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【J2:第33節 福岡 vs 鳥栖】福岡レポート:心技体のすべてをぶつけ合った九州ダービーは2−2の痛み分け。福岡は守備のディテールの部分に課題を残す(08.08.31)

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8月30日(土) 2008 J2リーグ戦 第33節
福岡 2 - 2 鳥栖 (19:03/レベスタ/15,158人)
得点者:22' 船谷圭祐(鳥栖)、52' 城後寿(福岡)、65' 城後寿(福岡)、81' レオナルド(鳥栖)
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 九州ダービーにふさわしい白熱した試合だった。

 前半、すさまじいばかりの気迫で前からプレッシャーをかけた鳥栖。後半、一気に勝負を仕掛けて一時は逆転に成功した福岡。藤田祥史、金信泳の強さと、粘り強い守備をベースにした全員攻撃・全員守備は鳥栖らしさの象徴。中盤を支配してボールをポゼッションし、ビルドアップしてサイドから崩すのは福岡が目指すスタイルだった。鳥栖の2得点が、福岡のバイタルエリアとサイドに隙ができるところを狙って挙げたものならば、福岡の2得点は、中央を起点にした左右の大きな展開という得意とするパターンから奪ったものだった。

 福岡に限って言えば、采配面でも問題はなかった。鳥栖が立ち上がりから激しく来ることを見越して、運動量が減る後半に勝負を仕掛けて一気に得点を奪いに行ったゲームプラン。逆転直後に切り札・田中佑昌を投入し、相手の守備陣にさらにプレッシャーをかけたこと。終盤に福岡のゾーンが下がり始めたとみるや、すかさず久永辰徳を投入して前からボールを追わせて再びラインを上げさせたこと。理にかなった采配で狙い通りにゲームを進めた。

 いくつかのミスがあったとはいえ、お互いの力と狙いが存分に発揮された試合。両監督ともに勝てた試合と振り返ったのは、それだけ自分たちのサッカーができていたことの証でもある。

 だが、ピッチを引き上げる両チームに笑顔はなかった。九州ダービー、そして、J1昇格への扉を開けるための戦いは、勝つことだけが求められた大事な一戦。この試合に限っては、どんな内容の試合をしたとしても勝点3を取らなければ意味はなかった。鳥栖は消化試合がひとつ少ない湘南に抜かれて4位に後退。福岡は2位山形との勝点差が16、3位湘南との差は10に広がった。ともに勝点2を失った試合だった。

 思うような結果を得られなかったという事実は、ゲームの中にいくつかの問題を抱えていたことを示す。福岡にとっての最大の問題は、藤田・金の2人を全くと言っていいほど抑え切れなかったことにある。確かに、この日の鳥栖の2トップの気迫はすさまじく、おいそれと抑え込むことは難しかっただろう。しかし、それにしてもいいようにやられすぎた。体を当てて自由を奪うこともできず、右へ左へ振り回され、いたるところで攻撃の起点を作られた。鳥栖の攻撃は2トップにボールが入るところから始まる。いわば鳥栖の生命線。だからこそ、2人の動きを制限する必要があった。好き勝手にプレーされたことで、鳥栖の良さを引き出してしまったと言える。

 そして、守備のバランスの悪さはこの試合でも随所に顔を出した。たとえば2失点目のシーン。結果だけを見れば、レオナルドのクロスボールが布部陽功にあたってコースが変わるというアンラッキーなものだったが、1点リード、しかも残り時間が10分を切ったシーンで、楽にクロスボールを上げさせてしまったことにこそ福岡の問題点が隠されている。起点となったのは藤田のポストプレー。福岡はゴール前に十分に人数を揃えており、ここで制限することができなかったか。また、レオナルドはゴール中央を横切るよう右サイドまでドリブルで移動したが、このときの対応に問題はなかったか。追いかけていったのは布部1人だったが、数的優位を保ってサイドへ追い込めなかったか等々、事前に防げる方法はいくつもあった。

 それは1失点目にも言えることだ。先制点を許す前の16分にも同じような形から藤田に決定的なシュートを浴びたが、短時間のうちに同じことを繰り返してしまうことは問題と言わざるを得ない。また、船谷のシュートの場面では、DFラインを崩してつぶしに行く臨機応変なプレーも必要だった。そのほかにも、大きく目立つことはなかったが、ポジショニングやリスク管理のディテールについて、まだまだ甘さが見られる部分も多かった。攻撃の多様性、ビルドアップという点では鳥栖を上回っていたが、守備面では鳥栖に後れを取っていたことは否めない事実だろう。表立っては目立たないディテールの部分に、どこまでこだわりを持てるか。それが福岡にとっての最大の課題と言えるかもしれない。

 さて、それでも試合は続く。残り11試合で3位との勝点差10は、厳しいけれども追いつける可能性が残された数字。しかも、まだ何も決まってはいない。残された可能性を現実のものにするために、目の前の一戦の勝負にこだわる姿勢を貫いて戦わなければならない。「下を向く必要はないと、また選手たちには伝えました。諦める気持ちは全くない」。この篠田監督の言葉を実践すること。それが今のチームに最も求められていることだろう。次節の対戦相手は仙台(9/7@ユアスタ)。完全アウェイとなるユアテックスタジアム仙台で、それを実現してくれることを期待したい。

以上

2008.08.31 Reported by 中倉一志
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