4月5日(日) 2009 J2リーグ戦 第6節
栃木 1 - 0 岡山 (13:03/栃木グ/4,584人)
得点者:30' 入江利和(栃木)
スカパー!再放送 Ch182 4/6(月)10:00〜(解説:田中真二、実況:篠田和之、リポーター:新井謙一郎)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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押して、引いて、さらには横にずらしてみても、一向に開かなかったゴールという扉が、ついに開いた。重い、重い扉を開けたのは、「栃木県産」の左サイドアタッカー入江利和だった。
「栃木SCのJ初ゴールを狙っていたが、イリさん(入江)に取られましたね(笑)。いい所に入っていたなあ」。FWの河原和寿が悔しがるほど、ゴール前の絶妙なポジショニングが奏功。クロスバーに跳ね返ったボールを頭で捻じ込んだ。「気分のいい選手がいい仕事をする」と、常々メンタル面の重要性を説く松田浩監督。まさに、チームで最も脂の乗っている選手が、ゴールを決め、欲しくて仕方がなかった勝利を手繰り寄せた。
出足が鋭かったのは、ホームの栃木。前半2分、入江の左クロスを河原がヘディングで叩く。枠をとらえたシュートはGK李彰剛に弾かれるも、10分に本橋卓巳がミドルを飛ばし、15分には再び河原がFKからゴールに迫った。ゴールに対する飢餓感、球際の激しさ、セカンドボール争奪戦などでファジアーノ岡山を上回り、手綱を完全に握る。そして、前半30分、J2加入6試合目にして待ち焦がれたゴールが生まれる。右サイドから大久保裕樹がロングスローを入れ、松田正俊がニアですらしたボールを、ファーで栗原圭介がヘディングシュート。一旦はクロスバーに嫌われるも、詰めていた入江がネットを揺らした。
先手を奪った栃木に対して、岡山は西野晃平にボールを集めるが、米山篤志と大久保に上手く対応された。鋭いミドルを打ち込むシーンもあったが、キーマンの喜山康平がいい形でボールを持てず。攻撃の形を作らせてもらえなかった。
後半も栃木ペースで進む。前線の松田と河原が攻守に体を張り、両サイドハーフとボランチがフォローに入っては、肉厚な攻撃を継続した。しかし、「相手のロングボールが多く、挟みこめなくて、セカンドボールを拾えなかった」(本橋)ことで、次第に劣勢に回る。小林康剛と妹尾隆佑を投入し、喜山を中盤に下げてダイヤモンドにした岡山の圧力に押し込められた。
前節のコンサドーレ札幌戦で同点に追い付いた陣形で攻勢に転じた岡山は、縦へ縦へとボールを送り込む。活性化が図れ、思い通りの展開に持ち込んだ。だが、相手クリアミスからの絶好機で小林康が放ったシュートは力なく、3バックにしてパワープレーを敢行するも、栃木が守備力のある落合正幸を送り込んだことで対処される。やや平静を欠いた栃木を攻め崩せなかった。
午後2時50分、タイムアップの笛が鳴り響き、栃木にとって「歴史的瞬間」が訪れた。内容に結果が伴わない苦しい時期を乗り越え、待望の勝利をホームで飾った。2009年4月5日、クラブ史に新たな1ページが刻み込まれた。
前節の東京V戦では悔し涙、今節は嬉し涙を流した河原は言う。
「全力を尽くし、倒れるまで戦った結果の勝利」
まさにチームのモットーである、ハードワークを最後まで貫徹したことが、ようやく報われた。また、結果が出なくてもネガティブにならずに、ポジティブに戦い続けた選手達のハートの強さも勝因のひとつに挙がるだろう。
ゴールと勝点3を手に入れ、無失点に抑え込んだ。リードしてからの試合運びの拙さ、加点できなかったことなど、物足りない部分があるのは確かだが、言い出したらきりがない。5戦全敗、ノーゴールのチームが1‐0で逃げ切れたことを、今は素直に喜ぶべきである。
「月が変わったので、ツキも変わった」
松田監督が笑顔で冗談を飛ばしたくなる気持ちも理解できる。これまで散々ツキに見放され続けてきたのだから。綺麗にゴールを取るよりも、クロスバーに当たったボールがラインを割ることなく、相手にクリアされることもなく、栃木にこぼれたことに深い意味があり、風向きが変わってきた気配を感じる。
この1勝を契機に、栃木の逆襲が始まる。
以上
2009.04.05 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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