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【J2:第44節 甲府 vs 福岡】プレビュー:不都合な心の扉を閉じて純粋に勝利を求める(08.11.29)

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11月29日(土)J2 第44節 甲府 vs 福岡(14:00KICK OFF/小瀬
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※オートプレーの為、実際のメンバーと異なる場合があります。また一部選手はエディットして作成・追加しています。ご了承ください。
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「小瀬で最後の試合になるけど、いつも通りにやりたい」
11月25日に発表された契約を継続しない8人の選手の一人である井上雄幾は俯き加減に話した。チームを去ることになる選手は、8人では済まないだろうが、現時点で発表されている選手の中で井上が唯一、ホーム最終戦で先発することになる見込みだ。
「(移籍のための)職探しの試合だと思おうかとも考えたけれど、それはやめていつも通りにやるだけ。今シーズンは思うようにコンディションを上げることが出来なかったけれど、福岡戦では攻め上がるプレーを発揮したい。そこを見て欲しい」と殆ど顔を上げることなく質問に答える。前日練習が終わったあと、ストレッチをする井上の姿を見ると甲府の選手として出来る練習があと少ししかないことに折り合いを付けることがまだ出来ていないようにも見えた。

来年の監督が誰になるのか、どんな体制になるのかが判らない状態というのは精神衛生上よくない。しかし、安間貴義監督は「J2リーグ第44節という立派な名前がある試合。消化試合ではない。プロである以上ピッチに立てばトレーニングも試合も集中してやる。選手は積極的にやってくれているし、田森大己や神崎大輔のようにチームを離れることが決まった選手が居残り練習でいろいろ聞いてくる。練習の雰囲気は変わっていない」と話す。見ている方がセンチメンタルな気分になっているが、選手とスタッフは内側では一つになって残り2試合を戦おうとしている。

今節は林健太郎、保坂一成、輪湖直樹の3人が出場停止。福岡は久藤清一と丹羽大輝の2人で、お互いに似たような条件。安間監督は「(出場停止の選手が多いことは)見慣れた光景(笑)」と大して気にはしていない。リーグ戦の終盤になってから、選手がいつ来るか判らないゴールチャンスを貪欲に狙って、覚悟を決めたプレーをしていることを安間監督は評価しており、力が落ちるなんて思っていない。福岡のプレーで特に注意する点は、FW・大久保哲哉の高さ(190センチ)とボランチの城後寿と中村北斗のモビリティ。そして、サイドバックの中島崇典を起点とする攻撃。安間監督は「例えば、中島から大久保へのボール、そしてFW・田中佑昌のスピードを生かした動きの3つが揃うと失点してしまう。このような連携が揃わないようにしたい。ウチのDFラインは高さがないから全部のボールを跳ね返すことは難しい。(大久保と)ハーフナー・マイク(194センチ)の先発も想定しているけど、そこに到る前のボールの出所にしっかりプレスを掛けて行き、ボールを奪えなくても1メートルでもパスをズラせればいい。高さで負けたとしても甲府のストロングポイント(アプローチの速さ、攻守の切り替えの速さ)で(福岡の高さを)消せばいい」と言う。J1昇格は果たせなかったが、残る目標は甲府のストロングポイントを発揮して勝つことだけ。そうやってホーム最後の試合を締めくくりたい。

「(新聞報道などを見ての)憶測だけれど、4−3−3ともお別れかもしれない。僕らは4−3−3というシステムをベースに、いろいろなことを経験して成長してきた。(来年ことは分らないけれど)選手は監督を選べないのだから、今やれることをやるだけ」
来年もチームに残るであろう石原克哉も何かを感じながら残り試合を迎えようとしている。オフに手術を考えるほど足首を酷く痛めている藤田健は、「(来年どうなるか分らないが)勝っても観ている人が『つまらない』と思うようなサッカーはしたくない。残り試合数が多ければ出ないかもしれないけど、少ないから出たい。年末だし、勝利給も欲しいからね(笑)」と冗談めかして言うが、大木武監督−安間貴義監督のもとで、成長させてきたサッカーに対する誇りは、J2に落ちようがJ1昇格を逃そうが変わらず持っている。これ以上心の扉を開けるといろいろ都合の悪いことが起こるが、選手が自分たちのサッカーをこれほど愛し、誇りを持っているチームは他にはないのではないだろうか。

2年間のJ1暮らしで、甲府を評価するハードルが高くなってしまったが、原点は選手も観客も楽しいと思うサッカー。その魅力を小瀬で最大限見せて欲しい。去年の第4節(@小瀬・3月31日)でG大阪を相手に15本のパスを繋いで奪ったゴール(アルベルト)のように、甲府スタイルの魅力を見せ付けて欲しい。見せるべき人に。昇格の可能性が消えてからは心配事の方向が変わって、大好きな彼女にフラれる2日前のような気分のままだが、明日は不都合な心の扉は閉じて、勝利を純粋に求めたい。

以上

2008.11.28 Reported by 松尾潤
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