3月29日（日） 2009 J2リーグ戦 第5節
愛媛 0 - 1 Ｃ大阪　（14:04／ニンスタ／4,540人）
得点者：67' 香川真司（Ｃ大阪）
スカパー！再放送 Ch183 3/30（月）07:30〜（解説：大西貴、実況：堀本直克、リポーター：重橋秀香）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
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今日のニンジニアスタジアムは気温12.5度。絶えず強い風が吹き、体感温度はさらに下がる。しかし、ピッチ上での攻防は熱く激しかった。4戦負けなしの愛媛と4連勝中のC大阪との一戦は、共にゴールへの意識が高く、互いのゴール前で目が離せないせめぎあいが続いた。試合は上空を舞うように吹く風のため、ロングボールの処理が難しいコンディションに。しかし、ピッチの上を転がる速いパスでしかけるC大阪にその風は関係ない。ワンタッチ、ツータッチで小気味よくパスを回してゴールを目指し、最初に主導権を握った。

そして愛媛が警戒するカイオと香川真司、乾貴士の3人のパス交換でC大阪が愛媛の守備を崩しにかかると、21分にビッグチャンスが訪れる。ボランチのマルチネスから縦パスが入ると攻撃のスイッチが入り、カイオ、乾の2人でいとも簡単に愛媛の最終ラインを中央突破。愛媛はGK山本浩正の飛び出しで事なきを得たが、前半の愛媛は速攻をしかけてもFW内村圭宏へのサポートが遅く、C大阪のゴールが遠い。「ＦＷの2枚のうち1枚は相手のボランチを消すということだった」と内村は語ったが、その守備が時間と共に機能していく一方で攻撃の厚みは増してこなかった。

しかし前半は速い攻守の切り替えで愛媛に付け入る隙を与えなかったC大阪も、後半に入ると運動量が落ちる。その瞬間を見逃さなかった愛媛。後半17分、スローインから大山俊輔のクロスにFW田中俊也がゴール前に詰めたが、シュートはGKキム　ジンヒョンがセーブ。さらに、その直後にはマルチネスから横谷繁がボールを奪うと田中が一気にゴール前に持ち込み、再びシュート。しかし、今度もGKキム　ジンヒョンのファインセーブでC大阪はピンチをしのいだ。

ちょうどこの時間帯、レヴィークルピ監督も動く。ボランチに濱田武を入れ、そのポジションにいた羽田憲司を最終ラインに下げる。ビルドアップができる選手を後ろに配し、「トータルとしてポゼッションをもっと高め、パスをつないで相手のブロックを崩したかった」というクルピ監督の思惑通り、再びC大阪がゲームを支配しはじめると決勝点が生まれた。後半22分、その羽田の縦パスを乾がスルー、香川が受けるとドリブルを開始。乾とカイオが前で流れて香川のドリブルのコースを作ると、そのままゴール前まで持ち込んだ香川はGK山本が死守してきた愛媛のゴールをこじ開けた。

香川は「今はまだ(自分のプレーに)納得していない」としながらも、「苦しい試合が続き個人としても苦しい中で結果が出てよかった」と試合後に安堵を浮かべた。クルピ監督も「今シーズンは5試合とも同じようなゲーム展開」と振り返ったように、開幕戦を除く試合では全て1点差の僅差で勝点3を拾い続け、磐石とはいえないものの5連勝。しかし、そこには強力な個の能力に加え、勝ち切るチームとしてのたくましさも感じさせるようになった。そして結果を出し続けたことで、続く第6節の甲府戦（４／５＠長居）、第7節の仙台戦（４／１２＠宮城ス）と昇格を争うライバルとの対戦にも気分よく臨めそうだ。

一方で、今季初黒星を喫した愛媛。前半から我慢を続け、勝機も見いだしただけに試合後の選手たちは悔しさを隠せなかった。しかし「後半は自分たちの時間もあった」と田中が語ったように、愛媛の選手たちは自分たちのサッカーに自信も深めた。ここまでの愛媛は怪我で大木勉と青野大介を欠き、さらに田森大己ら柱になるべき選手を立て続けに欠きながら、そして少ない選手数の中で、全員がひとつになって結果を残してきた。今日は青野がスタメンに復帰したが「怪我人も戻ってくるので、やりたいことを整理したい」と望月一仁監督が語るように、全選手でもう一度、今季スローガンに掲げる「ひとつになって闘う」ことを続けられれば、チームの完成度はさらに高まっていくだろう。

以上

2009.03.29 Reported by 近藤義博