3月8日（土） 2008 J1リーグ戦 第1節
清水 1 - 2 大分　（15:04／日本平／19,054人）
得点者：7' ウェズレイ（大分）、47' 森重真人（大分）、77' 枝村匠馬（清水）

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　前半7分、中盤のこぼれ球を拾ったウェズレイが遠めから思い切りよく放ったボレーシュートは、強い順回転がかかり、まさに「キャプテン翼」のドライブシュートのように、ゴール左上に突き刺さった。GK西部にとっても為す術のない素晴らしいゴール。
　前半早い時間での先制点は、守備から入った大分としても期待以上の結果だが、「守備のバランスをとりたかった」としてボランチに本田をチョイスした長谷川監督にとっては、本当に痛い誤算だった。

　清水としても試合への入り方は決して悪くなかった。ただ、序盤でひとつ気になったのは、自陣内でのルーズボールでの競り合いで、屈強なウェズレイや高松らにボールを奪われてしまう場面が目立ったこと。失点シーンもそのパターンからだった。
　しかし、その後は、開幕デビューの本田も落ち着いて守備のバランスをとり、清水が主導権を握ったまま試合が進む。ボールポセッションでも清水が大きく上回り、前半は大分にほとんどチャンスを作らせず、ウェズレイのゴール以外ではシュートを1本しか打たせなかった。
　だが、大分の守備も、マーキングとカバーリングに破綻がなく、新加入のアウレリオをはじめとして清水の攻撃陣に自由を与えない。清水はパスをつないでボールをよく動かしたが、最終的にシュートにつながる形は、大分がなかなか作らせなかった。
　それでも清水は、16分にフェルナンジーニョのシュートがバーに当たり、前半ロスタイムにはアウレリオのスルーパスから藤本が良い形でシュートを放つ場面などを作ったが、フィニッシュに至る崩しの部分が物足りなかったのは否めない。
　大分の攻撃では、ウェズレイと高松のコンビによるキープ力の高さ、競り合いの強さは目立ったが、その後方からの押し上げが不足し、なかなかチャンスには至らない。前半は、どちらも攻撃の突破口を見出せないまま終わった。

　ホームの清水としては、後半は何とか反撃モードに持ち込みたかったが、いきなり出鼻をくじかれてしまう。後半2分の大分の右CK、鈴木が蹴ったボールにニアサイドの森重が頭で合わせて、大分が3本目のシュートで貴重な2点目を奪った。
　これでますます苦しくなった清水は、プレーのリズムも少し崩して、攻守ともにミスも目立ち始める。そこで長谷川監督は、17分に練習で好調な動きを見せていた岡崎（←アウレリオ）と枝村（←本田）の2人を一気に投入。これで攻撃はかなり活性化されたが、なかなかシュートまでいけない状況は変わらない。
　2-0のまま残り15分を切り、焦りが出始めた32分、左の児玉からのフィードを岡崎が落とし、枝村がダイレクトでミドルシュート。これが矢のような弾道でゴール右に突き刺さり、清水がようやく一矢報いた。
　この1点で日本平スタジアムも一気に活気づき、清水が押せ押せムードでさらに攻め込む。しかし、大分もタフな守りが衰えることはなく、全員が身体を張って清水にビッグチャンスを与えない。終盤は、清水がDFの青山を前線に上げてパワープレーに出たが、それも実らず2-1のままタイムアップを迎えた。

　大分にとっては、これがうれしい開幕戦初勝利。内容的には、自分たちがやりたいサッカーが十分にできたゲームではなかっただろうが、全員で守る集中力と粘り強さは見事だった。
　敗れた清水のほうは、ホームで迎えた開幕戦では、これがチーム史上初めての黒星。開幕戦ということもあって、チームがまだ本調子ではないのはある意味当然のこと。ウェズレイの1点目もしかたない失点だった。
　しかし、優勝を目指すチームには、そんな中でもホームでは最低でも引き分けに持ち込む底力が求められる。そうした勝負強さを見せられなかったことが、清水にとってはもっとも残念な部分と言えるだろう。とくに、セットプレーからの2点目は防げる失点だったし、取られてはいけないゴールだった。

以上

2008.03.08 Reported by 前島芳雄