3月9日（日）J2 第1節 甲府 vs 岐阜（14:00KICK OFF/小瀬）
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甲府スタイルの進化は安間貴義監督に引き継がれた。J2降格を好機に変えて1/4の課題を解決に向かわせることが出来れば、J2降格は「悪いことではなかった」と振り返ることが出来る日がやってくる。そのためには最低でも開幕戦から進歩の一端は発揮しなければならない。この進歩とはまずはシュート数を増やすということ。ゴールを決めることが目的だが、そのためにはシュート機会を増やすしかない。そのトレーニングはJステップでの1次キャンプ、宮崎での2次キャンプで行ってきた。ただ、3月1日のTM（対千葉）ではそれが容易ではない現実を見せ付けられた。しかし、こんなことでは揺るがない。信念を持って前進しようとするときに一喜一憂しないのも甲府スタイル。課題を補強で手っ取り早く解決できるビッグクラブでもない。与えられた環境で強いクラブに立ち向かうことが矜持なのだ。

とはいっても00年に比べれば運営規模も大きくなり、経営も徐々に安定してきた甲府はJ2リーグの世界では運営規模上位の一角を占めるまでになった。今節対戦する岐阜から見れば恵まれた経営状態だ。しかし、経営規模だけで勝敗はつかない。かつての甲府はその逆をやってJ1に昇格し、2年間戦った。今年の甲府は主導権を取れる試合も時間も増えるが、そのなかでも心に緩みを作らず、G大阪や浦和と戦っているように90分間立ち向かう姿勢で戦い続けなければならない。6日（木曜）の浜松大とのTMでは前半に主力で臨んだものの0−0で引き分けた。心のどこかに緩みがあればこういうことになってしまう。相手のストライカーのレベルが高かったり、その日の星占いがよければゴールを決められてしまう。どんなレベルの相手でも甲府らしさを発揮することも課題だ。それが出来ないのであれば、勝った試合でもプレッシャーを選手とチームに与えなければならないだろう。今年の甲府には結果と内容を等しく求めたい。

今年からJ2リーグに昇格した岐阜は4シーズン前に甲府で指揮を取っていた松永英機氏が監督。左サイドバックでレギュラーを掴んだ奈須伸也も甲府から移籍したばかりで、甲府のやり方は熟知している。ただ、開幕戦から甲府対策をガッツリおこなって来るとは思えない。開幕戦は自分たちのスタイルでぶつかってくるだろう。そのスタイルとはサイドで数的優位を作って活路を見出すやり方。システムは４−４−２のボックスの中盤で、対戦相手に合わせて選手の特性を活かした起用を行う。清水で活躍した吉田康弘、FC東京を支えた小峯隆幸、名古屋のストライカーだった森山泰行というベテランを除けば馴染みのある名前は少ないが、今節は左サイドバックの奈須と杉山新のマッチアップを楽しみたい。

甲府はCBにケガ人が多く、キャプテンの秋本倫孝、レギュラーに近づいた御厨は開幕には間に合わない。宮崎キャンプの後半からCBに入っている山本英臣と池端陽介のコンビが実践で試される点が見所。攻撃面では羽地登志晃、前田雅文、石原克哉の3トップがどれだけシュートの数を増やすことが出来るかだろう。そして、7日にはベンチ入り券争奪TMがJステップ（対ルチェネルギア・ロシア）で行われたが、誰がそのチケットを手にしたのかにも興味がある。浜松大とのTM後半にゴールを挙げた木村勝太や久野純弥が必死さでチームに刺激を与えてくれることが期待できる。

J2リーグ新加入の岐阜にとって、J2リーグに昇格することよりも、Jリーグという舞台に立ち続けることの方が険しい道のりになるかもしれない。かつては甲府も消滅の危機に直面しただけにその難しさは想像できる。残念ながらこの試合に勝つのは甲府だが、岐阜にJリーグがある幸せの第一歩を岐阜サポーターが享受できるような戦いを見せて欲しい。

以上

2008.03.08 Reported by 松尾潤