9月7日(日) 2008 ヤマザキナビスコカップ
G大阪 2 - 3 清水 (19:00/万博/9,103人)
得点者:3' 山本真希(清水)、11' ロニー(G大阪)、46' 枝村匠馬(清水)、55' 枝村匠馬(清水)、79' ルーカス(G大阪)
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完勝…、快勝…、劇勝……どんな言い方をしたら良いだろうか。いや、そういう言葉を使うのは、11月1日の決勝戦に勝ってからだろう。ただ、いかにG大阪が本調子でなかったとはいえ、この準決勝における清水の勝ち方は、今のチームにとって非常に収穫の多いものだったことは間違いない。
清水のスタメンは、内容の良かった水曜日のファーストレグとまったく同じ。「後ろに経験のある選手が控えていたので、若い選手がいけるところまでいってくれればと思っていた」と長谷川監督が試合後に語ったように、点を取って勝つしかないという状況のゲームで、入り方に迷いはなかった。
それに対して守備の要・山口智を欠くG大阪は、システムを3-5-2に変更してきたが、それも想定の範囲内。選手たちは特に戸惑いを見せることもなかった。ただし、立ち上がりはホームのガンバが攻めに出て、1分には右からロニーに危ないシュートを打たれるが、これはGK山本海人がよく反応していきなりのピンチをセーブし、チームに安定感をもたらす。
そして開始3分、ファーストレグでも自身のミドルシュートからゴールにつなげた山本真希が、中盤やや左の30m近い距離から思い切った右足ミドルシュート。すると、これが力強い弾道を描いてゴール右隅に決まり、清水が早くも先制点を奪うことに成功した。今度こそ自らの力で決めた山本真希にとっては、これがプロ入り初ゴール。いよいよ覚醒し始めた大器が、チームに大きなアドバンテージをもたらした。
しかし、その8分後(11分)には、DFラインにミスが出てロニーに裏に抜け出され、ループシュートを決められて同点。ミスからの失点は痛かったが、これで完全にイーブンな状況になり、すでにアウェイでも点は取れるという感触をつかんでいた清水の選手たちは、まったく慌てる様子を見せることなく自分たちのリズムを作っていく。
攻略法はファーストレグと同じ。ロングボールから矢島卓郎と岡崎慎司が裏(特に3バックの両サイド)に走り込んでDFラインを押し下げ、中盤の選手がセカンドボールを拾ったところから逆サイドに展開。スペースを有効利用しながら、G大阪の守備陣を揺さぶり、チャンスをうかがった。山口を欠くG大阪がDFラインを早めに下げたこともあって、清水が押し込んでボールを支配する時間が長くなり、これまでの万博でのゲームとは完全に立場が逆転していた。
だが、G大阪のほうも、ルーカスが下がってクサビのボールを受け、そこでしっかりキープすることによってカウンターの起点となり、ときおり鋭い速攻を見せる。ロニーも調子を上げてきて、二川の2列目から飛び出しもあったため、油断をすればいつやられてもおかしくない状況でもあった。清水としては、そこでルーカスの起点をなかなか封じられないことが、守備面ではこの試合で最大の課題となっていた。
またG大阪は、徐々に守備のバランスも立て直し、最終ラインも押し上げて、少しずつ展開を五分に引き戻ろうとしている状況。42分には、矢島のポストプレーからペナルティエリア手前で仕掛けた岡崎がシュートを放つが、これはわずかに左に外れて前半は1-1のまま終了。この時点では、流れはまだ完全に清水のものとは言えなかった。
後半はお互いに仕切り直しのスタートとなった中、またも早い時間に試合が動く。開始1分、矢島のポストプレーから岡崎がセカンドボールを拾い、左の山本真に展開。そこから山本真が裏にループパスを送り、絶妙のタイミングで飛び出した枝村匠馬が、GKとの1対1からじつに冷静に流し込み、勝ち越し点をゲット。これで延長戦の可能性は消えた。
さらに10分には、左からのサイドチェンジを山本真がうまくつないで、右サイドバックの市川大祐がフリーになる状況を作り出し、市川が縦に飛び出して冷静なグラウンダーの折り返し。これをまたも枝村がダイレクトでゴール左に流し込み、決定的な3点目を奪った。
これにより清水は、2点取られても決勝に進めるという状況になったが、その直後に4バックに戻したG大阪の攻撃にも冷静に対応し、主導権を維持したまま試合を進めていく。21分のセットプレーからのピンチも、青山直晃が身体を張ってシュートをブロックし、その他にはG大阪にチャンスらしいチャンスを与えない。23分に投入された原一樹と岡崎が前線でよくボールを追いかけたことも効いて、守備の組織に揺らぎは見せなかった。
さらに28分には、岡崎に代えて兵働昭弘を投入し、山本真の位置をひとつ下げてボランチを2枚にして、ルーカスが下がってクサビを受けるパターンにも対応を強化した。
しかし、34分にペナルティエリア手前の混戦からミスが出て、ルーカスに裏に飛び出されて1点を返されてしまう。これは誰もが「余計な失点」と反省したが、その後はG大阪の最後の攻勢にも冷静に対処し、4分のアディショナルタイムでも決定機は作らせないままついに180分の激闘が終了。清水が12年ぶりにナビスコカップ決勝への切符をつかんだ。
この準決勝の2試合、23歳以下の選手が6人という若いスタメンで臨んだ清水だが、攻撃面では今季最高レベルの内容を見せて、昨年の王者・G大阪を粉砕。
中でも活躍が光った枝村と山本真は、ジュニアユース時代から清水で一緒にプレーしてきた1つ違いの先輩・後輩。ユース時代には、彼ら2人のコンビで対戦相手を制圧するゲームが常に見られたが、「それがプロになってもできたのが良かった」と枝村が語ったように、ユースの頃から彼らに注目していたコアな清水サポーターには、余計にうれしい勝利だっただろう。
また、マルコス・パウロの働きも2試合を通じて本当に素晴らしく、児玉新が完全復活したことも今後に向けて大きな収穫。この自信と勢いを11月1日の決勝戦に、いやそれ以上に直後のリーグ戦につなげて欲しいというのが、サポーターの心からの願いだ。
以上
2008.09.08 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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