10月7日（日） 第87回天皇杯3回戦
湘南 3 - 0 V・ファーレン長崎　（13:00／平塚／1,591人）
得点者：28' 原　竜太（湘南）、78' 石原　直樹（湘南）、89' 石原　直樹（湘南）

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V・ファーレン長崎は善戦も無得点。先制した湘南が後半にも加点し、4回戦進出を決める。

　秋めく空気は鋭いが、長袖で動けばじわりと汗ばんでくる。そんな穏やかな10月の晴天に包まれた平塚で、天皇杯第3回戦は行なわれた。試合は、前半に先制し後半にも追加点を挙げた湘南が3−0でV・ファーレン長崎を退けた。

「天皇杯という歴史ある大会を尊重しつつ、リーグ戦との兼ね合いも考えて選んだ」と指揮官が語った湘南のスタメンは、レギュラーシーズンのそれに若干手が加えられていた。2トップには原竜太と永里源気、右サイドハーフに鈴木将太、左には鈴木伸貴が入った。ボランチの坂本紘司の相方に選ばれたのは、公式戦初出場となる林慧だ。DFは右から山口貴弘、田村雄三、斉藤俊秀、尾亦弘友希、GK金永基という陣容である。

　対する長崎は3−5−2の布陣で対峙する。2トップに有光亮太と岩本昌樹、トップ下に佐野裕哉が入り、右に石川高大、左に竹村栄哉、原田武男と田上渉がダブルボランチを組み、3バックは右から加藤寿一、久留貴昭、梶原公、そして丹野研太がゴールを守る。

　序盤は湘南がパスワークからリズムをつくり、一方の長崎は最終ラインからのロングボール、あるいはサイドを経由し、相手の裏を狙っていく。この揺さぶりにくわえ相手のミスもあり、いったんは長崎の時間帯が訪れた。だが湘南の守備は堅い。間延びしかけた3ラインをコンパクトに立て直すと、ことボランチと最終ラインのあいだのスペースを長崎に与えず、攻撃の組み立てを阻止した。司令塔の佐野にも自由を許さない。逆に湘南は原と永里の2トップがオフ・ザ・ボールで駆け引きを活発にし、クサビからサイドへ散らすなどして攻勢に出る。15分には坂本が3人に囲まれながらキープして鈴木伸へキラーパスを通し、20分には鈴木将のパスから永里が右サイドをドリブルで深く抉った。

　こうして押し込んだ先に、湘南の先制機は訪れる。28分、鈴木将が敵陣でパスカットし、すかさず永里へ捌く。永里は右サイドから切れ込みクロスを供給、手薄なゴール前で原がしっかりとヘディングシュートを叩き込んだ。

　ビハインドを背負った長崎もすぐさま反撃に転じる。30分に岩本とのワンツーから佐野がシュートを狙い、直後に手にした田上のコーナーキックはゴールを脅かした。有光のドリブルによってペナルティエリア手前でファウルを誘うと、佐野のフリーキックは惜しくもポストを叩く。結局いずれも決めきれぬまま、前半終了の笛を聴いた。

　迎えた後半、湘南はアジエルと石原直樹を投入し、敵を引き離しにかかる。開始早々には彼ら2トップと鈴木将、坂本、永里、そして尾亦が絡みワイドに展開した。ときにはカウンター気味にアジエルと石原、永里で攻め込み、また林のサイドチェンジから鈴木将を経由しアジエルのシュートを導いてもいる。かたや長崎はカウンターで応戦、相手のギャップを突き、最終ラインの前のスペースへ侵入を企てる。62分には左へ開いた佐野のマイナスのクロスに原田が走りこみ、77分にも竹村のクロスのこぼれを拾った石川が折り返し、佐野のミドルに繋げた。だがここでも、斉藤と田村が陣取る湘南のセンターは堅い。粘り強い守備でゴール前を閉ざすと、アジエルと石原、永里、途中出場の猪狩佑貴、くわえて山口と尾亦も機を見て上がり、追加点を目指す。そして78分、山口が敵のカウンターを阻止して前線へ送り、アジエルのクロスに反応した石原が右足を振り抜いた。石原はさらにロスタイムにもアジエルとの連携からゴールネットを揺らした。

　長崎は善戦も相手の守備網を崩しきれず、リーグで誇る得点力を見せつけることはできなかった。ただ、「持てる力は十分出したのではないかと思う。いい経験になった」と岩本文昭監督が振り返ったように、この日の敗戦を糧につぎへ向かいたい。「まずは優勝できるよう準備していきたい」約一週間後に控えている全国社会人選手権に、指揮官は照準を合わせた。

　一方、勝利した湘南の「つぎ」は中2日で迎えるホーム・鳥栖戦だ。天皇杯はひとまず置き、こちらも切り替えてシーズンの続きに戻る。「重要な試合」とチームの誰もが口を揃える一戦、最後のドラマに向けてリスタートする。

以上

2007.10.08 Reported by 隈元大吾