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【J2日記】福岡:素人カメラマンの独り言(09.04.01)

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第5節横浜FC戦で、敵も味方も驚いたスーパーゴールを決め、ヒーローインタビューを受ける高橋泰。J1昇格はもちろん、得点王も狙う。

これぞストライカーとも言えるスーパーゴールにサポーターも大感動。横浜FC戦終了後、挨拶にきた高橋泰に喝采を浴びせる。

 ライターだからと言っても書いているだけではない。クライアントから依頼があれば写真も撮る。J's GOALでも試合前の写真は担当ライターの仕事。試合会場や練習場でプレー写真を撮ることもある。目で見て感じたことを文章で表現するのも楽しいが、瞬間を切り取る作業もなかなか面白い。撮ってきた写真を整理しながらニヤニヤすることも少なくない。
 さて、写真を撮っていると、撮りやすい選手とそうでない選手がいる。ボールを保持する時間、動きの細かさ、プレーのスピードなどで、その違いが生まれるのだが、中でも高橋泰は特別。素人カメラマンの腕前では、あのプレーにはついていけない。
 狭いスペースの中でも細かくステップを踏み、相手の逆を取る動きや、視野から消える動きを繰り返す。もちろん、すべてのボールが高橋に集まってくるわけではない。それでも、何度も、何度も繰り返す。これがペナルティエリア周辺になるとさらに細かくなる。頭を左右に振り、味方とボールと自分のポジションを確認し、飛び込むべきスペースを見つけ、そして、一瞬でトップスピードに乗って、少ないタッチでシュートを放つ。

 シュートを打つタイミングが分かりにくいのも高橋の特長のひとつ。FWの動きやスピード、ボールのもらい方などから、シュートを打つタイミングというのは、ある程度は予測できるものだが、高橋はどんな体勢からでもシュートを打つし、そのタイミングは我々が感じるものよりも微妙に早い。そして、視野の外からトップスピードでスペースに飛び込んでくる姿をとらえた時には、すでにシュートを放っている。なるほど、ゴールが生まれるわけだ。

 そしてもうひとつ。望遠レンズを覗いていて驚くのは、彼のプレー中の表情。笑っているのだ。その表情を初めて見たときは何事かと驚いたが、ファインダーを覗き直しても、やはり笑っている。もちろん、愉快なわけでも、可笑しいわけでも、相手をなめているわけでもない。しかし、その表情は、いつも穏やかな笑みを浮かべているように見える。
 かつて、テニス界にロッド・レーバー(オーストラリア 1938年〜)という名選手がいた。4大大会(全豪・全英・全仏・全米)で11個のタイトルを獲得し、1962年、1969年には年間グランドスラムも達成。テニス界で2度の年間グランドスラムを達成したのは彼1人というスーパースターだ。その彼は、インパクトの瞬間に必ず舌を出していた。専門家によると究極のリラックスした状態だそうだが、高橋が穏やかな笑みを浮かべているように見えるのも、同じような理由なのだろう。

 高橋のストライカーとしての嗅覚の鋭さが数々のゴールを生んできたことに異論はないが、それ以上に、こうした動作を、リラックスした状態で、90分間を通してやり続けるところにこそ彼のすごさと、ゴールを量産する理由がある。
 ゴールには結びつかなかったが、開幕戦(3/7)で弾丸ライナーのようなクロスボールをドンピシャリのタイミングで受けてシュートを放ったシーン。シュートコースに体を入れる相手DFを気にもせず、差し出す足の隙間を冷静に通して放った水戸戦(第3節・3/22)の今シーズン初ゴール。自陣からのクリアボールを抜群の飛び出しを見せてチャンスメイク、先制ゴールに結びつけた栃木戦(第4節・3/25)でのプレー。そして横浜FC戦(第5節・3/29)で見せた35メートルを超すスーパーゴール。すべては、そうした細かなことの積み重ねの末にある。

 第3節の初ゴールから始まって、現在3試合で2ゴール、1アシスト。そのうち、勝利に直結したのは1ゴール、1アシスト。高橋は、これから先もいくつものゴールを生み、そして福岡をJ1昇格のゴールに連れて行ってくれるはず。その迫力あるプレーシーンを、一度でいいからカメラのファインダーの中央に収めたい。ライターでありながら、それが私の目標のひとつになった。

以上

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2009.04.01 Reported by 中倉一志
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