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【J2:第2節 水戸 vs 徳島】レポート:「前へ。」を貫いた水戸が、攻守で徳島を圧倒。なんだか今年行けるような気がする勝利。(09.03.14)

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3月14日(土) 2009 J2リーグ戦 第2節
水戸 1 - 0 徳島 (13:04/笠松/2,057人)
得点者:54' 遠藤敬佑(水戸)
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 試合後、心地いい空気がスタジアムに充満したのは決してそれまで降っていた雨がやんだからではない。水戸が90分間「前へ。」の今年のスローガン通りアグレッシブに戦い、そして攻守で徳島を圧倒し、今季初の勝点3をつかんだからだ。「自分たちのやりたいことができて勝てたことはすごくいいし、これを大きな弾みにしていきたい」と試合後のスタジアムに差し込んだ陽射しのようなまぶしい笑顔で木山隆之監督が語ったように、大きな希望を感じざるを得ない勝利であった。

 序盤からペースを握ったのは水戸だ。雨のためスリッピーなピッチ状態の中、ロングボールを蹴りあう展開となったが、「前線でタメを作れなかった」(羽地登志晃)徳島に対し、水戸は前線の高崎寛之がしっかりキープすることで厚みのある攻撃を繰り出した。「苦しいクリアボールでも高崎が競ってくれたし、マイボールにしてくれたのは大きかった」と大和田真史の言葉通り、前線で起点ができたことで全体を押し上げることができ、水戸の攻勢が続いた。3分に高崎のポストプレーから荒田智之が抜け出してチャンスを作ると、35分にも高崎のポストプレーから右サイドに展開。鈴木和裕のクロスを荒田がヘッドで合わせるなど高崎の高さを生かしながらチャンスを作っていった。

 水戸は守備も攻撃的だった。スリッピーなピッチの中、DFラインは慎重に対応しなければならなかったが、「なんとか高い位置を保とうと思った」(大和田)ことで全体のコンパクトを維持。積極守備により、選手個々の距離が縮まったことでプレスがかけやすくなり、徳島のパスサッカーを封印することに成功した。また、「(本間)幸司さんとカズさん(鈴木)が帰ってきてくれたことが大きい」(大和田)。若い選手が多いチームの中、最後尾で経験豊富な2人がしっかり手綱を握りながら全体をコントロールしたことで前節のように守備のバランスを崩すことなく、安定した組織を保ち続けた。

 攻守のバランスが保てた水戸は紛れもなく強かった。完全に支配した中盤のスペースで菊岡拓朗や森村昂太らが躍動。創造性あふれるパスからチャンスを作り出し、次から次へとチャンスを作った。そして54分、左サイド小澤雄希からのパスをペナルティエリア内で受けた遠藤敬佑が左足を一閃。クロスバーをかすめながらゴールネットに突き刺さり、待望の先制点を挙げることとなった。「パスを受けた瞬間からシュートしか考えていなかった」という遠藤の「前へ。」の意識が生んだ先制点だ。

 その後も圧倒的にボールを支配した水戸。62分、悪質なタックルを浴びせた徳島・青山隼が退場すると、さらに流れは水戸に傾いた。「2点3点差で勝たないといけなかった。そこが課題」と木山監督が言うように、再三決定機を作りながらも決めきれず、決定力に課題を残したが、最後まで危なげない内容で徳島を退けた水戸。点差こそ1点だが、快勝と呼べる勝利であった。

 前節東京Vに対し、互角の戦いを演じ、一定の手応えをつかんでいただけに徳島にとっては悔しい敗戦だ。中盤でパスをつなぎながらも前線につながらなかったのが問題だろう。今節はファビオを先発させ、羽地と2トップを組ませたが、「2人の関係はよくなく」(美濃部監督)、2人とも前線に張り付いてしまい、「流れを停滞させてしまった」(羽地)。そして、「先手を取る戦いができていない」と美濃部監督が頭を悩ませるように、アグレッシブな守備ができずに後手を踏んでしまうこととなっている。徳島の持ち味はなんといっても「積極性」。それを昨季から貫いてきているはず。その原点をもう1度見直したい。ただ、2試合目で屈辱を味わうこととなったが、『改革』の成果はこれから出るはず。これからどうチームを立て直していくか、新生徳島の真価は問われることとなる。

 水戸は木山体制2年目に入って、本物になってきた。パク・チュホ、赤星貴文、平松大志ら中心選手が抜けたものの、「チームとして戦う」(木山監督)意識がチームに着実に浸透しており、さらなる高みに向けてたしかなスタートを切っている。この日、前線で存在感を発揮した高崎や決勝ゴールを決めた遠藤、さらに中盤で異彩を放った菊岡、森村など選手個々が自らの持ち味を出すための術を身に付けてきており、今後どこまで成長するか楽しみを抱かせてくれている。大事なのはこの試合の内容を続けること。若い選手が多いだけに好不調の波を消しながら「今日のようなアグレッシブで安定した試合をどれだけできるか」(木山監督)が最大のポイントとなるだろう。「今日みたいな試合を続けていれば、いい結果は出る」(高崎)ことは間違いない。

 『水戸維新』の扉は開かれた。楽しみは、これからだ。

以上

2009.03.14 Reported by 佐藤拓也
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