3月14日（土） 2009 J1リーグ戦 第2節
清水 0 - 0 横浜FM　（15:04／アウスタ／19,172人）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム
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　絶え間なく吹き続けた強風の影響をもろに受け、前半と後半で正反対の流れになったアウスタ改名後の初ゲーム。清水はホームらしい攻撃的なサッカーと、今季初ゴール・初勝利を目指して懸命に戦ったが、内容的にも結果という意味でも狙いを形にすることはできなかった。

　昨日から降り続いた雨は午前中にやんだが、強い風が残った静岡県中部。アウスタではちょうどホーム側のゴールからアウェイ側ゴールに向けて90分間強風が吹き続けた。その中で、清水はコイントスに勝って、前半はあえて風下側に陣をとる。その意図は、風よりも日差しを考えてのことだった（後半は風下側の守備陣にとってまぶしい位置に太陽が来るため）が、その結果として立ち上がりから横浜FMに押し込まれる展開となった。
　もちろん、それはある程度想定の範囲内だが、その後自分たちのリズムを作って押し返すことができなかったのは誤算だった。「相手がそれほどプレッシングに来ていないのに、慌てて自分たちで長いボールを蹴ってしまい、ボールの収まり所もなかった。風下では、もっとグラウンダーのパスをつながなければいけなかった」と長谷川監督が振り返ったように、開幕の大宮戦と同様に落ち着いたパス回しができなかったことは、前半でもっとも残念な部分だった。

　一方、自分たちのサッカーを取り戻すことを大きなテーマのひとつにしていた横浜FMのほうは、清水のゾーンディフェンスの隙間に選手たちがうまく入り込み、少ないタッチでパスをつないでいく。そして良いリズムでサイドから攻め込む場面も多く作り、カウンターにもしっかりと対応して、完敗した広島戦からは十分に立ち直った姿を見せた。
　だが、最後の詰めのところでは清水の堅い守りを崩しきれず、押し込んだところからボールを戻して風上を利したミドルシュートも狙ったが、ここはGK西部洋平の素晴らしい反応に阻まれてしまう。逆に清水陣営にとっては、西部に救われた前半でもあった。

　だが、後半に入ると流れは一気に逆転する。風上に立った清水が初めから積極的にミドルシュートを狙う姿勢を見せ、前半よりもきっちりとパスをつないで、横浜FM陣内で戦う時間を長くした。後半11分には、アウェイでは慎重だった長谷川監督も早い仕掛けを見せ、山本真希に代えてマルコス・パウロを投入し、枝村匠馬を中央に回して攻撃の厚みを増す。パウロも中盤でタメを作ることに貢献し、サイドからクロスを入れる場面はかなり増えたが、今度はクロスの精度に問題が出てきてしまう。今季初ゴールが未だ取れない焦りもあるのか、ゴール前での硬さや消極性も見られて、なかなか決定機には至らない。
　31分には岡崎慎司に代わって原一樹が入り、37分には兵働昭弘に代わって藤本淳吾が230日ぶりに大ケガ（左足腓骨骨折）から復帰。2人ともチームを活気づける働きを見せ、42分には原が自力で突破して裏に抜け出し、左から走り込んだ藤本にパスを送って、この試合最大のチャンスを作り出す。だが、ここは素早く間合いを詰めたGK榎本哲也に阻まれ、その後も攻めきれないままタイムアップの笛を迎えた。
　前半のシュート数は、風上の横浜FMが8本、清水が1本。逆に後半は、風上の清水が7本、横浜FMが2本。いかに風の影響が大きかったか、数字にもはっきりと表われていた。

　後半は耐える展開となった横浜FMは、ある程度狙い通りに自分たちのサッカーを見せることはできたが、それが90分間続かなかったのは、今後の課題。しかし、0-0という結果は悲観的になるものではなかった。
　だが、ホームの清水にとっては0-0は重く、サポーターからもブーイングの声が上がった。後半は横浜FMにチャンスらしいチャンスを作らせることなく、2試合連続の無失点は収穫だが、それ以上に未だノーゴールというのが苦しいところ。ミスの多さ、ボールタッチ、パスやクロスの精度といった細かい部分を見ると、ゴールを量産するには選手個々の調子がもう少し上がってくる必要が感じられる。ただ、10番・藤本が、復帰早々期待感を抱かせるプレーを見せたのは明るい材料だ。チームを活性化するには、先頭に立って引っ張る選手も必要になるだろう。
　開幕から2戦連続のスコアレスドローは非常にストレスがたまる結果だが、ここはチームとしてもサポーターとしても、我慢のしどころなのかもしれない。

以上

2009.03.15 Reported by 前島芳雄