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【J2:第37節 福岡 vs C大阪】レポート:明暗分けた監督采配。攻撃的な姿勢を貫いた福岡が劇的な逆転勝利を飾る。(08.09.24)

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9月23日(火) 2008 J2リーグ戦 第37節
福岡 3 - 2 C大阪 (19:04/レベスタ/9,570人)
得点者:21' カイオ(C大阪)、67' 大久保哲哉(福岡)、69' 香川真司(C大阪)、83' 田中佑昌(福岡)、89' 大久保哲哉(福岡)
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 表示された3分間のロスタイムは終わろうとしていた。いつホイッスルが鳴ってもおかしくない時間。しかし福岡は、ベンチも、ピッチの11人も、ともに戦うサポーターも、勝利だけを信じた。力の限りに走る選手。声を枯らさんばかりに声援を送るサポーター。そして、タレイの右足から放たれたクロスが大久保哲哉に向かって吸い込まれるように飛んでいく。ジャンプ一番、頭で合わせる大久保。次の瞬間、レベルファイブスタジアムが湧き上がる歓声に包まれた。「最後は気持ちでいきました」(大久保)。それは、福岡にかかわる全ての人の思いを乗せたゴールだった。

 勝たなければ何も始まらない福岡。J1昇格レースに生き残るためには勝たなければならないC大阪。そんな両チームの気持ちがぶつかり合う試合だった。福岡が、大久保、ハーフナー・マイクの高さを生かして前線に起点を作り、ビルドアップしてC大阪ゴールを目指せば、C大阪はジェルマーノ、カイオを中心にしてショートカウンターで応酬する。組織力なら福岡。個の力ならC大阪。互いのゴール前での攻防の多い試合は一瞬たりとも目が離せない。

 先制点はC大阪。21分、ペナルティエリア内にこぼれたボールにカイオが素早く反応。時間もスペースもない中で技ありのループシュートを決める。福岡の同点ゴールは67分。中払大介のゴール前へのパスを久藤清一がワンタッチで流し、そこへ走りこんだ大久保が左足でゴールネットを揺らす。そして福岡の同点ゴールから2分後、C大阪は柳沢が放ったミドルシュートに香川が飛び込んで、再び福岡を突き放す。しかし、残り時間は十分にある。どう転ぶかわからない中で試合は終盤へと入っていく。

 そんな試合の行方を決めたのは監督采配だった。71分、レヴィー・クルピ監督(C大阪)はカイオに代わって羽田憲司を投入。前線を小松塁の1トップにして、中盤の底に青山隼、羽田憲司、ジェルマーノの3人を並べる4−3−2−1の布陣に変えた。「相手がクロスボールをどんどん入れてきていたので、そのこぼれ球を拾ってカウンターを仕掛けるのが狙い」(クルピ監督)だった。しかし、この采配がチームの前への意識を奪うことになる。

 この日のC大阪はショートカウンターからチャンスを作っていたが、先制後は下がり気味になって福岡に中盤を支配され、足が止まりはじめた後半はプレスが甘くなっていた。そんなチームを前に引っ張っていたのが、カイオ、ジェルマーノの個の力。カイオがピッチを去り、ジェルマーノが守備に回れば、チームが前へ行けなくなるのは道理だった。「C大阪は足が止まっていたし、選手交代を見ても、なんとか2−1で逃げ切ろうという気持ちが僕たちに伝わってきた」(大久保)。逃げようとする姿勢が強くなるC大阪。消極的な姿勢が見え隠れし始める。

 対照的に、篠田善之監督(福岡)は最後まで攻めの姿勢を貫く。54分に久永辰徳に代えて中払、71分には久藤に代えてタレイを投入して中盤のパワーを整えると、77分には切り札・田中佑昌を投入。中盤の構成を、ボランチの位置に城後寿、トップ下に田中を置くダイヤモンド型に変えた。「相手の足が止まったところに2列目から飛び出させるのが狙い」(篠田監督)。それは最後まで攻め抜けという篠田監督の意思表示。その気持ちに応えて、選手たちは怒涛の攻撃を仕掛けた。

 その先頭に立ったのは田中。他を圧倒するスピードでC大阪の守備陣を切り裂いていく。そのプレーにスタンドからは大歓声が沸き上がり、それが力となってピッチの11人を後押しし、さらに選手たちのプレーがスタンドの気持ちを引き込んでいく。83分、その田中がゴール前のこぼれ球を押し込んで同点に。そして、さらにパワーアップしてC大阪に襲いかかる。C大阪はただ待ち受けるだけ。足は完全に止まった。

「同点にしてからは気持ちだった。僕たちの気持ちが上回っていたので走る量も増えたし、カウンターのときに前に出る人数も僕たちの方が多かったし、戻る人数も相手の方が少なかった」(大久保)
「2−2から点を取りに行かないとダメなのに、受け身になってしまった」(青山隼)
 そして生まれたロスタイムの大久保の決勝ゴール。レベルファイブスタジアムは熱狂の渦に包まれた。

 福岡にとって2失点は相変わらずの課題と言えるかも知れない。しかし、この日は、それをカバーしてあり余る強い姿勢と、一丸となって戦う姿勢を見せた。それこそが福岡が求める力だ。手に入れた力を武器に次節は岐阜と戦う。その先にあるJ1のゴールを目指して。

以上

2008.09.24 Reported by 中倉一志
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