9月13日(土) 2008 J2リーグ戦 第35節
福岡 3 - 1 徳島 (19:04/レベスタ/8,831人)
得点者:7' 丹羽大輝(福岡)、43' ハーフナーマイク(福岡)、82' 久藤清一(福岡)、89' 大島康明(徳島)
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J1昇格に向けて崖っぷちに立たされている福岡は先発メンバーを一新。左SHに久永辰徳、ボランチに布部陽功、左SBに山形辰徳、CBには丹羽大輝と4つのポジションを入れ替えて試合に臨む。そして14試合連続で勝ち星から見放されている徳島も中盤の編成を変更。中盤の底にダ・シルバ、左SHに米田兼一郎、そして、トップ下の位置に倉貫一毅を置く4−1−3−2の布陣でゲームをスタートさせた。
「まず前半を0で終えるというテーマがあった」(布部陽功)。この日の福岡はリトリートした体制で徳島を迎え撃つ。攻めに転じる時も最終ラインには必ず3人を残し、守備のバランスを整えることを最優先に試合を進めていく。そして、移籍後初先発となった丹羽が最終ラインをコントロール。大きな声で指示を与えて守備組織をオーガナイズした。どちらかといえば、泥臭さを感じさせる守り方だったが、それも絶対に勝つという気持ちの表れだった。
そんな福岡の前に徳島は沈黙する。「スタジアムの雰囲気や、アビスパの勝ちたいという強い気持ちに対して、少し腰が引けたようなプレーが多かった」(美濃部直彦監督)。福岡の迫力に圧倒されたというよりも、負けられない福岡が前から出てくるはずという先入観に囚われて落ち着きを欠いた。マイボールも細かなミスを連発。ソウザ、アンドラジーニョの2人にボールが全くと言っていいほど届かない。福岡に対してプレスをかけることもままならなかった。
福岡に先制点が生まれたのは7分。右CKに、丹羽が難しい体制から頭を合わせてゴールネットを揺らす。我慢のサッカーを選択していた福岡にとってはチームを勇気づける先制ゴールだった。そして43分には、CKにハーフナー・マイクが高さを生かしたヘディングシュートを決めて追加点をゲット。リードを2点に広げて前半を折り返した。互いに流れの中からはチャンスを作ることができず、見どころも少なかったが、それでも、結果最優先の福岡にとっては悪くはない前半だった。
2点を追う徳島は、後半に入って米田をボランチの位置に下げ、ダ・シルバに代わってピッチに立った玉乃淳を左SHへ置く。そして、高い位置取りをする麦田和志をにボールを集めて反撃を試みる。すると、前半は踏ん張っていた福岡の守備に少しずつ綻びが生まれはじめた。麦田の突破に何度もサイドを崩され、FWへの縦パスを簡単に許してしまう。試合の流れは少しずつ徳島へと傾いていく。
しかし徳島の問題は、その流れを広げられないこと。押し込んでいるようで得点の匂いがしない。それでも福岡の守備陣の綻びに乗じて、15分、17分にアンドラジーニョが、そして30分、38分には石田が、それぞれ決定的と思われるシュートを放ったが、いずれもゴールには至らなかった。逆に福岡は82分、タレイのクリアボールを前線で受けた久藤清一がドリブルで中へ持ち込んで左足を一閃。ゴールネットを揺らしてゲームを決定づけた。徳島はロスタイムの1点で完封を免れるのが精いっぱいだった。
6試合ぶりの勝利を飾った福岡。この日のMVPには丹羽を挙げたい。徳島の拙攻に助けられた感も強いが、それでも、前半を我慢のサッカーで無失点に抑えたのは、彼のコーチングによる部分が大きい。「丹羽が入って落ち着きが出た」と久藤も話す。そして、もう1人がその久藤。3得点すべてに絡んだだけではなく、危険なエリアと空気を察知。随所でボールを奪って徳島にリズムを作らせなかった。まさにいぶし銀の働きだった。
その一方で、福岡は後半の守備に課題も残した。「まだバラバラになるシーンもあった。しっかりとオーガナイズして連動した守備ができるようになれば、もっと楽に勝てたと思う。質の高いプレーをされると危ないというシーンもあった」(布部陽功)。象徴されるのは終了間際の失点シーンだろう。ディテールにこだわる姿勢は見えつつあるが、勝ち続けるためには更なる改善が必要だ。
そして敗れた徳島。福岡に屈したという以前に、自分たちの良さを表現出来なければ勝利は遠い。また、前半の2失点はチームの課題のセットプレーから失ったもの。この日はゾーンで守ったが、それも効果は表れなかった。「とにかく勝たないといけない状況。本当にやるしかない。小さいミスをなくしたり、コミュニケーションをしっかりさせたり、やることをハッキリしないといけないなと感じた」(麦田)。次節の湘南戦にトンネルからの脱出を図る。
以上
2008.09.14 Reported by 中倉一志
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