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【第87回天皇杯4回戦 鹿島 vs 水戸】レポート:「ミトナチオ」に苦しみながら田代、小笠原が得点を挙げ勝利。天皇杯制覇へ好スタートを切った鹿島(07.11.04)

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11月4日(日) 第87回天皇杯4回戦
鹿島 2 - 0 水戸 (13:04/カシマ/7,005人)
得点者:21' 田代 有三(鹿島)、65' 小笠原満男(鹿島)

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「あれだけ引いてくるサッカーは久しぶりに見た」と小笠原満男が不満そうに言えば、本山雅志も「相手は8枚くらい自陣にいてやりづらかった。こっちが辛抱できずにタテに入れて取られるのも多かった」と顔をしかめていた。選手たちの重苦しい表情が物語っていたように、この日の鹿島アントラーズの試合内容は決してよくなかった。実質的な5バックでのぞんできた水戸ホーリーホックの守備的戦術に苦戦し、一時は主導権も握られた。だが、そんな中でも勝ち切れるのが、今の鹿島である。田代有三と小笠原が前後半に1点ずつ奪い、確実に5回戦へとコマを進めた。オズワルドオリヴェイラ監督も「勝てたこと、次のステップに進めたことは評価すべきだ」と天皇杯制覇への手ごたえをのぞかせた。

 いよいよJ1勢が登場する11月4日の天皇杯4回戦。2000年シーズン以来のタイトル奪回を目指す鹿島は、本拠地・カシマスタジアムにJ2・水戸を迎えた。両者は今年2月のプレシーズンマッチで対戦し、鹿島が4−0で水戸を下しているが、今回は真剣勝負。両者ともに意気込みが違った。

 この天皇杯で悲願の10冠達成を目論む鹿島・オズワルドオリヴェイラ監督は、必勝を期して、現状でのベストメンバーを起用してきた。先週末の大分トリニータ戦で2得点した田代ももちろん先発だ。一方の水戸は4−4−2の布陣が予想されたが、フタと開けてみると3−5−2。「ウチがかなり押されると思ってシステムを変えた」と前田秀樹監督は割り切ってのぞんだ。

 自陣に8〜9人の選手を置いてゴール前を固め、カウンターで1点を狙った水戸。今季はボールポゼッションを主体とした攻撃サッカーを標榜していたが、やはり今回は鹿島が相手。昨季までの「ミトナチオ」をベースとしたサッカーに戻さざるを得なかったようだ。だが、この戦術は機能し、立ち上がりはほぼ互角の展開に持ち込んだ。水戸の意思統一された守備、運動量、球際の強さには、J1トップレベルの実力を持つ鹿島を十分に嫌がらせた。「あのまま先制点が入らなければどうなっていたか分からない」と田代も危惧したほどだ。

 そんな苦境を打ち破ったのが前半21分だった。本山からの小気味いいスルーパスを受けた新井場徹がドリブルで突進。ペナルティエリアをえぐって中央に折り返した。そこで待ち構えていたのが田代。普段の彼には「強烈なヘッド」という印象があるが、この時は目の前にいるDFの位置を考え、少し下がりながら右に流すシュートを選択したという。そんな状況判断の鋭さが成長の証だろう。

 1点を奪い、畳み掛けたかった鹿島。しかしボール回しのミスを突かれ、水戸に何度かカウンターを食らった。29分には右サイドを上がった金澤大将のクロスに小椋祥平が飛び込んで決定的なヘディングシュートを放つなど、あと一歩で同点に追いつけそうだった。

 後半立ち上がりも水戸ペース。オズワルドオリヴェイラ監督がハーフタイムに「サイドチェンジを有効に使い、数的優位を作って攻撃しよう」と指示したにもかかわらず、意図する展開に持ち込めなかった。「追加点を取るまでに時間がかかってしまって、ズルズル行ってしまいそうになった」と田代も反省していた。水戸にしてみれば、FW西野晃平の体を張った競り合いや小椋の飛び出しで何とか1点を奪いたかったところだろう。

 それでも鹿島守備陣は集中力を切らさず、格下の相手に失点を許さなかった。そして後半20分、ついにゲームを決める追加点が生まれる。マルキーニョスが中盤から出したボールに反応した新井場が、1点目と全く同じようにゴール前をドリブルでえぐり、中央に折り返したのだ。田代の1点目の時はニアサイドだったが、このボールはファーサイドへ。次の瞬間、飛び込んだ小笠原が右足を合わせる。「相手が真ん中を固めていたからサイドから崩そうと思った」と話す大黒柱のゴールで、鹿島は2−0とリードを広げた。

 この後もマルキーニョスの強引なシュートがポストに当たったり、マルキーニョスと代わった興梠慎三の5〜6人抜きからのシュートがサイドネットに飛んだりと、鹿島には追加点のチャンスが続く。これを決めきれなかったことは悔やまれる。選手たちにも不完全燃焼感は残ったが、最低ノルマの勝利を確保。12月8日の5回戦へコマを進めた。

 この日の戦いを見ると、ディフェンスラインの裏にスペースができたり、リズムを失う時間帯があるなど、鹿島にはまだまだ修正点がある。それでも勝利を重ねることで、チームは確かに自信をつけてきた。「残り8試合(J1残り4試合と天皇杯決勝までの4試合)でチームを再びいい状態に戻せる」とオズワルドオリヴェイラ監督も前向きに語っている。彼らのシーズン終盤戦がますます楽しみになってきた。

 水戸はプレシーズンマッチで0−4で鹿島に敗れた時とは別のチームのように前進している。単なる守備的なサッカーではなく、ポゼッションしながらの組み立てもできるようになってきた。この日は鹿島のベストメンバー相手でも西野や小椋、金澤らが奮闘。彼らのパフォーマンスは決して見劣りしなかった。彼らにはJ2残り4試合で最下位脱出という大きなテーマがある。今回の大善戦がそのきっかけになりそうな予感がする。

以上
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