3月8日(土) 2008 J2リーグ戦 第1節
湘南 1 - 0 仙台 (13:03/平塚/8,724人)
得点者:74' ジャーン(湘南)
----------
ポゼッションで上回っていたのは間違いなく仙台のほうだった。シュートの数も相手より多い。だが最後までゴールを割ることは叶わず、逆に数少ないチャンスを確実に決めた湘南が勝利を手にした。
前半、風上に立った仙台はシンプルに前線へ集め、セカンドボールを拾いながら次第に敵陣内でポゼッションを強めていく。対する湘南のブロックは堅い。とくに、ボールを奪って攻撃に転じてからのバランスは目を引いた。攻め込み、ボールを奪われても、うしろの枚数は揃っている。なおかつ坂本紘司と田村雄三のボランチが素早く締めるため、カウンターを容易には許さない。
守備意識の高さは仙台にも見受けられた。相手のカウンターに冷やりとさせられる場面はあったものの、総じて素早くスペースを消してくる。こと自分たちのサイドバックの裏のスペースに対する警戒は、両チームともに徹底されていた。
20分を過ぎ、関口訓充のミドルや梁勇基が柔らかいシュートを放ったあたりから、流れは仙台へと傾いていく。くわえて27分(仙台・千葉)、29分、31分(湘南・山口、石原)と立て続けにイエローカードが出された時間帯は、スタジアムが騒然となったことも手伝い、守勢に回るホームチームが集中力を試される重要なポイントだったといえるだろう。だが湘南は、そこでも中島裕希のミドルや岡山一成のヘッドを凌ぎ、前半終了間際の梁のシュートも防いだ。
後半に入ると、湘南はアジエルと石原直樹のホットラインから機先を制す。だがこれを封じられてからは、相手陣内でフリーキックを得た仙台がふたたび流れを引き寄せた。湘南は前半同様、斉藤俊秀を中心とする体を張った守備で耐える。
前半と併せ、仙台の支配率は高かった。だが裏を返せば、湘南は守るべきところを確実に防いでいた。「回されても慌てずに守ることができた」とは田村の述懐である。とくに後半に入ってから、仙台は永井篤志のシュートや中島の際どいミドルなどはあったものの、前半に比べフィニッシュまで至っていない。対して、しっかりとした守備を続けていればチャンスは必ずや訪れる。
73分だった。湘南DF山口貴弘がクロスをヘディングでクリアすると、アジエルが拾い、すかさず途中出場のリンコンへ預ける。さらに左サイドを駆け上がった大山俊輔へ瞬く間に繋いだ。前線で待つのは石原ひとりだ。大山は枠に狙いを定め、クロスを送った。このボールに石原は届かなかったが、湘南がこの日2本目のコーナーキックを得る。
試合開始のちょうど1時間前のことだ。大山はおもむろにコーナーフラッグの傍らまで歩を進め、しばしピッチを見つめていた。
「うちには高く、強い選手が多い。セットプレーで自分がしっかり蹴れば得点の可能性は広がる」
間もなく迎える一戦に向けて、湘南のプレイスキッカーは芝の具合を確かめながらイメージを膨らませていた。そのときは、よもや左右1本ずつしかコーナーキックの機会が訪れないとは思わなかっただろう。しかし、その2回目のチャンスに、信頼を寄せる仲間が応える。強さを発揮し、敵のマークをかわして右足を合わせたのはジャーンだった。待望の1点は、かくして生まれたのだった。
残り15分、追う展開となった仙台は攻勢を強める。だが築いたクロスの山は、ことごとく斉藤やGK金永基らによって阻まれた。終了間際の岡山のシュートも枠を越え、試合終了の笛を聴いた。
仙台はポゼッションで相手を上回り、シュートの数でも優った。前後半を通じてゴールを脅かす場面もつくっている。「課題は点を取ること」とチームの誰もが口にしたように、フィニッシュの精度を磨いていきたい。
一方、湘南は守るべき時間帯に守り抜き、数少ない得点機を確実にゴールへと結んだ。そこに示されていたのは、こうした勝ち方もできるという柔軟な対応力だった。昨季培ったサッカーから積み上げを志すチームにあって、終始バランスを崩すことなくゲームの流れを読んで掴んだ結果に、年輪を重ねたような印象を受ける。
もちろん湘南も仙台にしても、まだ1試合を終えたに過ぎない。収穫と課題を手に、挑戦の1週間がふたたび始まる。
以上
2008.03.09 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第1節 湘南 vs 仙台】レポート:最後まで堅陣を崩さなかった湘南が、老獪な試合運びで開幕戦勝利を挙げる。仙台は終始ゲームを支配するもゴールを割れず。(08.03.09)
- natsuyasumi2024
- jwc2024
- 国立20240914
- pari olympic2024
- bluelock2024
- THE国立DAY
- 2024 明治安田Jリーグ フライデーナイトJリーグ
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグ 2023-24
- はじめてのJリーグ
- 2024天皇杯
- seasonreview2023 Jリーグ1年の振り返り(別ウィンドウで開く)
- シーズン移行の検討
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2023 移籍情報
- 大会概要まとめ
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE