4月15日(水)J2 第8節 横浜FC vs 甲府(19:00KICK OFF/三ツ沢)
スカパー!生中継 Ch179 18:50〜(解説:前田秀樹、実況:中村義昭、リポーター:湯本久美)
☆勝敗予想ゲーム☆J2は第1ターン最終節!
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前節の甲府vs草津のマッチレポートは「勝負」と「育成」を巡る葛藤が垣間見える興味深い内容だった。昇格を狙い勝負に徹する甲府と理想の攻撃スタイルを貫く草津。その勝負は、リアリズムに徹する甲府に軍配が上がった。同様に、今節の横浜FCvs甲府も、アグレッシブなサッカーが結果に結びついていない横浜FCが自らのサッカーを貫き、いかにしてリアリスト甲府を攻略するかがポイントとなる。
横浜FCのサッカーの特長は、中盤での連動したプレスと攻守の切り替え。ボールを奪われれば素早く守備に切り替えフォワードもプレスに参加する。そして、ボールを奪えばサイドバックが素早く攻撃に参加することで、ワイドにパスコースを確保する。攻守が噛み合えば、中盤を支配し続けることができる。開幕から結果こそ出ていなかったが、試合の中では確実に狙いとするプレーを見せる時間が作れていた。そして愛媛戦では、引き分けに終わるものの樋口サッカーの片鱗をホームのサポーターに披露することができた。
しかし、前節の岡山戦で大きな課題を突きつけられる事になる。岡山は、90分間徹底して横浜FCのDFラインの裏へロングボールを出し続ける。「頭上を越えるボールが多くて、中盤を省略されてしまった。相手は徹底していたし、そのやり方にハマってしまった」(三浦淳宏)というように、横浜FCは完全にペースを乱されてしまった。「残り30分で岡山の足が止まると見ていた」(樋口靖洋監督)というように、残り30分でいくつか形を作れるようになったが、その時間をモノにできずに引き分けで終わった。
片山奨典が「ロングボールに対して、ロングボールで対応していたのはまずかった。本来のサッカーを見失っていた。終盤のサッカーを最初からやらないと」と振り返るように、ロングボールを蹴られた時に冷静に対処し、自分のペースに引き戻すしたたかさが重要となる。樋口監督は「甲府は特徴をもった3トップになっているので、そこに入れさせないように、全体が連動してボールの出所に対してプレッシャーを掛けたい」と、ロングボールに対して受けに回るのではなく、積極的にプレスを掛けることでその威力を半減することを狙っている。第1節の湘南戦、第2節の熊本戦と、3トップの布陣でサイドの裏のスペースに起点を置くチームにここまで苦戦しているのも事実。リーグ戦初勝利のためには、この点を克服することが必須だ。
一方の甲府は、前節の草津戦で盤石な勝ち方を見せた。立ち上がりから、3トップの両ウイングに対してロングボールを入れる。この流れから3分に金信泳がセットプレーからゴールすると、ロングボールを起点とした攻撃を徹底し、草津のDFラインを下げさせることに成功する。一方で、守備陣もバランスの良いポジショニングを保ち、粘り強い守備を続け、草津に決定的なチャンスを与えることはなかった。結局、開始早々の得点を見事に守りきった。
甲府と言えば、豊富な運動量をベースとした細かなパスワークという印象が強いが、今年はかなり違うイメージを持つ必要がある。リーグ最少失点を誇る安定した守備陣が存在し、その上で3トップを起点とした攻撃、そして機を見た前線でのチェイシングによって主導権を与えない戦い方をする。そして、この戦い方は結果を残しており、横浜FC戦でも迷いなく自信をもって戦いを挑んでくるはずだ。その上で、結果だけでなくチームの成長に繋がるプレーも出していきたい。
この試合は、横浜FCにとっても、甲府にとっても前節と似た戦い方を取るチームとの対戦となる。試合の行方は、甲府が狙う3トップの良さを横浜FCが消せるかどうかに掛かっている。甲府の3トップにボールが収まれば横浜FCのサイドバックの動きが封じられ甲府ペースとなり、横浜FCの前線のプレッシャーが機能すれば横浜FCの狙いとする守備の網から素早い攻撃を展開できる。その意味で、この部分の攻防が、非常にスリリングに展開されるだろう。さらに、今季2度目の水曜日開催であり、体力的にも厳しい試合となる。横浜FC、甲府ともに前線の選手に体力的な負担を求める戦い方を取っているだけに、運動量が落ちてからの戦い方、そして選手交代が試合の鍵を握る。
「勝負」と「育成」に戻れば、51試合の長いリーグでは、その両面での成功がサイクルのように回り、相乗効果を挙げていくことが必要だ。そのためにも勝負で結果を残したい横浜FCと、勝負に徹しながら選手を育てたい甲府が、この試合でサイクルを回せるか、第1クール後半へ向け、分水嶺たる試合となるかもしれない。
以上
2009.04.14 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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