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【J2:第7節 札幌 vs 富山】レポート:富山の戦略が奏功しロスタイムに同点弾。J参入クラブが札幌ドームのスタンドを沈黙させた。(09.04.13)

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4月12日(日) 2009 J2リーグ戦 第7節
札幌 1 - 1 富山 (16:03/札幌ド/10,579人)
得点者:30' キリノ(札幌)、89' 金明輝(富山)
スカパー!再放送 Ch182 4/13(月)12:30〜(解説:大森健作、実況:宮永真幸、リポーター:岡本博憲)
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1−0のスコアで札幌がリードして突入した後半ロスタイム。富山の姜鉉守が蹴ったCKがペナルティエリア中央にこぼれると、金明輝が押し込んで同点に。そのまま試合は終了し、16位札幌と14位富山との対戦は1−1の引き分けとなった。

この試合、ホームの札幌はダニルソン、クライトンという外国籍選手2人が出場停止。ここまで4−2−3−1のシステムを基本として戦ってきた札幌だが、トップ下の位置でプレーするクライトンの欠場を受けて中盤をボックス形とした4−4−2でスタートした。そしてアウェイの富山は中盤がボックス形の4−4−2をベースとしているため、この日の対戦では同じシステム同士がガッチリとぶつかってしまい、あらゆるエリアで潰し合う展開となってしまった。札幌も富山も、マイボール時にはスピーディにパスを動かしての攻撃を好むチームだが、この試合展開では人が飛び出したり、パスを走らせるためのスペースがなく双方の特徴がなかなか発揮されずにいた。

そうした中で光っていたのが札幌の右MF藤田征也だ。右サイドでボールを受けると、縦への仕掛けはもちろん、2トップに斜めのクサビを当てたり、時には自らドリブルで内側へ入り込んだりとバリエーションの豊富なチャンスメークを見せた。そして対峙する相手の左サイドバック中田洋平は常に藤田の動きを見張ることに多くの力を注いでしまったため、ここに札幌の右サイドバック芳賀博信が良いタイミングでフォローに入ると富山の左サイドは大きくバランスを崩した。今季初めて札幌の試合を見た人には、札幌の戦術は藤田の能力を生かすことを第一に考えたものと映ったかもしれない。そのくらい藤田の存在感は際立っていた。チームとしてもアグレッシブさを保つことができていた。

だが、30分にキリノが先制点を奪い、札幌の1点リードで突入した後半に突入すると状況に微妙な変化が生まれる。内容的には前半同様に潰し合いが続いていたのだが、富山が攻撃の仕掛け方を変えたのだ。
前半はポゼッションをしようとチャレンジしながらも札幌にすぐに距離を詰められてパスがつながらなかった。そこで後半は札幌がグループでプレスを仕掛けてくると簡単にロングボールを蹴り、そのセカンドボールを拾うことに力を注いだ。攻撃としては非常に淡白で面白味に欠けるものだったが、富山もダテに昨季のJFLで3位に入りJ2入りを掴み取っていない。個々のクオリティでは札幌に届かないかもしれないが、試合中に流れを読み、相手のリズムを乱す戦略性では札幌を上回っていたようだ。

ロングボール主体のこの富山の攻撃により、高い位置からアグレッシブにプレスを仕掛けることが身上だったはずの札幌のプレーエリアは徐々に下がっていった。おそらく、札幌が最後までラインを高く保つことがいれば、後半ロスタイムに簡単にCKを与えることはなかっただろう。だが、ロングボールによってプレーエリアが下げられてしまった結果、CKを与えてしまう場面が増えてしまったわけである。セットプレーからの失点というのは運、不運が影響することもあるため、この試合での失点の部分だけを切り取って札幌の不備を指摘することはあまりフェアではない。だが、プレーエリアを下げてしまったが故に与えてしまったCKだったという事実については重く捉える必要があるだろう。

「リスクを冒せず、セーフティにプレーしてしまっていた」と最後方から見ていたGK荒谷弘樹は振り返る。「2点目が取れなかったこと」が引き分けに持ち込まれた大きな要因だと石崎信弘監督も指摘する。札幌が目指しているのはボールを奪うために守り、シュートを打つために攻めるサッカーではなかったか。少し前までは、敗れながらも「目指しているサッカーは間違っていない」と前を見据えていたはずだ。なかなか結果がついてこず、自信が持ちきれていないのかもしれないが、そんなことくらいで弱気になるようなチームが勝ち抜けるほど、プロのサッカーとは甘くない。そしてそのことも昨季のJ1で十分に学んでいるはずだ。

「すごく苦しい時」と石崎監督は言う。若い選手が多い札幌にとっては、大きな壁にぶつかっている最中なのかもしれない。だが、それでも次の試合はすぐにやってくるし、もちろん結果は求められる。すごく苦しいだろう。けれど、それがプロサッカーだ。

以上

2009.04.13 Reported by 斉藤宏則
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