3月9日（日）J1 第1節 柏 vs 磐田（14:00KICK OFF/柏）
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　いよいよ迎える2008シーズンの開幕戦で、柏は昨季と同じ対戦相手となる磐田と戦うこととなった。ホーム日立台での今季幕開けは因縁対決とも呼べる両者のぶつかり合いとなったが、磐田という言葉で柏が思い起こすのは、むしろ昨季最終節での惨敗劇だろう。

　フランサ、菅沼実の鮮烈な４発で始まった柏の2007シーズンは、勝ち点45という目標を達成した記録とともに、まだまだ未成熟な面が強調された一年でもあった。その締め括りとも言える最終節の一戦で、磐田相手に４発零封の幕引きを強いられた柏。チームに刻まれた忘れ得ぬ屈辱の記憶を拭い去るチャンスが、早くも訪れた。

　柏ではキャンプ中からのケガ人が徐々に復帰を果たすなか、急激な若手の成長で戦力の底上げが図られている。17歳で開幕デビューを窺うU-19日本代表FW大津祐樹や、同DF酒井宏樹など、次世代の戦士たちも登場。主将の大谷秀和を筆頭にした中核選手たちがこれに刺激を受けているのは間違いなく、ポポ、茂原岳人といった新戦力も、その実力でチームを活性化している。

　そして何より、李忠成、菅沼、小林祐三などの北京五輪世代は、充実の一年を迎えるべく誰よりもモチベーションは高いはずだ。熾烈なポジション争いに晒されるなか、彼ら1985年組の出来が今季の柏の行方を左右するといっても過言ではないだけに、特に先発が予想される李と菅沼にはこの開幕戦で波に乗ることを期待したい。

　一方、その敵役を演じる磐田といえば、柏のプレスの前に代名詞とも言えるパスワークがどこまで機能するかに注目が集まる。ケガ人が出ている前線は新戦力の力に頼ることになる模様だが、トップ下の西紀寛を中心に、サイドアタックを絡めた仕掛けがこの段階でどこまで整っているのか。柏にとっても同じことが言えるが、初戦で示される仕上がり具合は今季チームの指標となるだけに、両者の攻撃におけるスムーズさは注視すべき点となる。

　また、コンディション不良で出場が微妙とされるものの、今季磐田の目玉選手となる駒野友一の動向も気になるところ。日本屈指のサイドの職人は、途中出場からでも仕事を果たせる経験値を備えるだけに、柏にとってはマークせざるを得ない相手となる。経験という意味では、今季から３年ぶりに愛する古巣に復帰を果たした“16番”名波浩の存在も、柏にとっては不気味なモノとなりそうだ。

　柏のフランサ、磐田の前田遼一と、絶対的なエースを欠いて開幕を迎えることとなった両者だが、そこで試されるのはチームの真価。彼らが合流したときに加速するためにも、この試合は負けるわけにはいかない。最重要とも言える一戦で、両チームは死力を尽くして勝利を目指すことだろう。

　今季を占う開幕戦。新シーズンの始まりを待ちに待ったサポーターたちで埋め尽くされるスタジアムに充満する熱狂は、なんとも独特のものとなるはず。再び始まる週末の日常空間に身を委ね、歓喜と絶望の狭間をたゆたう季節が到来した。日立台という極上の舞台で踊る選手たちのプレーを、心の底から楽しんで欲しい。

以上

2008.03.08 Reported by 平松順二（ISM）