3月25日（水）J2 第4節 熊本 vs 愛媛（19:00KICK OFF/熊本）
スカパー！生中継 Ch173 18:50〜（解説：池ノ上俊一、実況：山崎雄樹、リポーター：風戸直子）
☆勝敗予想ゲーム／ホームゲームイベント
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　ホームでの開幕戦のレポートで“今日の出来が最低だ”と書いて、奮起を促そうと思ったが甘かった。そういうことで好転するなら幾らでも書くが、そんなわけはない。だいたい、チームが今年目指そうとしているサッカーには積み重ねこそが不可欠な事を考えれば、たった1試合が終わった時点でそんな表現を使ったことがとても陳腐に思えて恥ずかしい。

　横浜FC戦で初勝利を挙げた熊本は、前節の徳島戦で積極的なプレスを受けて後手に回り、トップでタメを作られては後方からの飛び出しを許して0−3で完敗。とは言え、試合の翌日に話を聞いた選手数名の表情からは、点差ほど力の差があったとの印象は受けていないことがうかがえたし、まだ51試合のうちの3試合が終わっただけで、下を向くことはないんだと、こちらが改めて感じさせられた。もっとも、“勝った試合の後”特有のフワフワした感じでの試合への入りがどんな事態を招くかは身をもって学んだはずだし、それを早い段階で気づかされたことは幸いと言えるかもしれない。

　だが今節迎える愛媛は、その“勝った試合の後”でも弛むことなく、目下3連勝中。しかも総得点8はリーグトップで堂々の首位だ。昨シーズンワーストだった得点力向上の背景には様々な要因が考えられるが、まずは2人で6得点を挙げている内村圭宏と田中俊也の好調ぶりが挙げられる。2人ともさほど大柄ではないが、DFラインの裏へ飛び出すタイミングやスピードは脅威。遠目からでもチャンスと見るや積極的にミドルシュートを放つ等、結果を出していることがプレースタイルにも自信をもたらしている。

　守備でもここまで2失点と安定し、前節は岐阜を完封。新加入のGK山本浩正を中心に、鳥栖から移籍の柴小屋雄一と金守智哉、前節スタメン出場のアライールと高さのあるセンターバック陣が揃い、前からの激しいプレスに連動して中盤が距離を詰めて身体を寄せ、また時間帯によってはややリトリートして網に引っ掛け、ボールを奪うや否やカウンターを仕掛け、そこに再び中盤が連動するという好循環を生み出している。シンプルなつなぎからの前線へのフィード、ピッチを広く使う大きなサイドチェンジ、サイドからのドリブルに、深い位置からのマイナスのクロスと早めのクロスを織り交ぜた攻撃は、現時点で首位にいるだけの多彩さだ。

　何か、愛媛のいい所ばかり書いている…。

　熊本としては、前節、4分という早い時間に失点してその後の流れをなかなか引き戻せなかったことから、まずは立ち上がりの15分は絶対に失点しないよう、しっかりと集中して臨む必要がある。加えて、攻撃から守備への切り替えの段階でまずはチェックに行き、中盤が連動して出どころを抑えたい。その上でも鍵となるのが、全体の距離。「2トップは足が速いけど、ビビりすぎてラインを下げると押し込まれる」というDF矢野大輔の言葉通り、どれだけ勇気を持って、あるいは我慢してコンパクトな距離を保てるかがポイントとなる。ゲームの主導権を握るためにも、ミスを恐れず最終ラインでボールを動かしながら前へ運ぶ姿勢は継続し、中盤から前で積極的に動いてボールを引き出してチャンスを作りたい。

　昨日はキックオフ時刻に合わせて今年初の夜間練習を行い、ゲーム形式のメニューでは、ここまでの3試合とは違うメンバーとシステムを含めて3パターンほどシミュレーションした。具体的には言及しないが、この変更に関しては「この3連戦（３〜５節）で少しいじろうと思っていたし、中3日でのコンディションのこともあるけど、ここまでベンチに入っていなかった選手に中でも使いたい選手がいる」と北野誠監督は話しており、新しい陣容で臨む可能性が高い。いずれにしても、愛媛のスピードには警戒を隠さず、ディフェンス時にしっかりコミュニケーションを取って、遅れて入ってくる選手をフリーにしない点についてミーティングで確認したという。

　4連勝を狙う愛媛は、昨シーズン対戦した14チームのうち、唯一勝ち越している相手。だがそれももう済んだことだ。開幕戦の草津同様、去年の情報は一切振り払い、首位のチームとしての敬意を持って戦わなくてはいけない。我がホームスタジアムで、ラインダンスは見たくないのだ。

以上


2009.03.24 Reported by 井芹貴志