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■天皇杯準優勝で得た出場権。ポイントは『アウェイでの勝ち点』。
G大阪が2度目のAFCチャンピオンズリーグ参戦のチャンスに恵まれたのは、06年天皇杯・準優勝という結果を受けてのことだった。というのも、今年のACLには、07年Jリーグ優勝チーム、及び06年天皇杯優勝チームが出場権を得ることになっていたが、後者、つまり06年天皇杯優勝チームの浦和レッズが、昨年、今大会でアジア制覇を成し遂げたことで、今年はアジアチャンピオンとして参戦することに。これにより、06年天皇杯・準優勝チームが出場権を得ることになり、G大阪が出場チャンスをものにした。
2度目のACL参戦にあたり、G大阪は前回果たせなかった『グループ予選突破』をまずもっての目標に挙げていた。そのための最大のポイントとして掲げたのが『アウェイ戦』の戦い方。2年前の初参戦時は、ホーム戦こそ2勝1分と結果を残したが、一方でアウェイ戦は1勝2敗。予選突破の正念場とされたはずの全北現代(韓国)戦は先行しながら逆転負け、大連実徳(中国)は0-2と完封負けを喫した。これに対し、昨年アジア制覇を成し遂げた浦和は、ホーム戦こそG大阪と同じ2勝1分だったものの、グループ予選のアウェイ戦は3戦3分と負けなし。同大会で同じく予選を突破した川崎もまたホーム戦を2勝1敗、アウェイ戦を3戦全勝で飾っていた。という昨年のJクラブの戦い方を踏まえ、また初参戦した2年前の反省をもとに、西野朗監督は、大会を前に「是が非でもアウェイ戦で勝ち点を持ち帰らなければいけない」とコメント。この思いは2年前を経験している選手たちにも浸透し、誰もが『アウェイ戦での勝ち点』に執念を燃やして戦いに挑むことへと繋がった。「予選突破が出来なかった前回の反省を踏まえ、アウェイ戦でどれだけ勝ち点を積めるかが、戦いのカギになる(MF遠藤保仁)」
■アウェイ全勝で、グループ予選を突破!
ホームで迎えたチョンブリ(タイ)との初戦は、思いのほか、難しい試合になった。前評判ではG大阪が格上とされていたが、ふたを開けてみれば序盤から苦しいゲーム展開。日本代表選手を多数揃えるG大阪は、今季、開幕前から全員が揃ってチーム作りを行う時間が殆どなく、それが開幕後にどのような影響をもたらすのか懸念されていたが、この一戦では明らかにそのことがマイナスに働いた。個の能力の高さからパスは回るものの、明らかにチグハグさが目立ち、昨年示したようなリズムある攻撃展開は見られない。そんな中、59分にミスからまさかの先制点を与えてしまい0-1。幸い、ロスタイムにFWルーカスがようやくゴールをこじあけ同点には持ち込んだが、まさかのドロー発進に選手たちの表情は堅かった。
息を吹き返すきっかけとなったのが第2、3戦のアウェイでの戦いだ。第2戦の全南(韓国)は2点を先行される展開の中、31分MF二川孝広の強烈ミドルで息を吹き返すと逆転に成功。再び追いつかれたものの、最後はFW播戸竜二が泥臭くこじあけ再逆転勝利をおさめる。第3戦メルボルン(オーストラリア)戦も同じく、開始4分で先行されたものの、獲って、獲られてのシーソーゲームとなる中、3−3で迎えたロスタイム。FWルーカスのゴールで決着をつける。身体も大きく、高さでは明らかに差をつけられる相手に、足元で崩すG大阪らしい『攻撃スタイル』を貫き通しての勝利だった。
そのメルボルン戦では、続くホーム戦でも完封勝利を飾り、決勝進出に王手をかけたG大阪は第5戦が行われるタイへと乗り込む。このチョンブリとの一戦、直近のリーグ戦で負傷したチームの要、MF遠藤保仁が欠場するという不測の事態に襲われ、序盤はボールがおさまらずに苦戦を強いられたが、0-0で迎えた後半。途中出場のFW山崎雅人がピッチに立ってわずか1分で結果を出し先制点を挙げると、76分にはFWルーカスが追加点を挙げ、チョンブリを撃沈。0-2と勝利し、ホームでの最終節(VS全南△1-1)を待たずにクラブ史上初のノックアウトステージ進出を決める。振り返れば、正念場とされたアウェイ戦全てを勝利で飾っての快挙だった。
