4月4日(土)J2 第6節 草津 vs 水戸(13:00KICK OFF/正田スタ)
スカパー!生中継 Ch183 12:50〜(解説:三浦俊也、実況:吉田学、リポーター:円戸由香)
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【北関東ダービー2009】
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木山隆之監督は振り返り、唇を噛んだ。
「あのときは悔しかったし、辛かった…」
昨年5月21日、正田醤油スタジアムで行われた第15節・草津戦、1−1という一進一退の展開で進んだ後半ロスタイム、松下裕樹にミドルシュートを叩き込まれ、草津にJリーグ加入後初の連勝を決められたのである。沸き返るスタンドとは対照的に崩れ落ちる水戸の選手たち。その光景を思い浮かべながら、木山監督は「絶対に借りを返したい」と強く誓った。
だが、水戸はあのときとは違う。9年ぶりの4連勝をおさめ、3位につけていることがそれを証明している。昨年とは比べ物にならないほど引き締まったディフェンスで相手の攻撃を潰し、そしてボールを奪ってからはテンポのいいパスワークでゴールを襲う。また、運動量では絶大な自信を誇っており、「水戸が今一番いいサッカーをしている」と熊本の北野誠監督に言わしめるほどの好調ぶりを見せている。アグレッシブに戦うというチームコンセプトがはっきりしており、「これからも大崩れはしないだろう」と萩原智久強化部長が言うように、このまま上位を維持していってもおかしくないほどの力を身に付けているのだ。昇格争いも決して非現実的ではない。
そのためにも草津は絶対に叩いておかないといけない相手である。昨季リーグ終盤まで上位につけ、昇格争いに加わった草津。絶対的なエースであった島田裕介が抜けたものの、ベテランの廣山望が加入したこともあり、チーム全体で戦う意識が強くなり、昨季よりもチーム力が向上している感がある。開幕3連勝を飾るなど今季も上位に匹敵する力を見せている。つまり、昇格争いに加わるためには草津よりも上回らなければならないということである。逆に、ここで草津を叩くことができたならば、昇格争いへのパスポートを手に入れることができるということになる。ライバルを叩くことという意味でも大事だが、今後を占う重要な一戦なのである。
ただ、現状で水戸に負ける要素は見当たらない。この試合、高崎寛之vs都倉賢のポストプレー対決、キム・テヨンvs松下裕樹のプレス対決、菊岡拓朗vs熊林親吾のテクニック対決などなど「スタイルが似ている」(木山監督)チーム同士の対戦だけに各所での激しいしのぎ合いが見られるはず。戦力的にはイーブンだ。水戸は中村英之、草津は藤井大輔という守備の要が負傷していることも似ている。
しかし、草津になくて水戸にあるものがある。それは荒田智之だ。2戦連続ゴール中の絶対的なエースストライカー。鋭い飛び出しとずば抜けた決定力を誇る彼の力はもはやJ2レベルではない。2戦連続ゴールを決め、自信のみなぎる荒田を草津ディフェンスは止めることはできないだろう。荒田のゴールが水戸をさらなる高みへといざなってくれるに違いない。
水戸はいつか落ちるだろう――世の多くの人がそう予想しているはずだ。しかし、絶対に今年の水戸は上位に食い込むだけの力がある。個々の能力、チーム戦術の浸透度、監督の手腕、どれを取っても上位チームに引けをとらない。層の厚さだけが懸念されるが、そのためにも今のうちに勝点を稼いでおきたいところ。
「やっぱり勝つことで選手たちは自信をつけている。やろうとしていることができている実感がありますよね。熊本戦(3/29)も連戦で疲れもあり、ミスが多かったですが、しっかり抑えるところは抑えていた。そういう流れを読めるようになってきた。若いチームだけに、これは大きなことですよ」と木山監督が言うように、勝利という結果を出すことによって若いチームにたしかな自信が芽生え出している。そして、自信がみなぎり出していることで選手たちのプレーの質も向上しており、日々充実したトレーニングを積むことができている。
つかんだ自信を確信に変えるためにも、この試合は重要な意味を持つ。再び木山監督は振り返る。
「あの試合は草津のターニングポイントになったし、あれから草津は上位に食い込んでいった。ウチがきっかけを与えてしまった」
そして、木山監督は熱を込めてこう続けた。
「だから、今年はウチのターニングポイントにしたい」
破竹の5連勝を飾ることで、過去の水戸を振り払うことができるはず。昨年の対戦で過去を振り払って一皮むけた草津に替わって、今年は水戸が壁を超える番。飛躍への勝ちどきをあげるためだけに水戸は群馬の地に向かう。
3位の水戸と6位の草津。過去最高の状態でぶつかり合う北関東ダービーが、つまらない試合になるわけはない。北関東の新時代到来をつげる歴史的な一戦。この決戦を制し、水戸は堂々と胸を張って昇格争いへまい進していく。
もう一度書く。水戸に負ける要素は見当たらない。
以上
2009.04.02 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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