3月22日(日) 2009 J2リーグ戦 第3節
甲府 2 - 1 札幌 (14:03/小瀬/11,252人)
得点者:21' 大西容平(甲府)、24' 大西容平(甲府)、60' 西嶋弘之(札幌)
スカパー!再放送 Ch182 3/23(月)12:30〜(解説:塚田雄二、実況:吉岡秀樹、リポーター:中島そよか)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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「甲府は昔ほどボール回しがよくないし、ウチも発展途上のチーム。(札幌が)ピンチになるのは(甲府のパス回からではなく)ディフェンスラインの裏に蹴られてマラニョンやキム・シンヨンに走り込まれたときの方が多かった」
記者会見で「甲府の攻撃と札幌の守備(の対決)とみられていたゲームだが」という質問に対して札幌の石崎信弘監督が答えた。甲府の攻撃を過大評価し、札幌の攻撃を過小評価した質問かもしれない。今節の対戦を甲府担当の視点で振り返れば甲府の守備が昨年より進化したと感じる内容だった。一方、監督が交代し多くの選手も入れ替わった札幌は昨年とは別のチーム。「いろいろ試している段階」という石崎監督の言葉通りで、広島弁以外の色が出るのはこれからだろう。「試している」のは勝てないことへの言い訳ではなく、石崎監督の経験と自信が51試合という長いリーグ戦を見据えて出した答えだろう。34試合しかないJ1なら違う答えを出したかもしれない。でも、ここでアタフタしてはいけない。新しいチーム・札幌が51試合目のゴールで昇格というテープを切ることが出来るかどうかは分からないが、石崎監督は目先の勝利だけを見ているのではなく、J1で勝てる土台を作るために育てながら勝とうとしているのではないかと感じた。高級(高給)な選手を何人も補強できるチームなら目先の勝利だけを追えるだろうが、そうでないなら若い選手を育てるしかない。
4−3−3の甲府に対して、前半風上に立った札幌は4−5−1。札幌はキリノに攻撃の起点になって欲しかったのだが、キリノは起点になるには少しプレーが淡白だった。お互いに決定機を外した序盤には、このまま停滞することも頭に浮かんだが、21分のFKを甲府の旧アシスト大王・大西容平が直接決める。約40メートルのFKは向かい風の中、都合のいい放物線を描き、ゴール前になだれ込む甲府の選手と、いつでもハッスルして前に出るGK・佐藤優也の頭上を越えてゴールイン。アメリカ人でもないのに「ワァオ」と言ってしまうようなビューティフルゴール。この先制で勢いがついた甲府と熱くなった札幌。3分後には左サイドをドリブルで駆け上がるマラニョンに札幌は4人の選手がマークに行くという贅沢な守備をしたが、中にグラウンダーを入れられて大西が落ち着いて2点目を蹴り込んだ。ホーム開幕戦の前半24分で2−0となれば小瀬は当然ムードがよくなる。心配した雨も降っていない。ただ、札幌の守備がスペースを埋めている状況では3トップを絡めたパスワークにミスが出る。このあたりはシーズンを通じて前進させるべき甲府の課題。
札幌は左にダニルソン、トップにキリノ、右に宮澤裕樹、トップ下にクライトンというアタッカーを揃えたが、クライトンが中に誘い込まれて甲府の中盤にボールを奪われ続けた。しかし、後半にダニルソンを下げて砂川誠を投入し、4−4−2にシステムを変えるとサイド攻撃が機能し始める。立ち上がりから主導権を握った札幌はサイドからクロスを入れる場面を何度も作った。しかし、甲府は山本英臣、ダニエルのCBコンビを中心によく守ったし、GKの荻晃太が正確で判断のいい飛び出しを見せてクロスボールをことごとくキャッチしてピンチを摘み取った。ただ、ミスが2つ重なると札幌は許してくれない。60分の西嶋弘之のゴールは、クロスを入れた藤田征也にはマークがいなかったし、ファーで待つ西嶋もフリー。これまでよく守っていた守備陣がCKの流れから左右に振られることでマークを外して許した失点だった。去年の甲府なら追いつかれたかもしれない展開だったが、流れの悪かった後半を1失点で耐え抜いたことが一番の収穫。札幌の収穫は「自分たちのやるべきことをゲームの中で表現しないと勝てない」という経験だろう。
第3節にしてようやくホーム開幕戦を迎えた甲府。レプリカユニフォームを着て小瀬陸上競技場にやってくるサポーターの姿には期待が溢れていた。小瀬にはフードコートが登場し楽しみが増えた。オッサンが心に中に隠している「オタク心」を刺激する「時東ぁみ」も来た。「キターッ」って書くのが正しいのだろうか。「ぁみ」の発音も難しい。今節の実況中継を最後に渋谷の本店に異動する某公共放送のアナウンサーに聞くと「あみ」ではなくて、「ぁみ」ですと。正しく発音してくれた。
「我々はプロですから『ぁ』も発音できるんです。『ぬ』に『゛』をつけても発音できますよ。
「発音してみて」
「『ぬ゛』です」
難しい課題も持ちながらも地に足をつけて昇格に向けて前進しようとしている甲府も楽しみだが、渋谷の本店に移動するアナウンサーが週末の「おはよう日本」のスポーツコーナーで「ぬ゛」を正しく発音してくれることに期待して(3月にはまだ2節あるが)4月を迎えることが出来そうだ。
以上
2009.03.23 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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