3月14日（土） 2009 J1リーグ戦 第2節
神戸 2 - 1 川崎Ｆ　（14:04／ホムスタ／15,195人）
得点者：44' 鄭大世（川崎Ｆ）、47' 須藤大輔（神戸）、65' 松橋章太（神戸）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
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　カイオ ジュニオール新体制になって初めてとなる、ホームズスタジアム神戸での公式戦、J1第2節の神戸vs川崎Ｆ。マルセウ、アラン・バイーア、北本久仁衛の主力3選手をケガのために欠き、早くも正念場を迎えた神戸が、どのような対策を立ててくるかは、ひとつの焦点だった。彼らに代わってピッチに立ったのは、初戦で後半から出場したDF小林久晃と、ケガから復帰したばかりの2選手。「神戸の心臓」と言われるMFボッティ、そして、約1年にわたってケガに苦しんでいたFW須藤大輔。彼らを含めたイレブンに、カイオ ジュニオール監督は今季初勝利をかけることになった。

　対する川崎Ｆは、開幕戦で柏に引き分けだったものの、ミッドウィークに行われたACL天津泰達戦で勝利。その勢いでこちらもリーグ戦初勝利を狙って、中2日というハードスケジュールながら、MF中村憲剛、FW鄭大世ら、公式戦3試合連続で同じスターティングメンバーを並べた。

　序盤、ホームの神戸は劣勢を強いられる。レナチーニョのファーストシュートから、川崎Ｆの強力攻撃陣に攻め込まれる場面が続く。神戸も須藤、吉田孝行の2トップを軸にチャンスを窺うも、攻めに厚みが生まれない。GK榎本達也のファインセーブなどで相手の得点機を凌ぐ場面が続いていたが、それもハーフタイム直前に決壊。左クロスから鄭大世にヘッドで叩き込まれ、1点ビハインドで後半を迎えた。

　ここで動いたのが、カイオ ジュニオール監督。ハーフタイムでまず切ったカードは、ボッティに代えて、DF河本裕之の投入。「左サイドのディフェンスに入ってもらい、そのスペースをしっかり守って、ツバサ（大屋翼）を1コ前でプレーさせる意図があった」（カイオ ジュニオール監督）ということで、本来センターバックの選手を、相手右FWレナチーニョを止めるために起用。このシステム変更が契機になって、いきなり後半開始2分という早い時間帯で、神戸は同点に追い付くことに成功する。

　決めたのは昨年不遇のシーズンを送っていた須藤。金南一、吉田とつながれたボールを受けると、川崎ＦのGK川島永嗣の頭越しに絶妙のループシュート。ボールはきれいな弧を描いてゴールネットに吸い込まれ、須藤自身、神戸での初ゴール、そして神戸の今季初得点を記録。試合を振り出しに戻した。

　その後、川崎Ｆが横山知伸をボランチに入れて攻撃のギアを上げると、カイオ ジュニオール監督が次に手を打ったのは、60分、ゴールを決めた須藤から、「スピードを前で活かすことができる」（カイオ ジュニオール監督）FW松橋章太への交代。そして、今度はピッチに送り込まれた11番が、その5分後、いきなり大仕事をやってのける。

　右サイド、スローインからの流れで、吉田の右クロスを金南一がフリックオン。これをファーサイドで待ち構えていた松橋が頭で冷静に押し込み、須藤同様、「昨年は苦しいシーズンだった」という苦労人が、ここ一番で貴重な逆転ゴールを奪った。

　その後、川崎Ｆの反撃を受けるも、逆にカウンターでチャンスを演出した神戸。吉田、松橋に訪れた決定機こそ逃したが、ディフェンス面でも、最後まで主将・宮本恒靖を中心に、身体を張った堅い守備でゴールマウスを守り切り、このまま2-1で終了。神戸はカイオ新体制でのうれしい初勝利を飾り、クリムゾンレッドのサポーターも歓喜に浸った。

　試合後、「非常に感動的な試合。川崎Ｆのような素晴らしいチームに勝てて、非常に誇りに思うし、今までやってきた仕事が報われた感じだ」と、喜びを素直に表現したカイオ ジュニオール監督。今後の戦いに手応えを得た様子だった。

　一方の川崎Ｆは、後半シュート4本に抑えられ、3年連続ホムスタで勝つことはできず。関塚隆監督は「単純なミスがつながった」と敗戦の原因を挙げ、「しっかり修正しながら、ACL、リーグ戦につなげていきたい」と、次節の戦いに気持ちを切り替えていた。

　今季狙う攻撃的サッカーの全貌はまだ見られなかったものの、思い切った采配で勝利をたぐり寄せたカイオ ジュニオール監督。彼が指揮する神戸の戦いが、今後も楽しみなところ。敗れた川崎Ｆは、この日も無得点に終わったブラジル人3選手の奮起が、これからの連戦の鍵となるだろう。そう思えたホムスタでの一戦だった。

以上

2009.03.15 Reported by 前田敏勝