11月30日（日）J2 第44節 愛媛 vs 山形（13:00KICK OFF/ニンスタ）
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11.30に行われる愛媛の今季ホーム最終戦は、今節のJ2で最も注目を集める一戦になった。それは悲願のJ1初昇格を目前にした山形を迎える一戦。山形は勝てば文句なく、自力でＪ1自動昇格内定となる2位以内を確定できる。また、仮にそれ以外の結果となった場合でも、同日・同時刻にキックオフとなる鳥栖対仙台の一戦で、３位・仙台が勝利できなかった場合に山形の２位以内が決まる。「300〜400人の山形サポーターがやって来るのではないか」と愛媛の関係者が教えてくれたが、歴史的な一瞬をその目で見ようとはるばる山形から訪れるサポーターを受け入れるニンジニアスタジアムは、一種独特の雰囲気に包まれることが容易に想像できる。

その中で、やはり気になるのが山形のパフォーマンス。今回と同じく、勝てば２位以内が決まるはずだった前節の熊本戦では、昇格のプレッシャーからか普段なら考えられないミスで失点をしてしまった。「２回目なので、少しプレッシャーを力に換えてピッチで表現できるように」と小林伸二監督が語るように、この緊張感をプラスの力に変えたい。第２クールでの愛媛との対戦のように、その力を立ち上がりに爆発させて前節と同じ轍を踏むことなく歓喜の瞬間を迎えられるか。愛媛に駆けつけるサポーターだけでなく、山形では各地でパブリックビューイングが行われる。そこで新しい歴史が刻まれる瞬間を心待ちにするサポーターのためにも、大きな手土産を持って地元に帰りたいところだ。

逆に愛媛にとっては「広島の昇格（内定）を目の前で見ているので、次は絶対負けたくない」とDF高杉亮太が語るように、4試合勝利から遠ざかっているとはいえ、意地をみせなければならない一戦だ。そのためには、試合の序盤で先に点を与えないことが重要になってくる。前節の福岡戦では、FW大久保哲哉の高さに屈した愛媛はクロスからの失点が続いており、これは山形戦でも課題となる。高さがあり、共に今季2桁の得点をあげている豊田陽平（10点）と長谷川悠（12点）のツートップに仕事をさせないためにも、まずは前線でしっかりプレスをかけて２人にいいボールを入れさせないことがポイントだ。「一人で奪いに行くのではなく、サイドの選手とボランチが協力しなければならないが、それは今季できたりできなかったりした部分」とMF横谷繁が口にしたが、チーム全体で意識を統一して山形の攻撃を跳ね返したい。

その上で攻守の切り替えを早くして、逆に山形の堅守（40試合で38失点）を打ち破れるか。「高さを含めて後ろのブロックが強く、構えられると放り込んでも駄目」と望月一仁監督が指摘するように攻撃でもチーム全体で連動し、優位性を持って仕掛けたい。前節の福岡戦で見せた2ゴールのように、古巣・山形戦となる横山拓也と大木勉のツートップを中心に、バイタルエリアを突いて山形の守備ブロックを崩していきたいところだ。そこで先制点を奪うことで山形の焦りを誘えれば、愛媛が試合の主導権を握って戦える。

しかし何より、愛媛にしてみれば山形戦はホーム最終戦。今季ホームでの５勝という成績は、岐阜に続くリーグワースト２の不名誉な記録だ。昨季もチームの完成度が高まりながら結果を出せていなかったが、同じホーム最終戦では鮮やかな逆転劇で湘南を下し、連敗を止めた。「いつも通り思い切ってプレーし、走っているところをみて欲しい」と山形戦に向けて意気込みを語ったのはMF井上秀人。今季限りで現役引退を決めた彼をはじめ愛媛は先日、DF星野真悟らの契約満了を発表。愛媛をJに導いた彼らの花道を飾るためにも、昨季のように白星で終えたいラストマッチだ。

様々な決意や期待、不安が渦巻く第44節のニンジニアスタジアム。そこで生まれるドラマは間違いなく、愛媛と山形のサポーターだけでなく、多くのサッカーファンの間で語り継がれる物語になるだろう。

以上

2008.11.29 Reported by 近藤義博