9月27日（土）J2 第38節 岐阜 vs 福岡（13:00KICK OFF/長良川）
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みなさんは『一枚岩』という言葉をご存知でしょうか。一枚岩とは複数の石や岩が強固に結びついて、一枚の大きな岩となること。つまり複数の立場の人や組織が強固に結びついて、ひとつの大きな力（存在感）を発揮するということを指します。

今、J2にFC岐阜というチームがあります。今年初めてJ2リーグに昇格したフレッシュなチームは、リーグ前半、チーム全体が思い切りの良いプレーを見せ、先輩たちを苦しめ続けました。しかし、徐々に思い切りの良いプレーが影を潜め、相手の攻撃をしのぐ日々が続くようになると、徐々にチームにほころびが生じてきました。

そして一番強いチームを相手に守備が崩壊したことで、チームを支える人々の気持ちも崩れていきました。強固な結びつきが無くなったチームは、失点を重ね、4試合で18失点という不甲斐ない結果を招いてしまいました。

守備というのは、選手たちがひとつの組織となって、ゴールを守ることにあります。攻撃というのは、選手たちがひとつの組織となって、ゴールを奪うことにあります。しかし、残念ながら今の岐阜というチームは、選手たちがひとつの組織となっていません。個々がゴールを守り、個々がゴールを奪いにいく。先ほども述べたように、J2リーグ1年生のチームが、J1を経験しているような歴史あるチームに、これで勝てるわけがありません。

この4試合は広島、C大阪、仙台、甲府といずれもJ１経験チーム。今回の試合もJ1経験チームである福岡。今の状況では、ホームのサポーターに勝利をプレゼントするのは難しいでしょう。

何が言いたいのかというと、一気にチーム状況が良くなるのは難しいが、良くしようとする意欲だけは出すことが出来るはず。強固は一枚岩になれとは言わないが、選手一人ひとりが現状を真摯に受け止め、周囲と結びつこうとする意欲を見せてほしい。今のチームを見ると、福岡戦に向けての最大の対策は、戦術や選手云々の前に、気持ちの問題であることはあきらかであるのだから。

これを読んでいる人は、「また気持ちの話か」と思うかもしれない。しかし、サッカーをやるのも、サッカーを指揮するのも人間。気持ちの通ってないチームがいいサッカーを見せられるはずがない。すべてのベースはそこにあるのだ。戦術や選手起用、選手の能力などを隠れ蓑にしてはいけない。気持ちを前面に出して、真に闘った上の結果であれば、誰もが結果をしっかりと受け止められる。しかし、そうでないものに価値を見出すのは難しい。岐阜サポーターはもちろん勝利を臨んでいるが、それ以上に価値を見出すことが出来る結果を求めている。岐阜は早くそれに気づくべきだ。

岐阜と対戦する福岡は、篠田監督就任以来、5勝2敗4分けと好調を維持している。初采配となった第26節の徳島戦で、新監督の期待に応え、選手たちが気迫の逆転勝利を勝ち取ったことで勢いが生まれた。前節は岐阜が大敗したC大阪相手に3−2の勝利。これだけ見ても、チーム力の差があるのは事実だ。

チーム得点王の大型FW大久保とハーフナー・マイクのツインタワーは、岐阜にとって大きな脅威だ。なぜなら、岐阜はサイドから崩されての失点があまりにも多い。両サイドからのクロスに対しての守備が甘く、失点に繋がっているだけに、このツインタワーの存在は脅威以外何者でもない。さらにやっかいなのが、終盤に投入されるFW田中だ。抜群の身体能力を誇り、スピードとアジリティでゴールに一直線に向かってくる彼が、終盤に投入されると、岐阜の守備の現状では非常に苦しくなってくる。以前戦った福岡だと思って挑んだら、痛い目に合うだろう。

それだけに話は戻るが、岐阜のチームとしての気持ちがなければ、失点をさらに重ねる可能性もある。今こそ、気持ちのあるプレーを、一枚岩になろうとする意欲を。周囲はそこを見ている。

以上

2008.09.26 Reported by 安藤隆人