3月14日(土) 2009 J1リーグ戦 第2節
浦和 3 - 1 F東京 (14:02/埼玉/50,802人)
得点者:4' 阿部勇樹(浦和)、13' オウンゴ−ル(F東京)、48' エジミウソン(浦和)、83' ポンテ(浦和)
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確実に結果を残していくことで、徐々にスタンドからの視線を釘付けにしてみせた浦和の背番号10。CKからの正確なキック、右サイドからの鋭いクロスで2点をお膳立てしてみせると、83分には落ち着き払ったフィニッシュでダメ押し弾。運動量こそ周囲から見劣りするものの、ベテランらしい巧みなメリハリの付け方で、ロブソン・ポンテは強烈な存在感を放ち続けた。
この日の浦和は、前節の鹿島戦での敗戦(0対2)を受け、手堅くプレーを展開。前がかりになることなく、バランスの取れた配置で相手との駆け引きを続けた。さらに個人技の高さでF東京のプレスを無力化してみせると、次第にゲームはホームチームが掌握する展開となり、いつしかほとんどの決定機は浦和へと転がるようになっていった。また、前後半の開始早々にゴールを奪った点などは、試合前にホームでの試合の意味を説いていたフォルカーフィンケ監督の思惑が滲む、勝機を逃さないチームとしての強さを感じさせてくれた。
そんな浦和のなかで、一際輝きを放ったのがポンテである。鹿島戦に続いてサイドで起点となった原口元気とのポジションチェンジを繰り返しながら、特に右サイドを蹂躙。次々に飛び出す際どいクロスの連発と、不意を突く絶妙なパスが、F東京の守備陣に恐怖心を植え付けていく。自らが手繰り寄せた自由を謳歌し、終わってみれば1ゴール2アシストを記録。「今日は本当にいい戦いができた。今年はパスが凄く回るし、これからもっとよくしていければいい」という本人の言葉は、今後のチームにとって何よりも心強いものとなるはずだ。
そして、開幕戦で“新生”浦和の印象をさらに色濃くしたのは、着々と進められる新世代の台頭だろう。開幕先発デビューの原口に続き、後半33分からピッチに躍り出た山田直輝は、瞬く間に試合に馴染んでみせると、ポンテのゴールをアシスト。小さくまとまらないためにも、現段階では失敗してもシュートを放つべきシーンではあったが、デビュー戦で記録したアシストが色あせるものではない。「プロになった以上、1年目とかは関係ない」。あどけなさの残る顔からは想像できないほどの芯の強さを持った若武者が、またひとりキャリアの第一歩を刻むこととなった。
一方、敵地でオウンゴールの一発のみに終わったF東京は、城福浩監督も「フェアな結果」と認めたように、浦和を前に完敗。序盤こそテンポよく中盤から前線にボールが運ばれていったが、常に先手を奪われ、余裕のない状態でパスがうまく回らなかった。特に中盤で落ち着くことができず、それに呼応するかのように守備にも綻びが出て3失点。前節の4点に続く大量失点ということもあり、今後の戦いぶりに向けて不安も感じさせるが、先発復帰で早速得点に絡んだカボレやバー直撃シュートを放った石川直宏など、手にした収穫を次につなげたい。
今季初勝利を信じ、強風をものともせずにスタジアムへと詰め掛けた50,802人の両チームのサポーターたち。試合後には両者の明暗が分かれるなか、ホームチームに浮かんだ安堵の表情と歓喜の雄叫びを上げる赤い波に、つかみ取った自信が溶け合っていく。試合後、ミックスゾーンで「勝った次の試合が一番大事」(山田暢久)と語った33歳のベテランの言葉に、浦和加速の予感が漂っていた。
以上
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