3月15日（日）J2 第2節 岐阜 vs 甲府（13:00KICK OFF/長良川）
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昨年、岐阜にとってホーム・長良川競技場は『鬼門』だった。岐阜がシーズンを通して挙げた10勝のうち、ホームで挙げた勝利は僅か3勝。逆に重ねた黒星は12と、悲惨とも言える成績だった。本来は優位に立てるはずのホームで勝てない。ホームで勝てないということは、地元の岐阜サポーターに勝利をプレゼントできないということ。これではいくら地元の人たちが岐阜の試合を見に行こうとスタジアムに訪れても、勝てない試合ばかりでは、もう一度見に来ようとは思わないだろう。このことが昨年の観客数の低迷に繋がったと言っても過言ではない。
それだけに、今季は『ホームで勝利を』という意識がクラブとしての共通意識としてある。実際に選手たちは事あるごとに、「ホームで勝ちたい」という言葉を口にしていた。ホームで勝ってこそ、チームの成長が実証される。選手が大幅に入れ替わり、『新生・FC岐阜』となったが、クラブの歴史はずっと刻まれている。クラブとしての確かな前進をサポーターに示すためにも、このホーム開幕戦は絶対に白星で飾りたい。

J開幕戦はアウェーで新規参入の栃木SCに対し、ペースを握ってMF高木和正の技ありゴールで1−0の勝利を収め、幸先のいいスタートを切った。今年のチームは新加入選手15人と半数以上のメンバーが変わったことで、筆者自身もチーム力は『蓋を開けてみないと分からない』状態だった。ただ、はっきり言えることは、入ってきたメンバーはどれも複数のポジションをこなすことが出来るユーティリティーで、確かな実力を秘めた選手ばかりで、かつ非常にサッカーに対してひたむきさを持っている。それを象徴するかのように、チームの雰囲気は非常によく、クラブ関係者を持っても「今のチームは明るいし、活気がある」と目を細めているくらいだ。
実際に開幕戦で見せたサッカーは、昨年以上に流動性の高いものだった。特に光ったのが2年目ながらキャプテンの大役を任されたMF菅和範と、ルーキーの永芳卓磨のダブルボランチだ。チャレンジ＆カバーがスムーズで、ビルドアップも的確。FWと両サイドを孤立させること無く、中盤に流動性をもたらしていた。左サイドハーフに入った高木も、頻繁にボールに触ることが出来、カットインからチャンスを演出。決勝弾も積極的なカットインから生まれたものであった。「攻守の切り替えを早くして、全体のテンポを上げていくことを今年のテーマとしてやっている。それが出来た」と松永英機監督も確かな手ごたえを得ている。
一方の甲府は、岐阜同様に新加入の岡山と開幕戦を戦ったが、10人の相手を最後まで崩せず、0−0のドローに終わった。しかし、これはまだまだ甲府の本来の力ではないことを岐阜の選手たちは理解している。「去年もうちが甲府に引き分けたように、初戦の相手が新規参入だとやりづらさもあると思う」と高木が語ったように、次は本来の力をぶつけてくるはずと覚悟は出来ている。
得意の【4-1-2-3】システムを敷き、アンカーの林健太郎とMF藤田健の老獪なコンビが甲府の素早いパスサッカーの軸となり、マラニョン、森田浩史、松橋優の3トップでゴールを陥れて行く。開幕戦で証明したように、岐阜のサッカーはダブルボランチがキーを握っているだけに、甲府の前線への圧力に対し、いかに全体のラインを高くキープできるか。ダブルボランチと冷静なラインコントロールが出来るルーキーDF田中秀人がこの試合のキーマンとなるだろう。
逆に甲府は大西容平、藤田の2シャドーと林の逆三角形がいかに相手ダブルボランチを挟み込んで自由を奪えるか。ここが機能すれば、一気に試合全体のペースを握れるはず。岡山戦の前半ではここが機能せず、攻守の切り替えが遅く、相手に攻め込まれてしまっただけに、この試合でどこまで修正出来るかが、今季初勝利のポイントとなるだろう。

「この試合が今季の自分たちの本当のバロメーターになる」と高木が語ったように、岐阜にとってこの試合は単なるホーム開幕戦ではない。ホームのサポーターに勝利と、『新生・FC岐阜』の力を図るのにも重要な試合となる。今年も『外弁慶』で終わるのか、それともホームの利を活かせるチームとなるのか。岐阜にとって、本当の2009年シーズン開幕のときを迎える。

以上



2009.03.14 Reported by 安藤隆人