3月25日（水）J2 第4節 岐阜 vs 草津（19:00KICK OFF/岐阜）
スカパー！生中継 Ch174 18:50〜（解説：森山泰行、実況：齋藤寿幸、リポーター：堂野浩久）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
----------

岐阜にとって前節の愛媛戦は、悪い部分が一気に噴出した試合だった。この試合の岐阜は、どこかおかしかった。おかしさの要因はボランチコンビのバランスの悪さ。今年のチームの核と言える菅和範と永芳卓磨のダブルボランチ。開幕から2戦まではこのコンビが中盤で効果的な動きを見せ、チームの潤滑油となっていたが、愛媛戦では逆に攻守のバランスを崩してしまっていた。

菅と永芳のコンビは、菅がアンカー気味のポジショニングでバランサーとなり、永芳が攻撃センスを前面に出して、積極的に前線に絡んでいくという、役割分担がはっきりしていた。開幕から2戦は、このバランスが中盤に絶妙な安定感をもたらし、活性化が実現していた。だが、この役割分担は彼らにとって、本来の望む形ではなかった。これはサッカー界全体に言えることだが、ダブルボランチの理想はどちらかが守備、どちらかが攻撃ではなく、双方が攻撃と守備をバランスを考えながらこなし、チャレンジ＆カバーしていく関係が好ましい。守備も攻撃もどちらも出来、状況に応じて2人でバランスをとりながら中盤を活性化していく。どのチームもこうしたダブルボランチの理想を持っている。
彼らの理想もそうであった。だからこそ、愛媛戦では菅が持つ攻撃センスを生かすために、双方がチャレンジ＆カバーを繰り返し、ゲームを組み立てていくことを目論んだ。しかし、蓋を開けてみると、これまで機能していたダブルボランチのバランスが崩れ、これが全体に波及し、この試合はチーム全体のバランスを大きく崩してしまった。ボランチのギャップを好調の愛媛FC攻撃陣に突かれ、さらにボランチとセンターバックの間に生まれたスペースを有効活用され、常に後手に回る苦しい展開となり、0−3の完敗を喫してしまった。

それだけに愛媛FC同様に3連勝と好調を維持する草津を相手に、この試合同様にチャレンジしてくるのか、役割分担をはっきりさせ、中盤の安定性を重視してくるのか。ここがひとつのポイントとなりそうだ。
明るい話題もある。片桐淳至が怪我で離脱し、痛手を負ったが、愛媛戦では途中からルーキーのDF野本泰崇がJデビューし、DF田中秀人と『筑波大センターバック・コンビ』をJの舞台で実現させ、及第点のプレーを見せた。同じく筑波大卒のルーキーFW西川優大もJデビューし、期待の『筑波大カルテット』（もう1人はMF永芳卓磨）が全員デビューを果たした。ほかにもFW朴俊慶やMF染矢一樹ら期待のルーキーが、この敗戦を経験し、いかに次へ修正をしてくるか。彼らの成長のためにも、完敗の後のこの一戦が非常に重要な試合となってくる。

一方の草津は開幕3連勝と今、上昇気流に乗っている。草津は昨年までの大黒柱のMF島田裕介が鳥栖に移籍し、チーム力のダウンが懸念されたが、蓋を開けてみると彼がいなくなったことで逆に草津のサッカーは大きく生まれ変わった。昨季まではどちらかというと島田ありきのサッカーだった。島田にボールを集め、彼のイマジネーションあふれるプレーを軸に攻撃を組み立てていく。全体的に質の高い選手をそろえる草津において、そのスタイルでも力を発揮できたが、今季は全員が絡んでショートパスを駆使して切り崩していくスタイルでチーム力を発揮させている。全員がハードワークし、高い連動性を駆使して、チーム全体でボールが回せるようになっただけに、守備陣にとっては非常に的が絞りにくく、怖さは昨年以上かもしれない。
中でも正確なキックでリズムの切り替え役になっているMF廣山望、そして2試合連続ゴールのFW都倉賢。この2人が非常に効果的なプレーで、3連勝の原動力となっている。廣山はセットプレーという武器をもたらし、都倉はオフ・ザ・ボールの動きの質が高く、前線で抜群のポジショニングでパスサッカーのフィニッシャーとしての役割を果たす。この2人が岐阜戦においてもキーマンとなる。

果たして好調・草津が4連勝を飾るのか、岐阜が愛媛戦で崩れた中盤のバランスを取り戻し、苦手とするホームで、今季2勝目を飾ることが出来るのか。若手が次々と出番を掴む岐阜にとっては、未知数を力に変えて草津を食い止めたとき、新生・FC岐阜の1年目の土台作りにおいて、大きな意味を持つ一戦となるだろう。

以上


2009.03.24 Reported by 安藤隆人