3月22日（日） 2009 J2リーグ戦 第3節
東京Ｖ 1 - 0 富山　（16:03／味スタ／3,826人）
得点者：89' 大黒将志（東京Ｖ）
スカパー！再放送 Ch183 3/24（火）07:30〜（解説：柱谷幸一、実況：野村明弘、リポーター：高木聖佳）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
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試合終了間際、ロスタイムぎりぎりで決めたエース・大黒将志の一発が、東京Ｖに今季初勝利をもたらした。
「みんな頑張って耐えてくれたから、絶対に決めたかった。必ずチャンスは来ると思っていたので、何度はじき返されても、動き直してセカンドボールを狙っていました。」（大黒）。
CKから高橋祥平が頭で落としたボールを右足で突き刺した、強烈なシュートだった。

今季からＪ２昇格を果たした富山を相手に、「相手の力をしっかりと把握し、軽視しないこと」と高木琢也監督は選手たちに強く伝えたていた。その上で『自分たちのサッカーをどれだけ出せるか』をこの試合最大のテーマとしていた。

今季東京Vはサイド攻撃を１つの武器としているが、そのストロングポイントは十分発揮できたと言っていいだろう。
中でも切れの良さを見せたのが右サイドの河野広貴で、得意のドリブル突破で富山の左サイドを翻弄した。また、右サイドバックの和田拓也との縦関係も潤滑で、河野がスペースを作ったところに和田が駆け上がり、クロスボールを上げる場面は何度も見られた。
逆サイドのDF藤田優人も、守備に重きを置きながらも機を見ては積極的に攻撃参加し、チームとしての攻撃の意図を示していたと言えるだろう。

だが、一方で選手たちが口にする反省点も少なくない。
まず全員が一致していたのが「決めるべきところで決めないと」という点だ。
特に後半、10分過ぎあたりから流れを完全に引き寄せ、再三の決定機作り出せていたところで得点できなかったことは、今後の大きな課題となるだろう。決勝点を決めた大黒も「もっと早い時間に先制をとることが『自分たちのサッカー』につながる」と、ビッグチャンスを逸機したことを自戒した。
また、前節・C大阪戦からの課題となっている、自分たちが攻めながらもパスや連携ミスで簡単にボールを奪われ、カウンターを食らってピンチを招くという展開はこの試合でもみられた。「今回は相手のフィニッシュの精度に救われた部分が大きい。もっと決定力のあるチームだったら失点してもおかしくない。しっかり修正したい」とMF河村崇大が話すように、早急な改善が求められそうだ。

これに対し、開幕から3試合を戦い抜いた富山は、勝利こそないが初のJ２に着々と自信を積み重ねているようだ。この試合でも、間違いなく自分たちの時間帯は作り出せていた。
後半25分すぎ、東京Vの怒涛の攻撃を全員で耐え凌いだ富山は反撃に出た。
相手が前がかりになってボールを回しているところでボールを奪い、一気にカウンターを仕掛ける戦い方は狙い通りだったに違いない。
放ったシュート3本すべてが決定的だったMF朝日大輔は「僕が決めていれば結果も変わっていた」と悔しがり、さらに「差があるとも感じなかった」と手応えも口にしていた。
ほとんどの時間帯を東京Vにボールを回されたこと、パスミスなどをみると局面局面に個の差はくっきり現れてはいたが、初勝利へ向けて全力で戦い続けているチームが大きくレベルアップしていることは間違いないだろう。「周りからは『十分J２でやれている』と言ってもらっている。でも結果が欲しい」という朝日の言葉どおり、あとは一刻も早く勝利を挙げ、自信をつけたい。

東京Vは、待望の初白星に安堵の表情をみせながらも「この内容だとJ１に上がっても勝てない」（DF富澤清太郎）と、J１復帰を見据えるチームとしての物足りなさをチーム全員が感じていた。とはいえ、高木監督が会見でDF高橋祥平の評価について質問され「一戦ごとに逞しくなっています」と答えたのと同様、チーム全体も試合をこなすごとに進歩しつつあるのではないだろうか。加えて、FWの大黒柱がゴールしたことで勢いにも乗れるはず。次の試合が大事だということは全員が十分理解しているだけに、どのようなゲームを見せてくれるのか楽しみにしたいと思う。

以上

2009.03.23 Reported by 上岡真里江