10月10日（水）J2 第44節 草津 vs 水戸（19:00KICK OFF/群馬陸）
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　アローズ北陸にＰＫ戦の末で勝利した草津と、ツエーゲン金沢に１対０で辛勝した水戸。７日に開催された天皇杯３回戦でかろうじて４回戦にコマを進めた両軍だが、その余韻に浸るまでもなく、また疲労を回復させる時間もないまま、中２日でリーグ戦はやってくる。極限を超えた状態で行われる「北関東ダービー」の最終ラウンドは、両者の意地とプライドを懸けた「激闘」の予感が漂う。

　「激闘」という言葉を使ったのは、そんな試合が見てみたいという期待も込めている。今季のＪ２には「みちのくダービー」、「九州ダービー」、「四国ダービー」、「北関東ダービー」の４つのダービーがあるが、他３カ所と比較して、盛り上がりに欠けるのが「北関東ダービー」だ。交通機関などの関係で簡単に行き来できないという地理的な問題もあるのだが、一番の要因はこれまでの試合内容にある。

　互いに負けられないという気持ちが強すぎるのか、内容的に停滞するゲームが多いのだ。今季の第２戦、第３戦はまさにその典型的な試合だった。プレー精度など技術による部分も大きいが、それ以前に闘志を前面に出して戦うことがダービーには求められているのではないか。サッカーの世界において「ダービー」は特別な試合だ。今節はダービーという看板に恥じないゲーム、サポーターを熱狂させるゲームを魅せてほしい。

　今季の同カードは草津の２勝１分。草津はシーズン３勝目を挙げて、力の差をみせつけたいところだがチーム状態は下降気味だ。８月24日のアウェイ愛媛で白星を挙げて以来、４分２敗で６試合勝利なし。勝ちゲームをことごとく引き分けにしたことで、勢いに乗るチャンスを逸した。今節はカレカが出場停止となることから、ブラジル人選手抜きの「純和風メンバー」で水戸を迎え撃つことになる。厳しい戦いが予想されるが、今季の選手の成長を図る意味では格好のゲームだ。

　草津の問題は、選手のコンデションだ。天皇杯３回戦で前半39分に松下が退場、数的不利の状態で延長戦終了まで戦い抜いた。ベテランをチームの中心にすえている草津にとっては、大きなハンデとなる。今季の草津はメンバーを固定して戦っているため、控え選手の底上げがなく、ベテランに代わって試合に出られる選手がいないのが現状。ベテランに頼らざるを得ない状況ではあるが、こだわり過ぎると結果に影響を及ぼす可能性もある。草津は試合が終盤までもつれる前に、ゲームを決めておきたい。

　一方の水戸だが８月30日の札幌戦で勝利を挙げてから６連敗中。ここ数試合のチーム状態は悪いわけではないが、勝負所で耐えられないゲームが続いている。天皇杯３回戦後に前田監督が「頑張る選手はいるが、ゲームを落ち着かせる選手がいない」とコメントしていたが、逆に草津は、ゲームを落ち着かせる選手はいるが頑張る選手が少ない状態。今節、どちらのチームが勝つことになるのか、非常に興味深い。

「ダービー」の条件として、最後に付け加えたいのは、順位・チーム状態に関係なく、クラブの勝利のために闘うこと。11位草津と最下位水戸との戦いになるが、選手はサポーターのために闘う義務がある。今季最後の「北関東ダービー」における草津のミッションは、水戸を完膚なきまでに叩き潰すことだけだ。

以上

2007.10.09 Reported by 伊藤寿学