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【J2:第2節 横浜FC vs 熊本】レポート:狙うサッカーの徹底が明暗を分けた。熊本の3トップが横浜FCの自信を奪い、逆転勝利を収める。(09.03.14)

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3月14日(土) 2009 J2リーグ戦 第2節
横浜FC 1 - 2 熊本 (14:03/ニッパ球/5,431人)
得点者:12' 三浦知良(横浜FC)、33' 木島良輔(熊本)、47' 宇留野純(熊本)
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 サッカーの試合の勝敗は、単純に戦力や戦術の善し悪しだけで決まるわけではない。戦力に大きな差がない中、重要になるのは自らのサッカーの遂行に対する自信であり、シーズン後半に向けて自信を高めたチームが、最終的に上位に来る。シーズン序盤はその自信を高める時期。第2節に行われたこの試合では、熊本が自らのサッカーを徹底することで、横浜FCを上回る自信を得ることとなった。

 ゲームは試合開始から、両チームの狙いがはっきり表れる。横浜FCは、前節の草津と似た形で、難波宏明を中心にDFラインにプレッシャーを掛けてチャンスの糸口を探る。一方の熊本は、右サイドでは宇留野純が裏に走り、左サイドでは攻撃時にチャ・ジホを木島良輔に近い位置に置くことで、横浜FCのDFラインを下げて良さを消そうとする。この狙いが両者とも上手くはまり、シュートの場面が交互に訪れる中、最初にチャンスをモノにしたのは横浜FC。フォアチェックが実り、片山奨典がPKを獲得すると、そのPKを三浦知良が決める。17年連続となる42歳0ヶ月16日のJリーグ最年長ゴールを記録し、横浜FCが先制。しかし、「失点後、落ち着いてしっかりボールが回った」と北野誠監督が語ったように、熊本は慌てずに決められたプラン通りのプレーを続けていく。一方横浜FCは、三浦知が「ネガティブな部分が出た」と語るように、熊本のセットプレーにおいてマークが甘く相手をフリーにする場面や、熊本のプレスに戸惑う場面が増える。そして、33分プレスを受けた田中輝和がボールを失うと、木島がそのままゴール右隅に流し込み、熊本が同点に追いつく。その後も、熊本の両サイドに横浜FCの両サイドバックが押さえ込まれ、本来のボールの運び方ができないまま、前半を終了する。失点以外は、熊本の狙いが当たった前半だった。

 「もっと勇気を持ってボールを前へ運ぶ」(樋口靖洋監督)という指示を受けて、横浜FCが再び積極的な姿勢を見せるが、追加点を決めるのは熊本。47分、木島から出たロングパスに宇留野が反応。DF吉田正樹と入れ替わると、そのままゴール右上にシュートを叩き込む。横浜FCも、難波が積極的にDF裏のスペースに飛び込み55分、57分とチャンスを作るが、ゴールを割ることができない。さらに早い時間に西田剛、池元友樹を投入するものの、高い位置でのボール奪取からサイドバックのオーバーラップを生かすことを基本とする横浜FCにとって、陣形が下がりサイドバックが押さえ込まれている状態では、むしろ中盤を熊本に制圧される状態に陥ってしまう。終盤には、パワープレーを仕掛け、なんとかホームのサポーターに勝点を届ける意思を見せるが、熊本の術中にはまり、狂ってしまった歯車を取り戻すことはできず、試合はそのままタイムアップ。熊本が、プラン通りの戦い方を堅持し、2-1で逃げ切りに成功した。

 横浜FCは、開幕からの2試合で、キャンプから積み上げたサッカーがうまく表現できていない。今後、相手のスカウティングが進む中でも自分のサッカーを自信をもって継続することが問われる。今週、樋口監督は「相手のやり方へのリアクションで考えるのではなく、自分たちのサッカーを出すことで相手の良さを消したい」と語っていた。自らのスタイルへの自信と継続は、J1でも通用するスタイルを確立したいのであれば、必ず乗り越えなければいけない課題。「今季初の3連戦なので、良い準備をしたい」(樋口監督)というように、次節から週中の試合を含め日程が立て込むだけに、次節以降の修正は容易ではない。それだけに、この1週間で、どこまでプレーを整理し自信を持ってゲームに臨むか、樋口監督の手腕に期待がかかる。

 一方の熊本にとっては、「アウェイで辛抱強い戦いが出来たのは進歩したところ」(藤田俊哉)というように、自信を深める勝利となった。この2戦で見せた、木島、宇留野の両ウイングは武器であり、今後も熊本の攻撃を支える屋台骨となるだろう。また、「(相手の)2枚のボランチが、あまりにも付きすぎてして、山本が空いた」(北野監督)というように、藤田の存在がチームの他のメンバにも良い効果を与えている。ただ、サイドだけでなく中央も含めた3トップと藤田の関係は、まだまだ向上の余地がある。今後のバリエーションの進化に期待がかかる。

 この試合では、横浜FCと熊本の内容には明暗がくっきり分かれた。熊本はこの試合の自信を継続し、横浜FCは課題を整理することが重要だ。この試合を最終的な今後の強化に生かせるかに注目したい。

以上


2009.03.14 Reported by 松尾真一郎
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