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【J2:第37節 熊本 vs 横浜FC】レポート:クラブ史上最高となる15,588人の観客の前で、終了間際の劇的ゴール! 熊本が横浜FCを下して今季初の連勝を飾る。(08.09.24)

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9月23日(火) 2008 J2リーグ戦 第37節
熊本 1 - 0 横浜FC (16:03/熊本/15,588人)
得点者:89' 吉井孝輔(熊本)
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 このチーム、というかクラブは、何かとてつもない強運を持ち合わせているのではないかと思う時が過去にも幾度かあったが、この試合でもそれをはっきりと感じ取ることができた。もちろん、強運などという簡単なフレーズで片付けてしまうのは、日々汗を流してトレーニングしている選手達に大変申し訳ないし、逆に“運がない”と感じる場面もあったにはあったが、そういった運をも引き寄せることができてしまうのも、やはり土台があるからこそだと思う。

 首位を快走して来た広島が愛媛を下してJ1復帰を内定させた今節、今シーズンからJリーグに仲間入りを果たした熊本が、広島と同じく今年J1復帰を目指した横浜FCを下して初の連勝を飾り、広島に敗れた愛媛を(愛媛は熊本より1試合少ないが)抜いて13位に浮上した。

 中2日というタイトなスケジュールでの連戦を考慮し、またケガ人の影響等もあって若いメンバーで臨んだ横浜FCに対し、熊本は累積警告で出場停止の車智鎬を除いては前節と同じメンバー。そのこともあってか、前節のいい流れを維持した立ち上がり。特に守備の意識は高く、前からの厳しく連動したプレスで横浜FCのミスを誘い、効果的な攻撃を許さない。「喜名さんが残って、両サイドバックが高い位置を取るという形を練習でも意識していた」(河端和哉)との言葉通り、バックラインでボールを動かしながら丁寧にビルドアップしつつ、時折ロングフィードでサイド深くのスペースを狙う等、両サイドバック、MF陣、そしてツートップまでが絡む形でチャンスを作って押し気味に試合を進める。

 一方の横浜FCは、熊本の最終ラインが非常に高い位置を取っていたことで「引かざるを得ない状態」(池元友樹)に押し込まれる。DFラインの裏を狙い、エリゼウからのロングボールで難波宏明を走らせたり、ボランチの根占真伍、小野智吉らが起点となってサイドへ展開したりするが、中央では河端や福王忠世が落ち着いて対応し、サイドでは市村篤司が鋭い読みでインターセプトを繰り返し、セカンドボールも宮崎大志郎や山本翔平がタイトに寄せて拾い、さらにカウンター気味の攻撃に対しても、中盤がしっかり戻ってディレイさせるなど、熊本の守備陣が完全にコントロール。クロスに対してもGK吉田智志が積極的に飛び出し、好セーブを見せた。

 前半に迎えた決定的なチャンスを確実に決めていれば、もう少し楽な展開になったことは言うまでもない。後半に入ると横浜FCも徐々に攻撃の手を強め、58分に三浦淳宏、64分にチョ ヨンチョル、さらに71分には御給匠を投入。三浦が入ったことでリズムを少しずつ引き寄せるが、ここ数試合の経験を生かして、熊本の選手達は点が取れなくても焦ることなく、自分たちがやるべきことをやり通した。75分、79分のチョ ヨンチョル、81分の根占、82分の池元のミドルと、横浜FCのシュートも枠を外れる等、お互いに点を奪えないまま時間が過ぎたが、アディショナルタイムが表示された89分、ついにゴールが生まれる。
 80分頃に発表された入場者数は、動員プロジェクトの効果もあってクラブ史上最高となる15,588人。その大観衆の思いが“ボールに乗り移った”と言ってしまうと確かに感動的だが、この決勝点も、選手達の勝利への欲求と、流れの中で迎えたチャンスをモノにするという意識、そして瞬間の判断とそれを表現する技術が生んだものだ。

 スローインからのボールをつなぎ、高橋が前方へ浮き球を送ると、78分に交代で入った木島良輔が、「競っても勝てないから」とDF太田宏介の裏のスペースへ走り込む。これが視界に入ったのか、フリーでジャンプした太田のヘディングが中途半端なクリアとなって木島に渡る。この瞬間、熊本は小森田友明、小林陽介、そして吉井孝輔が猛然とゴール前へダッシュ。ペナルティエリアの角辺りまでドリブルで持ち込んだ木島は、切り返してルックアップ。「目が合った」(木島)クロスは、「ちょっとズレたのでアシスト狙い」(小森田)で折り返され、「小森田さんの角度だとシュートはないと思ったので入って行った」吉井の左足に触ってゴールへ吸い込まれた。

 左、右、もう一度左、右と、タテへのスピードの中で左右の揺さぶりに横浜FCのDF陣は翻弄された。木島に拾われたこととクロスを入れさせたこと、小森田の折り返し、最後の吉井の詰めと、いずれかの段階を防いでいれば、この試合はドローで終わっていただろう。熊本側からしてみれば、今まで自分たちのミスを確実に決められていた展開とは逆に、相手のミスを確実に決め、守り抜いて勝ったということ。観客数も含め、そうした展開を結果に結びつけたことで、遅ればせながらようやくJクラブの仲間入りを果たせたという実感がありはしないだろうか。

「今日は守備面でも攻撃面でも今ひとつスピードに乗れず、完敗という印象。中2日で移動して来るというのは、思った以上に負担なんだなというのが、試合後の感想としてある」と、横浜FCの都並敏史監督は無念さをにじませた。ここ数試合、内容的にもいい展開を見せていただけに、次節の鳥栖戦で再び浮上のきっかけを掴みたい。

 さて、熊本はこれで8勝目。順位も上げ、12位の岐阜との勝点差も1となった。次節の相手である草津とは、今季1勝1敗。初の3連勝がかかる試合は、初の“シーズン勝越し”もかかる一戦。だが「プレッシャーなんかない」(河端)、「今日の喜びや嬉しさを皆が感じ取って、また勝利を迎えられるよう、今日みたいに走り続け、ボールを追い続け、戦うことの繰り返し」(池谷友良監督)と、初めての連勝も階段を一段上ったに過ぎないことは誰もが理解している。「熊本からJリーグへ」という欲がチームをこの舞台へ押し上げたように、選手達はもちろん、ファンも、次なる欲を持ち続けることが、またひとつ階段を上る原動力となる。この日灯ったその種火を、再び燃やし続けなければならない。

以上

2008.09.24 Reported by 井芹貴志
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