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【第87回天皇杯3回戦 山形 vs 鹿屋体育大学】レポート:先制点・追加点・ダメ押し点。理想的にゲームを運んだ山形が力の差を示し、鹿屋体育大学に快勝!(07.10.07)

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10月7日(日) 第87回天皇杯3回戦
山形 3 - 0 鹿屋体育大学 (13:00/NDスタ/1,924人)
得点者:3' 根本 亮助(山形)、17' 根本 亮助(山形)、76' 本橋 卓巳(山形)

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 それがただの横パスであったなら、立ち上がりわずか3分の先制ゴールは生まれなかったかもしれない。

 右サイドで前を向き、ワンツーをもらってペナルティーエリアに突っ込んで行くぞという迫力があったからこそ、鹿屋体育大の選手たちの視線はその選手・秋葉に引きつけられた。ボックスの内側までラインを一気に押し下げられた鹿屋体大は人数こそ足りていたが、「抜かれると思って全体がニアに寄ってしまい、中でボールウォッチャーになってしまった」(鹿屋体大・DF吉良)。中央でフリーになった根本が、ボックスのわずかに外から右足で合わせたボールは、ゴールマウスに真っ直ぐに飛んでいった。大学NO.1の流通経済大、JFLガイナーレ鳥取を破ってきた鹿屋体大は、その最大の武器でもある、5バックでゴール前にスペースを与えない守備をこの3回戦でもぶつけてきたが、いきなりの失点でゲームプランを崩されることになった。

 このあと、先制した山形が圧倒的にボールを支配する。サイドからのクロスは、思いきり体を詰めてくる相手にブロックされたものの、押し込む勢い自体は衰えなかった。17分の左CKではショートコーナーから、ここでもマークを引き剥がした根本がドンピシャのヘディングを決め、追加点を挙げた。リードを広げた山形は、左SH宮沢が対面するSB杉本の前に積極的に飛び込み、ボランチ秋葉は長い距離をダイアゴナルに走り裏のスペースへフィードを引き出した。そうした下ごしらえでラインを押し下げると、左SB石川が相手ボランチの両脇、ハーフウェイラインを越えたゾーンで何度も起点をつくる。さらに右サイドでは、リーグ戦6月2日以来の先発出場となる佐々木の仕掛けが効果的に繰り出された。28分に横山からの落としをシュートに換え、38分には結果的にオフサイドになったものの、石川からの大きなサイドチェンジをワンタッチでコントロールし、根本へのスルーパスにするなど、持ち味を存分に発揮していた。

 防戦一方となった鹿屋体大も、縦に伸びるパスがFW比嘉に収まったときには山形をひやりとさせた。27分、縦のロングボールに競り勝つとその後ろから走り込むMF赤嶺のミドルシュートを引き出し、32分には左サイドでDFレオナルドをかわして抜けだし、ペナルティエリアまで入り込んだ。しかし、前半のシュート数はその赤嶺が放ったわずか1本。先発予定のFW有田が試合直前のウォーミングアップで右足首を捻挫し、急遽FW中筋を投入するというアクシデントに見舞われたことも響いた。また、守備では前半途中からスイーパーの木村がDFラインの前に出て、3枚では埋めきれなかったバイタルエリアをカバーするとともに、佐々木の突破に対しては左SB與那嶺偉とともに囲い込みに参加するなど、柔軟に修正を図っている。

 ハーフタイム、山形は宮沢をFW北村に、鹿屋体大はDF片山をMF中根にそれぞれ代えるが、より大きな変化を求めたのは2点ビハインドの鹿屋体大。システムを5−3−2から4−4−2に変更。前半には、ゾーンにボールが入るのを待って守備をスタートさせていたが、ここからは前線からの追い出しも始まった。ここまで周囲を気にすることなくプレーしていた山形の右SB鷲田が、前半には体験しなかったプレスにやや慌てる場面もあったが、そこは今季J2リーグで4−4−2同士の対戦を数多くこなしてきた山形。前半ほどサイドにボールを預ける回数は減ったが、間延びした鹿屋体大のラインのなかにスペースを見つけ、そこを突くことは難しいことではなかった。

 山形の勝利を決定的にしたダメ押し点は、後半31分に生まれた。佐々木が自陣中段、右タッチライン際からロングボールを蹴り込むと、鹿屋体大のCB2人はオフサイドトラップを狙いわずかにラインを上げる。しかし、2人の間で浮いていた北村はその網にかかることなく裏へ抜け出すと、胸トラップは足元に落ちずに弾んでしまったが、いい距離でサポートに入っていた本橋がそれを引き取り、左足を豪快に振るボレーシュートをゴールネットに突き刺した。

 鹿屋体大も、得点を匂わせるプレーを後半に残さなかったわけではない。後半2分には右CKからのクリアを再び拾った木村がほぼノープレッシャーの状態からシュートを放っているし、13分にはオフサイドとなったものの、中央の赤嶺から中筋に際どいスルーパスが出され、15分には比嘉が中で引きつけて右サイドの中根へ展開。山形の選手がボールに出ていくタイミングを失ったなか、45度の強烈なミドルシュートがGK遠藤の手をかすめてクロスバーを直撃している。しかし、ほかの時間帯では、鹿屋体大の攻撃を山形の守備が凌駕する。単調なロングボールは巧妙にラインコントロールする山形DFラインに跳ね返され、あるいは吸収され、2トップがそこからチェイスを始めるものの、山形がGKも使い余裕をもって回すボールをただただ追いかけるしかなかった。

 リーグ戦も含めた3連戦最初の試合、ほぼふだんどおりの戦力で臨んだ山形が力の差を見せつけ、4回戦でJ1に挑戦する権利を手中にした。中2日で仙台とのダービーマッチを控えたなか、疲労が残る心配がまったくないわけではないが、一方で、財前を1.5列目に置く4−4−1−1という未知のシステムを試したことや、清水の陰で地道なトレーニングを積んできたGK遠藤の公式戦起用など、今後のリーグ戦を睨んだ布石も打っている。90分のシュート数として8本が多いとは言えないが、早い時間の先制がどれほど精神的な余裕をもたらすのかも、改めて認識できたことだろう。この勝利を、次の勝利へ。プラスのスパイラルは始まっている。

以上

2007.10.07 Reported by 佐藤円
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