9月14日(日)J2 第35節 山形 vs 広島(16:00KICK OFF/NDスタ)
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両チームの勝点差は16。この試合の結果がどちらに転んでも、その関係が大きく変わることはない。されど、シーズン終盤特有の激しい戦いになることは火を見るより明らかだ。第1クールは、がっちりとリトリートした山形の守備に手を焼きながらも、佐藤寿人がゴールをこじ開けて広島が1−0と勝利。第2クールも広島がストヤノフのフリーキックで先制するが、山形は前線からの激しいプレッシングが効果を上げ、長谷川悠の2ゴールで逆転に成功した。このカードの勝ち越しを懸けた今節。それぞれのクラブの思いを胸に、地元の期待を背に、プライドが激しい火花を散らす。
山形は7月に3連敗を喫したが、それ以降は負けなしの5勝2分け。絶好調ではないが安定して2位をキープしている原動力は、堅い守備にある。この7試合の総失点はわずかに3。この堅守こそ、残り10試合を乗り切るための大きな武器になる。一方、攻撃の内容は試合ごとに波がある状態だ。前々節の横浜FC戦では久々に大量4得点を挙げたが、前節・草津戦では8試合ぶりの無得点。甲府戦、横浜FC戦に続き、豊田陽平と長谷川悠のツインタワーを先発させたが、前線で起点がつくれないために中盤の押し上げがかなわず、得点のにおいが漂ってきたのは、後半のメンバー交代後のことだった。人数をかけて攻めてくる広島にはそれだけ隙が生じるが、ボールを奪ったあとにその隙を突き、どれだけ的確に攻撃を組み立てることができるか。勝点3にとどまらず、シーズンを最後まで走りきれるだけの手ごたえを、この試合でつかみたい。
広島は前節・岐阜戦で、J2では03年の川崎F以来となる1試合7得点を記録して3連勝。その間の得点は15。早ければ今月にも決まる「ゴール」をめざし、ラストスパートはすでに始まっている。
前節は18得点のエース佐藤寿人を代表招集で欠くなか、トップには高萩洋次郎を配した。高萩は佐藤ほど裏へ飛び出さない代わりに、森崎浩司、柏木陽介とのめまぐるしいポジションチェンジで序盤から積極的に仕掛ける姿勢を表現する。くさびを入れてからの攻撃は、初めのほうこそ精度のズレが散見されたが、ゲームを進めながら徐々に修正を図ると、オウンゴールで先制したあとの前半44分、柏木、高萩をポストにパス交換しながら守備網を突破した森崎浩司が2点目を奪った。後半は李漢宰の今季初ゴールや、青山敏弘の技ありロスタイム弾など5得点のゴールラッシュでビッグアーチを沸かせた。
前節の試合後、ペトロヴィッチ監督は、「大差の試合の後は、危険だ。素晴らしい試合であったことは確かだが、今後も地に足をつけた闘いを続けたい」とチームを引き締めた。前回逆転負けしたリベンジという意味合いが強い今節、広島が浮き足だってゲームに入ることはまずないだろう。相手を意気消沈させるのにもっとも効果的なのが、早い時間の先制点であることもわかっているはずだ。しかし、あまりにも簡単に先制することで気持ちが緩んだり、あるいはスコアレスの状態が長く続くことで焦りが生じたりと、90分間のあらゆる場面に落とし穴は隠されている。最大の敵は「ラクをして勝とう」という誘惑だ。李漢宰が出場停止となる中盤の構成にも注目したい。
その広島の攻撃力がJ1レベルであることは言を待たないが、山形の選手たちはそれを警戒こそすれ、怖れてはいない。北村知隆は「回されてイライラして崩れていくよりも、しっかりとはめてボールを取って、焦れずにやるだけ。ポゼッション率とか言いますけど、点を取ったほうが勝ちのゲームなので」と我慢の試合になることは織り込み済み。また、速いパスワークからくさびを入れてくる広島の攻撃に対しても、レオナルドは「相手に危険なボールが入る前に、その状況で誰が誰のマークをしているのかを明確にすることと、それぞれのポジション取りをしっかりするということが大切」と対策に抜かりはない。そこへ、さらに強い精神力の必要を説くのは、山形のファーストユニフォームに初めて袖をとおす馬場憂太だ。「草津戦のようなミスの多いプレーをしているようでは厳しい。自分が常に主導権を握って、強い気持ちでやらなければ相手につけ込まれてしまう」と、自信をもったプレーをチームメイトに要求している。
山形では、海保宣生理事長が今月2日にクラブのホームページ上で観客動員への協力を呼びかけたのに続き、11日にもメディア懇談会を開き、各メディアに協力を直接要請した。残るホームゲーム6試合で平均1万人の動員をめざすなど、チームの成績に呼応して、クラブもひとつずつステップアップを図っている。ぶっちぎって首位を走る広島は甲府に続く負け越しチームをこれ以上つくるわけにはいかず、ホームで10勝3分け2敗と圧倒的な勝率を誇る山形もその広島に真っ向から戦いを挑むことで、次のステージへ進める有資格者であることを証明したい。NDスタは今、激しいバトルの予感に満ちている。
以上
2008.09.13 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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