを加える。その際に右サイドバックの菅井直樹のポジショニングがキーとなった。

3ボランチがそのままビルドアップをするのではなく、右の富田が中へ絞ったポジショニングを取る。こうすることで、より菅井が高い位置に張り出すことが出来、岐阜の左サイドに強烈なプレッシャーを仕掛けることが出来た。
仙台の狙いはまさにそこであった。この試合のプレビューでも書いたが、岐阜の狙い目はサイドのスペースにあった。特に相手の左サイド。相次ぐ怪我で本職でない選手が入ることで、より狙い目であった。しかし、それは仙台にとっても一緒だった。仙台の狙い目は秋田不在の影響を抱える左サイドにあった。
菅井を高い位置に置くことで、岐阜の攻撃のキーマンとなるMF染矢一樹を封じると共に、攻撃の起点を右サイド(岐阜の左サイド)に作る狙いがあった。つまり、FW平瀬智行をターゲットマンにし、FW中島裕希や梁を右サイドに流れさせ、野垣内に対しプレッシャーを掛ける。その上で菅井を高い位置に置くことで、染矢とのマッチアップ状態にさせて、彼の攻め上がりにふたをする。サイドから中央に切れ込んでいくことを得意とする染矢だが、菅井との勝負を避けて中へ切れ込もうにも、そこには中に絞っている富田が待ち構えている。例え菅井を交わして縦を狙っても、すかさず菅井の背後のスペースを富田がカバーする。
「今までここまでサイドバックが上がってくるチームはなかった。(野垣内)俊の方に梁選手とかが嫌な動きをしてきたので、上がってきた菅井に対して、俊に受け渡しをすることが出来なかった」と染矢が語ったように、彼は八方ふさがりの状態になり、ズルズルとポジションを下げてしまったことで、FWとMFの距離が開き、岐阜の2トップは完全に孤立してしまった。
まさに狙い通りの展開になった仙台。してやったりの展開になったのだが、ここで攻めきれないのが今の仙台が抱える問題であった。細かいパスミスや、ラストパスやクロスの精度が低く、崩しかかっているのに崩せない。相手の隙を突くしたたかさが足りなかった。

0−1のスコアを動かせないまま、迎えた後半、岐阜は低い位置にいた両サイドハーフのポジションを修正。高めに張らせ、中盤をコンパクトにした。これにより、染矢にいい形でボールが入るようになり、彼のドリブルからチャンスの芽が生まれるようになる。これに対し、手倉森誠監督は54分、永井に代えてFW田中康平を投入。田中を右サイド、梁を左サイドに置いた【4-4-2】にシフトチェンジ。両サイドハーフに対して、サイドハーフとサイドバックで挟み込む形でサイドケアをし、カウンターにつなげる戦略に出た。だが、このシフトチェンジで反対に仙台の中盤が混乱し、試合の流れは岐阜へ傾いた。しかし、相手の隙を突くしたたかさが足りないのは岐阜も同じ。ミスとアタッキングサードでの精度の低さで同点にするチャンスをフイにしてしまう。
この両チームにとって歯がゆい展開に終止符を打ったのは、菅井だった。79分、タイミングのよいオーバーラップで右サイドを突破した菅井は、一気にペナルティエリア内までえぐりこみ、相手のファウルを誘いPKを獲得。これを梁が冷静に決めて勝負あり。

お互いの狙いが試合前から交錯し、試合中もめまぐるしく変化したこの一戦。この部分を見ると、非常にお互いの駆け引きが見られた興味深い試合だったが、イージーミスが目立った。もしこうしたミスがもっと少なかったら、もっとエキサイティングな試合になっていたかもしれない。
ただ、収穫もあった。仙台は「今日は内容よりも結果だった」と手倉森監督が語ったように、結果にこだわった上で勝利をつかめたこと。岐阜はスタメンでルーキーが6人、途中出場を加えると、計8人と多くのルーキーがこの悔しい敗戦を経験できたこと。若手の経験こそ、将来的なチームの財産となるだけに、今は悔しさしか残らないが、大きな財産を掴むために、今はひとつの過程として捉えたい。しかし、決してこの結果を『過程』だけに片付けないことも、プロとして当然であることも忘れてはならない。

以上


2009.04.16 Reported by 安藤隆人
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