9月23日（火）J2 第37節 熊本 vs 横浜FC（16:00KICK OFF/熊本）
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　どのチームも中２日で迎える今節、コンディション面では非常に厳しいスケジュールであることは間違いない。ただ逆に、試合の間隔が短い分、一部のチームには、“前節の勢いをそのまま継続できる”というメリットがありはしないだろうか。

　ほんの２日前、システムを変えて臨んだ今年最後の九州ダービーで鳥栖を下し、７試合ぶりに勝ち星を挙げた熊本も、タイトな日程ではあるものの、どちらかと言えば有利に今節の試合を迎えられるチームの１つだろう。前節はアウェイとは言え“最も近い”敵地で、移動による疲れはほぼ無いと見ていいし、加えて、動員プロジェクトが予定されている今節は、おそらく今シーズン最高となるであろう（強い希望も込めて）１万人近い、あるいはそれ以上の観客がスタジアムにやってくる。ベアスタでの２万というアウェイの声をも発奮材料にした選手達には、ホームの大観衆の声と思いは、大きな力になるはずだ。

　さて、迎える横浜FCだが、開幕前には昇格候補の一角に挙げられながらも、ここまで９勝12分12敗の勝点39で現在10位と、予想外の低迷に苦しんでいる。だが過去の対戦では１分１敗と、熊本は未だ勝てていない。第１クールの対戦では、失点した後に前がかりになったことでバランスを崩してカウンターから５失点を食らい、８月の第２クールの対戦でも、１度はリードしながら山田卓也のミドルシュートで同点に持ち込まれて勝ちを逃すなど、正直なところ、あまり“いいイメージはない”嫌な相手。第１クールの５点のうちハットトリックを許したFWアンデルソンが、前節退場となったため出場停止となるのは有り難いが、それだけで安心できるかと言えば、当然ながら否だ。

　全体的に流動的にポジションチェンジするため捕まえにくいという特徴も、過去２戦と構成も違ってくるとなれば尚のこと。現実的にはＪ１復帰の可能性が極めて低い位置にいるとは言え、むしろそのことがプレッシャーから選手達を解放したのか、ここへ来て、中盤でタメを作ってサイドから崩してゴールに向かうという形ができつつある。前節も首位の広島を相手に追いついてのドローを演じたように、選手個々のポテンシャルも高い。

　熊本は前節、それまでの[4-1-4-1]から[4-4-2]にシステムを変更。中盤の底で喜名哲裕が左右に散らし、前のMF３人と高橋泰、中山悟志のツートップが絡み、さらには両サイドバックも果敢に攻撃参加して、少ないタッチでつないだり、サイドからのクロスで何度も好機を作った。失点場面は中央へ入って来た高橋義希に引っ張られて廣瀬浩二をフリーにしてしまうという、ここまでにも見られた形ではあったが、「前がかりになりすぎるのではなく、耐えるところはしっかり耐える」と選手達が口々に話していた通り、全体をコンパクトに保って90分を戦い抜き、交代で入った木島良輔が、数少ないチャンスを確実に決めた（実際、熊本が鳥栖戦の後半に放ったシュートは、木島のこの１本のみ）。

　中２日と間隔が短く、前節勝ったことも踏まえると、基本的には鳥栖戦と同じ布陣となるだろう。左サイドバックの車智鎬が累積警告で出場停止となる最終ラインには、上村健一が戻って来るか、あるいは鳥栖戦で車が退いた後の矢野大輔、福王忠世、河端和哉、市村篤司という４枚になるか、本稿を書いている時点ではまだハッキリ分からない。しかしいずれにしても、横浜FCが以前に比べて前からボールを奪いにくるようになっており、これに対してセーフティに対応し、中盤でセカンドボールを拾って早く展開できるか、また、立ち上がりからどれだけ積極的に走って仕掛けられるかが、その後の流れを左右しそうだ。

　今シーズン、熊本はまだ連勝がないが、今節は初の連勝を飾る７度目のチャンス。相手はかつて熊本を準ホームとしていた、横浜フリューゲルスの流れを汲む横浜FC、そしておそらく過去最高となる観客が、KKウイングのスタンドを青ではなく赤で染める。舞台は整った。前を行く愛媛の背中も見えている。大観衆の前で気持ちよくプレーした前節と同じように、あとはピッチで人事を尽くすのみだ。

以上

2008.09.22 Reported by 井芹貴志