■逞しく勝ち進んだノックアウトステージ。そして、アウェイ全勝でのアジア制覇。
今年の夏は激震の連続だった。6月末にDF水本裕貴が京都へ完全移籍。FW播戸竜二が肝機能障害のため、MF遠藤保仁がウィルス感染症により入院。そして、締めくくりはエースFWバレーのアル・アハリ(UAE)への移籍だった。結果、本来なら毎年夏場に圧倒的な強さを示すはずのチームが、いつもと違う夏を過ごすことになる。もちろん、彼らの離脱だけが理由ではないが、戦力ダウンは明らかで、結果、ノックアウトステージが始まる直前のJ1リーグ名古屋戦で、チームワースト記録となる公式戦10戦勝ちなしの不名誉な記録を樹立。試合後には、サポーターが抗議の座り込みを続けたことなどから、翌日、シリアへ旅立つチームバスは関西国際空港までパトカーに先導されたり、関空到着後も、私服警官を含む警備員に搭乗ゲートまで警備されたり、と、物々しい雰囲気の中での出発となった。
だが、アル・カラマ(シリア)との第1戦に望んだチームに、もはや暗い影はなかった。完全アウェイの雰囲気の中で立ち上がり7分に失点し、ほんの一瞬、不穏な空気が流れたものの、徐々に『らしい』サッカーで流れを掴むと、後半は形勢が逆転。完全にペースを握り70分にセットプレーでDF山口智が同点弾。77分には途中出場のFW山崎雅人が追加点を奪い、逆転勝利を決める。準決勝進出に王手をかけたのみならず、長く苦しいトンネルを抜け出すための待望の白星。その1週間後のホーム戦でも2-0と快勝したG大阪は順調に、準決勝へと駒を進めた。
準決勝はACL史上初のJクラブ同士の顔合わせになった。相手は宿敵、浦和。これまで数多くの正念場の戦いを繰り広げてきた相手だ。その浦和とのホーム戦を1-1で折り返したG大阪は勝負の第2戦。アウェイの地で覚醒する。1点のリードを許して迎えた後半。「最初からプランは2点以上奪って勝つこと。状況は何も変わっていない」という西野監督のゲキに背中を押されたイレブンは、まずDF山口智が同点弾。試合を振り出しに戻すと、72分にはMF明神智和が逆転弾。運動量の落ちた浦和を尻目に、得意のパスサッカーで相手を翻弄しながら浦和を窮地に追いやって行く。そして、トドメは76分。流れるようなパスサッカーで浦和DFを切り崩すと、仕上げはMF遠藤保仁のゴール。真っ赤な埼玉スタジアムを沈黙に陥れての完勝で、G大阪は決勝進出を決めた。
アデレード・ユナイテッド(オーストラリア)との決勝は、ホーム戦での3-0勝利で幕を開けた。大量得点もさることながら、アウェイゴールを与えなかったことは、第2戦を戦う上で選手たちの気持ちを軽くした。しかもそのアウェイ戦も開始わずか15分までに2点を先行。得意のパスサッカーで、相手の苦手な足元でボールを動かしながらアデレードを翻弄しつつ、最後まで高さ、強さというアデレードの“武器”を使わせることはなく。締めくくりにふさわしい、完勝でクラブ史上初の『アジア制覇』を成し遂げた。
思えば、このACLを勝ち進む上で、西野朗監督は何度も「浦和とは違うスタイルで勝ち上がりたい」と口にしてきた。これは『守備力』を武器にしながら頂点に上り詰めた浦和に対し、G大阪は持ち味である『攻撃力』を武器にアジアチャンピオンになりたい、という思いからの言葉。その言葉通り、G大阪は最後まで攻撃的姿勢を貫いた。国内戦ほど相手チームに研究されていないこともあり、完全に引いて守られるような試合は殆どなく、『打ち合い』になることが多かったことで、よりスタイルを出しやすかった部分はあったとはいえ、試合終了のホイッスルが鳴る瞬間まで、一貫して『獲りに行く』姿勢で勝利を呼び込み続けたことは“アジア”に衝撃を与えた。しかも、今年のACLを戦う上での最大の『ポイント』に挙げていたアウェイ戦を全勝で飾るという、昨年の浦和もなし得なかった逞しさを示してたどり着いた『アジアチャンピオン』の座。11月12日、G大阪にまた新たな歴史が刻まれた。
Reported by 高村美砂
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