10月28日(日) 2007 J2リーグ戦 第48節
山形 0 - 1 湘南 (13:04/NDスタ/3,262人)
得点者:60' エドワルドマルケス(湘南)
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「たとえ何が起ころうとも、俺たちは君のそばにいる!!」
これがアウェイ湘南側のゴール裏に掲げられた横断幕の文言であることを考えれば、「何が起ころうとも」の真意は容易に察しがつく。前日、雨のユアスタで福岡がJ1昇格の可能性を断たれたことで、生き残った6チームのうち、シーズンの勝者と敗者を分けるボーダーラインのもっとも近くに湘南が立つことになった。結果次第では、そのボーダーラインに飲み込まれる瞬間に立ち会うことになるかもしれなかったが、サドンデス状態で戦うチームにとって、これほど心強いメッセージはない。
一方、試合後の監督記者会見。湘南・菅野監督は、「我々クラブ、チーム、サポーターたちも、可能性のある限り戦い続けようと、気持ちをひとつに戦っている。勝利を信じてくれたサポーターに勝利を見せることができてよかった」と話した。4−4−2同士、「守高攻低」の拮抗した戦いとなったが、厳しい現実を受け入れたうえで目的に果敢にチャレンジした湘南が最後まで一体感を失わず、1−0と山形を退けた。
ハーフタイム、山形・樋口監督は「五分五分のゲーム」と前半を評しているが、キックオフから15分ほどは、山形が攻守で湘南を上回る時間帯だった。速いパスワークで攻める湘南に対し、ボールの行き先すべて遅れることなくプレスを連動。
9分のカウンターでは、中央で坂本のドリブルを、最後には石原に枠内へ飛ぶシュートを許す場面もあったが、ラストパスを出す隙を与えない集中した守備で攻撃を見事に食い止めていた。
また、相手SBの裏のスペースを突いた北村からマイナスのパスを受けた佐々木が、インステップでしっかりとミートしたミドルシュートを放ったり、園田のパスをスルーさせ左サイドで受けた石川がそのままペナルティーエリア内まで持ち込むなど、攻撃でも連動性を見せていた。
しかし、時間とともにパスミスが目立つようになる。特に、ターゲットにしていた豊田が湘南DF陣の術中にはまっていた。空中戦で勝ちきれず、ようやく頭に当てたボールに反応するのは、セットされた湘南守備網に単独で飛び込む北村のみ。その足元に収まることはなく、縦に蹴りだしたロングボールのほとんどが湘南ボールとなった。41分には佐々木のクロスから北村がニアに飛び込み、44分には本橋からのクロスをやはり北村がシュートまで持ち込むなど、前半終了間際に惜しいシーンを2度つくるが、ゴールマウスにねじ込むだけの確かな力が発揮されることはなかった。
最近5試合で先制を許している湘南と、同じく6試合の山形。しかも、それが早い時間帯であることが多いだけに、前半の0−0は両チームにとって決して悪いものではなかった。が、あまりにも決定機に乏しいまま膠着していたため、勝ち点3を得るためには、さらなる仕掛けが必要なことも事実だった。
後半1分、いきなり魅せたのは山形の佐々木。右サイドで2人の間をスピードで抜き去ると、その勢いでクロスまで持ち込んだ。その後も北村が裏を突く動きを何度か見せるが、湘南は落ち着いたラインさばきでオフサイドにかける。さらに後半8分、9分と尾亦が立て続けにゴールライン近くまで進入しクロスを上げると、流れは湘南に傾いていく。後半13分には、アジエルとワンツーのエドワルド マルケスから石原へ、戻したボールは加藤がミドルシュート。直後の後半14分には、石原のサイドチェンジを受けた加藤の左クロスから、ゴール前でヘディングシュートを見舞ったのは、長い距離を走りマークをすり抜けたジャーンだった。GK清水が弾いてゴールラインに逃れた直後の右CK。ファーサイドの空中戦でこぼれたボールをアジエルが拾い、密集の外側でプレッシャーを受けずにいる山口に預けると、山口はダイレクトで再び中へ。アジエルのパスと同時に外へ膨張を始めていた山形守備陣の隙を縫うように、ボールはゴール間近で待つエドワルド マルケスの足元にピタリ。均衡を破る先制点は迷わず振り抜いた左足から生まれた。
理想的な形で試合に入りながら、またも追う展開となった山形。しかし、ここからしばらくは3人目が動き出さず、受けたあとにパスの行き先を探すプレーが連続する。連動性のない攻撃では、組織された湘南の守備を崩すことはさらに難しい。ようやくエンジンが温まってきたのは、佐々木のクロスにファーサイドの豊田が頭から飛び込んだ後半24分。飛びだしがわずかに遅れたため、これはサイドネットを揺らすにとどまった。このあとも佐藤健太郎や坂井将吾など若手の投入と3トップへのシステム変更で攻撃は活性化するが、フィニッシュ周辺のプレーに精度を欠くここ最近の傾向は、試合終了のホイッスルまで続いた。
3試合連続無得点で4連敗、7試合勝利なしとなった山形。大量に主力を欠くなか、危機感も勝利への執念もここ数試合に比べれば感じられたものの、またしても結果が伴わなかった。この結果が山形に突きつけているものは何か? ファイトすることをやめてしまったら、その答えは謎のまま、07年シーズンの消えない記憶として刻まれることになる。試合はリーグ戦3試合と天皇杯のみとなったが、答えを出す機会はまだ残されている。
湘南は今節の勝利で、3位との勝ち点差10から8に詰め寄った。綱渡り状態から脱したわけではないが、昇格レースの緊張感は何物にも代え難い特権。残る試合をすべて勝つことで、最終節まで、いやJ1・J2入れ替え戦まで楽しめる可能性も残されている。「1試合のなかでもあきらめない、1シーズンのなかでもあきらめないということを選手とともにやっていきたい」(菅野監督)。湘南の挑戦は、奇跡を起こすまで続く。
以上
2007.10.29 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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