10月10日(水)J2 第44節 福岡 vs 京都(19:00KICK OFF/博多球)
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時には出口が見えなくなったように思えた時もあった。どこへ向かって進んでいるのかさえ曖昧になったこともあった。しかし、どんな時もトンネルの先に灯る明かりから目をそらさずに進んできた。残る試合は8。ゴールへ続く道は険しく遠いが、その道が続いていることを信じて足を進める。どの試合も大一番。1戦必勝の思いを胸にすべてをかけて目の前の試合を戦う。そして迎える相手は京都。福岡は聖地・博多の森で、チーム、サポーターが一丸となって勝利を目指す。
最後の戦いに向けて、福岡は2つのことに取り組んでいる。ひとつは自分たちの特徴である前からボールを追うスタイルを徹底すること。そしてもうひとつは、中盤からのチャレンジ&カバーの意識を徹底させること。リーグ戦と同様のメンバーで臨んだ天皇杯3回戦では、布部陽功を中心に声を掛け合いながら互いの距離感を確認し、そして前線からボールを追いかけるスタイルを追求した。すべてに満足がいったわけではない。しかし、手にした勝利は確実に選手たちの自信へとつながっている。
一方、リーグ戦の先発メンバーを総入れ替えして天皇杯に臨んだのは京都。リーグ戦にすべてをかけるために敢えて中10日でリーグ戦を戦う道を選んだ。倉貫一毅を中盤の真ん中で使う布陣は攻撃的なスタイルをさらに強めることになったが、前節の湘南戦で機能したのは60分まで。終盤に2点を失ってのドローという結果に「非常にショックな結果」と指揮官はうなだれた。このショックを払拭しない限りJ1昇格のゴールは見えない。そのために必要なものは勝点3。休養は十分。満を持して博多の森に乗り込む。
ここまでの対戦成績は京都の3勝。特に、第2、3クールの対戦は互いの関係を如実に表したものだった。立ち上がりは福岡が京都を圧倒する流れ。中盤から終盤にかけては京都の圧倒的なペース。そして、福岡は2試合とも逆転負けを喫した。攻撃力は五分と五分。しかし、守備に連帯感を欠く福岡が自滅する形で勝点を失っている。仲間に対するカバーと、スペースに対するカバーの意識が薄い守備は、個の強さを持つ外国籍選手を止めることがかなわず、対京都戦10失点のうち、実に9失点を外国籍選手に奪われている。福岡がどこまで守備を整理できるかが試合の鍵を握っている。
最大の注目点が、福岡のアレックスとリンコン、京都のパウリーニョとアンドレと、ともにチーム総得点の半分近くを挙げている外国籍選手にあることはだれも異論はないだろう。しかし、彼らが実力をフルに発揮できるのは日本人選手の活躍があってこそ。そういう意味では、福岡の右サイドでの攻防に注目したい。スピードあふれる田中佑昌と、斉藤大介、中谷勇介が構えるサイドは互いのストロングポイント。どちらが主導権を握るかで試合の流れが大きく変わる。
そして、布部と倉貫のマッチアップも見どころのひとつだろう。前線へのスルーパスの供給はもちろん、2列目からの飛び出しにも鋭さを見せる倉貫が自由にプレーすれば、京都の破壊力はさらなる力を発揮する。一方、福岡がボールをポゼッションし、人もボールも動くサッカーを披露するには布部の展開力が不可欠。この2人の主導権争いも、ゲームを左右する大きなポイントになるだろう。
勝ち続けないことには何も始まらない福岡。福岡に勝点で7の差をつけているとはいえ、勝点を落とすことはJ1昇格のサバイバルレースに後れをとることになる京都。そんな両チームの戦いが互いの特長を前面に出した攻め合いになることは必至。どちらかが一方的にゲームを制することなどあり得ず、ゴール前の攻防が多いゲームになるはずた。気力、技術、体力が高いレベルでぶつかり合う好ゲーム。はたして勝利を手にするのはどちらか。見逃すわけにはいかない。
以上
2007.10.09 Reported by 中倉一志
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