4月15日（水）J2 第8節 福岡 vs 愛媛（19:00KICK OFF/福岡）
スカパー！生中継 Ch174 18:50〜（解説：乾眞寛、実況：南鉄平、リポーター：森田みき）
☆勝敗予想ゲーム☆J2は第1ターン最終節！

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　負けに等しい引き分けで終えた熊本戦。勝点２を失った感が強いが、それでも負けなかったことはリーグ戦を勝ち抜くためには必要なこと。後半は圧倒的に攻め込まれ、組織としての守備がほとんど機能しない中で逆転ゴールを許さなかった我慢と粘り強さも収穫のひとつだろう。そして中２日で迎える愛媛戦。熊本との引き分けを意味あるものにするためには、この試合で勝利する以外にない。

　さて、改めてここまでの福岡の戦いぶりを振り返ると、開幕戦からいくつかの点で変化が見られている。ひとつは攻撃面。開幕当初は中盤のバランスが取れず２トップが孤立することが多かったが、第３節から鈴木惇をボランチ起用したことで課題が改善。ＦＷと中盤の距離感が縮まって攻撃が活性化し、篠田善之監督が求めるダイナミックな動きが見られるようになってきた。特に左サイドでは、岡本英也が中へ入ってFWと絡んで相手を押し込むことで、ＳＢの中島崇典がフリーで駆け上がるシーンが目立つ。

　距離感が適切に保たれるようになったのは守備面での改善点でもある。「距離感が良くなったので、１人がミスしても、他の選手がカバーに行けるようになった」（田中誠）というように、以前のようなミスの連鎖が少なくなり、押し込まれる時間帯にもギリギリのところで跳ね返す我慢が出来るようになってきた。それでも、相手に崩される場面が多いのは引き続きの課題。全員が連動する守備という面では改善点はまだまだ多い。特に、危険な場所や時間帯に、不用意なミスでピンチを招くことが多いのも気になるところだ。

　そして迎える愛媛。開幕から３連勝と好調なスタートを切ったが、その後は３分１敗と勝ち星から遠ざかっている。その原因は攻撃。ボールを奪ってからの早い攻めと、サイドを起点にすることがチームのコンセプトだが、実際には単純にロングボールを相手のDFラインの裏へ向かって蹴ってしまうことが多く、攻め手を見つけられない試合が続いている。また、前線にボールを収めることができないために最終ラインを思うように上げることができず、チームの武器である攻守の素早い切り替えからのカウンター攻撃が影を潜めているという課題も抱えている。

　それでも愛媛には明るい材料もある。前節の栃木戦では怪我のために戦列を離れていた大木勉が、途中出場ながら５試合ぶりに戦列に復帰。明日の試合でどれだけプレーできるかは不明だが、彼が前線に入ることでボールのおさまりどころができれば、後方からの素早い押し上げも、大山俊輔、横谷繁の両サイドからの攻撃も活性化するはずだ。また、４試合勝星から遠ざかっているとは言え、直近の４試合での失点は２と相変わらず安定感は高い。Ｊ２での経験豊富なアライールが統率する最終ラインを崩すのは簡単ではない。

　さて、福岡は中２日、愛媛は中３日で迎える試合は、ともにフィジカルコンディションとの戦いでもある。まだシーズン序盤とはいえ、連戦が選手たちのコンディションに与える影響は少なくはなく、また課題を修正する時間も、何か新しいことに取り組む時間も十分にはない。両チームにとってポイントになるのは我慢。思うようにならない時間帯を、どう凌ぐかが勝負の分かれ目になりそうだ。そして、どれだけ基本に忠実にプレーできるか。不用意なミスはゴールに直結する。危険な場所でのファールや、不用意なプレーは絶対に慎む必要がある。

　ここまでの試合が証明しているように、今年のＪ２は例年にも増して大混戦。どの戦いも簡単ではない。そのひとつ、ひとつの試合を丁寧に、そして最後まで頑張りきったチームが最終的には笑うことになる。また長丁場とは言え、目の前の試合で確実に勝点を積み上げなければ、いつの間にか勝点差が開いてしまうのも昨年のリーグ戦が証明している。連勝が途絶えた福岡にとって、もう一度勢いを取り戻すためには勝たなければいけない試合。ホームの利を生かして新しい一歩を踏み出したい。

以上

2009.04.14 Reported by 中倉一志